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DDS、大規模環境向けの認証プラットフォーム2製品


EVE FAの仕組み
 株式会社ディー・ディー・エス(以下、DDS)は4月25日、認証システム製品「EVEシリーズ」を発表した。

 EVEシリーズは、企業内の認証システムを統合するためのソフトウェア製品。大規模環境に対応可能な指紋認証システム「EVE FA(Finger Authentication)」と、企業内のアクセス認証環境を統合するためのミドルウェア「EVE MA(Multi Authentication)」の2製品がラインアップされた。

 このうち指紋認証に特化したEVE FAでは、大規模環境に対応するための強化が行われている。アプリケーション層とデータベース層を分割する多層構造を採用し、冗長化構成やネットワーク構成を可能にしたほか、SQL ServerやOracle Databaseといった信頼性の高い商用データベースをバックエンドのデータベースに利用することで、スケーラビリティの確保を図った。また、サーバー・クライアント間の通信のセキュリティを向上させるため、AES暗号化を利用できるようにしている。あわせて、ニーズが高いリモート環境のサポートのため、RDPやCitrix Presentation Serverといったシンクライアント環境にも対応した。

 指紋認証のエンジンとしては、従来製品と同様、UB-safeを引き続き採用する。戦略事業本部 開発センター ユビキタスシステム開発部 認証プラットフォーム開発リーダーの水野敏宏氏によれば、「多くの製品は特徴点を相対的な位置情報として登録しているが、周波解析法では、指紋の1ライン1ラインを信号波形としてとらえるので、誰でも登録できる」とのこと。続けて水野氏は「大企業で指紋認証製品を利用する際には、登録できないユーザーが数%だったとしても絶対数は多くなる。登録率100%のメリットは大きい。また指紋画像そのものを取得するのではないため、もとに戻すこともできない。ユーザーに安心して使っていただける」と述べ、メリットを強調した。

 なおEVE FAでは、このエンジンをサーバー側にのせて指紋データを一元的に管理することも、クライアント側にのせて、社内ネットワークから離れたユーザーでもローカルログオンを行えるようにすることも可能で、ユーザーの必要要件にあわせて、柔軟な運用を行えるとしている。

 対応OSは、サーバー側がWindows Server 2003 R2、クライアント側がWindows XP Professional。価格はオープンだが、100ユーザー規模で200万円程度からになる見込み。6月の出荷開始を予定する。


EVE MAによって企業内の認証環境を統合可能だ

戦略事業本部 開発センター ユビキタスシステム開発部 認証プラットフォーム チーフアーキテクトの前田勝之氏
 一方のEVE MAは、企業内の認証環境を統合し、一元的に管理するための統合プラットフォーム。指紋・静脈・虹彩といったバイオメトリクス認証、ICカード認証など異なった認証環境を統合でき、1要素だけの認証から、複数要素を用いた多要素認証まで、認証の条件を自由に設定可能な点が特徴という。またADAM(Active Directory Application Mode)をデータリポジトリとして利用し、Active Directoryとの完全な統合も行える。

 戦略事業本部 開発センター ユビキタスシステム開発部 認証プラットフォーム チーフアーキテクトの前田勝之氏は「パスワード認証では、誰か1人でも弱いと侵入の糸口にされてしまうため、バイオメトリクスなどの認証手段が求められているが、2つの方法を組み合わせると非常に強い認証環境が実現できる。多要素認証は必ず必要とされてくる」と主張。「Active Directoryとシームレスに統合され、多要素に対応したEVE MAを利用すれば、ID統合後の認証統合を実現可能だ」と話した。

 EVE MAはあくまでもミドルウェアプラットフォームとして提供されるため、ユーザーサイドでの開発作業が発生する。提供開始は8月になる予定。



URL
  株式会社ディー・ディー・エス
  http://www.dds.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.dds.co.jp/page.jsp?id=1371


( 石井 一志 )
2007/04/25 18:30

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