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シマンテック、包括的なメッセージング環境の提供を目指す「EMM」ソリューション


米Symantecのソリューションマーケティングディレクター、香川悦子氏
 株式会社シマンテックは11月21日、包括的なメール管理ソリューションを提供する「エンタープライズメッセージングマネジメント(EMM)」戦略を、国内でも推進すると発表した。EMMは、迷惑メール対策機能などを備えたメールセキュリティアプライアンス「Symantec Mail Security 8300シリーズ」と、アーカイブソフト「Symantec Enterprise Vault」を中核にした製品群で実現されるソリューション。国内では日商エレクトロニクスが、まずこれを提供する。

 現在の企業では、「メールを公式文書として取り扱うところが増えており、全体の79%がメールを取り引きの証拠として認めている」(米Symantecのソリューションマーケティングディレクター、香川悦子氏)状況という。また、企業の知的財産の75%が、メールの中に存在するというデータもあり、単なる連絡の1手段としてではなく、企業にとって重要な資産となったメールデータの保護を、本格的に考える必要が生じている。

 シマンテックではこうした状況を踏まえて、メッセージング管理のベストプラクティスをEMMとしてまとめ、包括的なソリューションとして顧客へ提供しようとしている。そのための核となるのが、Mail Security 8300シリーズと、Enterprise Vaultの両製品だ。

 Mail Security 8300シリーズは、従来製品「Mail Security 8200シリーズ」の後継となるもので、この日に発表された。ラインアップには、「Mail Security 8360」と「同 8380」の2モデルが用意されており、いずれもハードウェアスペックが強化されている。またMail Security 8200/8300シリーズ向けのソフトウェア機能も11月に更新され、機能強化が図られた。具体的には、ウイルス感染が疑わしいメールを隔離する「“ゼロデイ”ウイルスプロテクション」や、ローカル環境での学習に基づいてメールを評価する「ローカル・レピュテーション(評判)学習」機能、メールトラッキング機能などが追加され、GUIも完全に日本語化されている。

 さらに、新オプションとしてPCC(Premium Content Control)モジュールの提供も開始された。これは、標準のコンテンツフィルタリングルールを拡張して、米SOX法、HIPPAをはじめとする規制に、より容易に対応できるようにしたもの。現状は欧米の規制にしか対応できないが、将来的には日本版SOX法に対応したモジュールの提供も予定しているとのこと。


EMMの全体像
 一方のEnterprise Vaultは、メールをはじめ、SharePoint Serverやファイルシステムなどのアーカイブを行えるソフト。たとえばExchange Server向けの「Enterprise Vault for Exchange」を利用すると、ユーザーの使い勝手はそのままに、メールデータをプライマリストレージからセカンダリストレージに移動することができる。

 シマンテックのプロダクトマーケティング部 リージョナル・プロダクト・マーケティング・マネージャ、堀江徹氏は「圧縮やシングルインスタンスを活用することで容量を低減できるほか、安価なストレージへ保存場所を変えることにより、コストの削減が可能。またデータはインデックス化され、検索可能な状態で格納される」と、導入によるメリットを説明した。

 シマンテックでは、EMMのベストプラクティスを、1)システム稼働、2)外部からの脅威保護、3)情報漏えい防止、4)情報の保存管理、5)情報検索と分析、の5つに分類しているが、このうち2)をMail Security 8200/8300シリーズで、4)と5)をEnterprise Vaultでカバーしたい考え。このほか、メール流量をコントロールできる「Symantec Mail Security 8160」や、社内メールを保護する「Symantec Mail Security for Exchange」などの製品も用意し、包括的なソリューションとして顧客への訴求を図る。

 こうした状況の中で、従来Mail Security 8200シリーズを提供してきた日商エレクトロニクスが、今回新たにEnterprise Vaultの取り扱いを開始。これによって、国内で初めて、EMMソリューションを提供できる体制が整ったという。

 香川氏はこれからの展開について、「これまではセキュリティとストレージ(アーカイブ)の販売パートナーがまったく違っていたが、当社のビジョンを理解してもらい、製品単体で販売しているパートナーにも、ソリューションとして販売していただけるようにしていきたい」とコメント。さらに、「ライセンスの仕組みも(旧Veritas製品と旧Symantec製品の)統合が進んでおり、将来的にはもっと簡単な料金体系にして、1つでソリューションを買える形にしたい」と話した。シマンテックでは、各製品の開発についても連携を図り、さらなるメリットを出せるようにする予定である。



URL
  株式会社シマンテック
  http://www.symantec.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20061121_02
  http://www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20061121_01


( 石井 一志 )
2006/11/21 18:03

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