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富士通、顧客の対策要件を見える化する「セキュリティ最適化サービス」など

メールセキュリティ関連ラインアップも強化

セキュリティソリューション本部長の今井隆策氏

6つの強化対策モデル
 富士通株式会社は10月11日、セキュリティソリューション「SafetyRing」を強化すると発表した。日本版SOX法(金融商品取引法)対応を進める企業を主な対象に、IT統制におけるセキュリティ対策のライフサイクル支援を行う「セキュリティ最適化サービス」を提供するとともに、メールセキュリティ対策を強化する。

 富士通では、顧客の事業継続やセキュリティ対策を支援するソリューションとしてSafetyRingを提供し、統合的なリスクマネジメントを支援してきた。今回のセキュリティ最適化サービス提供もその一環。このサービスによって、IT全般統制におけるセキュリティ対策要件を洗い出し、顧客が継続的にセキュリティ対策を行えるような体制作りを支援するという。

 セキュリティソリューション本部長の今井隆策氏は、「日本版SOX法などを契機にIT全般統制に対応するセキュリティ対策の必要性が高まっているが、実際には、費用対効果が見えない、どこまで実施すればいいのかがわからない、対策を実施するためのノウハウが不足している、といった問題がある」との現状を指摘。そうした状況の中で、エンタープライズセキュリティアーキテクチャ(ESA)に基づいて社内実践や顧客対応を進めてきた富士通が、これまでの活動で得たノウハウを生かし、顧客の課題を解決するための支援を行うとした。

 富士通ではこのサービス提供にあたり、セキュリティ対策支援を行ってきた本社・グループ企業のSE220名をセキュリティマネージャとして配置。これらの人員を中心に、セキュリティ対策の要件定義から設計・運用段階までの、ライフサイクル全般を通じた支援を行っていく。具体的には、顧客からのニーズの高い「認証・ID」「証跡管理」「DBアクセス」「インターネットセキュリティ」「PCセキュリティ」「フィジカルセキュリティ」の6つを強化対策モデルに指定。おのおのの分野で、国際標準や法規制などの各種ガイドライン、最新のセキュリティ技術、費用対効果などの要素を考慮にいれて、顧客ごとの最適解を見つけ出せるように支援するとしている。実際の例として、要件定義フェイズにおいてこれまでの実績をテンプレート化して再利用することにより、期間を最短で半分にできたという。

 セキュリティ最適化サービスの価格は100万円(税別)から。富士通では、日本版SOX法で必要とされる内部統制に取り組む企業から展開を進め、時間をかけて中堅・中小企業にもビジネスを拡げていきたい考え。今後は、セキュリティマネージャを2009年度中までに500名へ増員し、体制を整えていくという。


メールセキュリティ関連のラインアップ

FENICSメールソリューション メール保存サービスの概要
 またメールセキュリティ関連では、顧客自身による自社運用からホスティングまでの各サービスレイヤにおいて、一気通巻でセキュリティ対策を行えるようにラインアップを強化。ワンストップでサービス提供ができる点を強みとして、この分野でのビジネス拡大を図る。

 まず、自社でメールサーバーからセキュリティ製品までをすべて運用したい顧客向けには、ウイルス/迷惑メール対策機能を備えた「MailHOUND アンチスパムモデル」と、アーカイブ機能を持つ「同 アーカイブモデル」の2製品を発売する。いずれも富士通製のサーバーハードウェアを利用したアプライアンスで、ソフトウェア機能をあらかじめ組み込んで提供するため、顧客はスムーズに必要なセキュリティ機能を導入できる。なお、アンチスパムモデルではセキュリティソフトウェアとして、シマンテックの「Symantec Mail Security for SMTP 5.0」を利用している。価格は、アンチスパムモデルが82万4000円(税別)、アーカイブモデルが223万6000円(同)。出荷開始はいずれも12月上旬より。

 また、メールサーバーを自社で運用しつつ、セキュリティサービスは富士通に任せたいという顧客向けには、SaaS型のアーカイブサービス「FENICSメールソリューション メール保存サービス」を提供する。富士通ではすでに迷惑メール対策、ウイルス対策の両SaaS型サービスを提供しており、それらと併用することで、セキュリティ環境をトータルに実現できるとのこと。メール保存サービスの価格は、20IDの場合で6000円(税別)/月から。10月11日より提供を開始する。

 さらに、メールサーバーの運用からセキュリティまで、すべてを富士通に任せるホスティング型サービスを希望する顧客に対しては、すでに提供している「FENICSメールホスティング」にアーカイブオプションを設けることで対応する。同オプションの価格は20IDの場合で6000円(税別)/月からで、10月11日より提供を開始する。

 なお富士通では、今回の新サービス提供などによって、現在約800億円規模というSafetyRing関連のビジネスを拡大し、2007年度からの3年間で2900億円の売り上げを目指すとしている。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/10/11.html
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/10/11-1.html


( 石井 一志 )
2007/10/11 14:53

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