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日本オラクルがID管理市場への取り組みを強化、短期導入サービスを提供

パートナーコミッティも立ち上げ、専門リソースの増強図る

常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏
 日本オラクル株式会社は4月24日、ID(アイデンティティ)管理ビジネスの強化に向けた施策を発表した。ID管理ビジネスに特化したパートナーコミッティ「Identity Management Partner Committee」を発足させるほか、短期導入テンプレートとコンサルティングを組み合わせたサービス「OIM Accelerator for HRM」の提供を開始する。

 「(2008年度決算から上場企業に適用される)日本版SOX法への対応のため、ID管理ビジネスの市場が大きくなるのは間違いない」-常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏はこう話す。多くの企業はまだ、内部プロセスの可視化と文書化作業に追われている段階だが、三澤氏は「監査人から、IT全般統制におけるアクセス制御の不備を指摘される企業は多く、ID管理へ本格的な取り組みを行う企業は今後増えてくる」と指摘。2008年度から2009年度にかけては、コンサルティングファームやSIerに対する需要がキャパシティを大幅に超えると予測している。

 日本オラクルでもこの市場に対しては注力を強めており、専門リソースの増強を図っているところ。しかしながら、「当社のコンサルタントだけではまかないきれず、ID管理に関するパートナーのリソースを大きくしないと、ビジネスも大きくならない」段階に来ているという。そこで同社では、現在70名ほどのパートナーエンジニアを1年で300名規模に増強すべく、育成支援を実施するとのこと。一般向けには、日本オラクルのトレーニング機関である「オラクルユニバーシティ」で研修コースを整備する。

 三澤氏はこうした施策について、「ID管理では従来とは少し違ったスキルが必要になるので、当社で支援を提供している。この市場はライセンス1に対して3~5のインプリメントの工数が発生するため、SIがふくらむビジネスになる」と述べ、パートナーにとってもうまみがある市場だと主張した。

 また、「アプリケーションとの連携が重要な分野であり、今後の(連携用アダプタ)開発についてなど、開発サイドともかなり密な連携が必要になる」(三澤氏)ため、パートナーコミッティでは、定期的なミーティングを開催し、米Oracle本社の副社長や開発責任者クラスと直接情報交換を行えるようにする。

 加えて、ID管理分野の市場動向やユーザー事例の共有や、特別トレーニング/ワークショップを提供するほか、アダプタについては、日本市場特有のアプリケーション向けなど、国内で開発されたプログラムの相互利用促進を図る。現在参画しているパートナーは15社。日本オラクルとパートナーとの密な連携が必要になることから、数には上限を設ける方針で、三澤氏は今後10社程度を加えて25社程度で運営したいとした。


OIM Accelerator for HRMによるメリット
 一方で、「ID管理ビジネスでの大規模事例は海外が圧倒的に先行している」(三澤氏)ことから、海外のID管理専門コンサルティングベンダなどと提携。国内へノウハウを取り込むともにパートナーへそれを開示し、スキルを底上げしたい考え。あわせて、日本オラクルのコンサルティングサービスと導入テンプレートをセットにした「OIM Accelerator for HRM」の提供によっても、短期導入を促進するという。

 「ID管理を導入するような大規模な企業には、少なくとも20~30のサブシステムがあり、多いところでは1000を超えるアプリケーションを利用している。そうしたところでは、適用する範囲を決められず、導入期間が長期化するケースが多い。新サービスでは、特定のトラステッドソース(信頼されたリポジトリ)やアクセス制御の要件、プロビジョニング対象に注目することで、段階的な提案を行い、短期間・安価にシステムを運用開始できるようにしている」(三澤氏)。

 まずはOracle E-Business Suite HR(人事管理)から対応をはじめ、PeopleSoft HRやSAPなどにも順次対応を進める。価格は、テンプレートとサービスをあわせて2000万円から。ハードやライセンスをあわせたシステム全体では、最小規模で5000万円程度、大きなシステムでは3億円規模のビジネスになるという。ID管理分野の本格的な整備にはある程度まとまった投資が必要になるので、まずは5000名以上の企業を対象とする意向。30名規模のID管理専任チームと、金融市場担当など業種別の事業部を連携させながら、2008年度(2007年5月~)は受注倍増を目指してビジネスを進めていくとしている。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 石井 一志 )
2007/04/24 15:58

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