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マイクロソフト、ForefrontとSystem Centerの新製品を豊富にラインアップ

データセンター向け低価格パッケージも提供

サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長の五十嵐光喜氏
 マイクロソフト株式会社は12月6日、企業向けのセキュリティ製品群「Microsoft Forefront」と統合運用管理の製品群「同 System Center」の新製品を発表した。併せて、System Center製品群を1つにパッケージ化して低価格で提供する戦略的ライセンスを発表するとともに、同製品群を活用する提携企業向けに新たなパートナープログラムをスタート。25社の賛同企業と共同で、新製品を基軸に、マイクロソフトの「Dynamic IT構想」に基づいたITインフラ最適化の実現をめざす。

 マイクロソフトが提唱するDynamic IT構想は、「ビジネスに即したプロセス・モデル主導のITインフラを構築し、かつ、そのITインフラが自律運用する環境の実現をめざしたもの」(サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長の五十嵐光喜氏)。このビジョンを達成するための土台として、マイクロソフトが提供するのが、ForefrontおよびSystem Centerの製品シリーズである。今回、このForefrontおよびSystem Centerに関して、「新製品」「戦略的ライセンス」「パートナープログラム」を発表することで、Dynamic IT実現に向けたITインフラの強化を図るのが同社の意向だ。

 Forefrontの新製品としては、「Forefront Server Security Management Console 日本語版(以下、SSMC)」と「Intelligent Application Gateway 2007(以下、IAG 2007)」の2製品を投入。System Centerの新製品としては、「System Center Data Protection Manager 2007 日本語版(以下、DPM 2007)」「同 Virtual Machine Manager 2007 日本語版(以下、VMM 2007)」「同 Configuration Manager 2007 日本語版(以下、SCCM 2007)」の3製品を投入する。


ITインフラの強化策が今回の発表。3本柱として「製品の強化」「戦略的ライセンス」「パートナー支援強化」を挙げる 製品ラインアップの強化 ForefrontとSystem Centerの概要

サーバープラットフォームビジネス本部 マネジメント&セキュリティ製品部 マネージャの深瀬正人氏
 SSMCは、企業内のExchange Server 2007、Office SharePoint Server 2007、およびWindows SharePoint Services 3.0の各環境を統合環境する製品。企業全体に及ぶForefront製品の構成、展開、更新およびレポート処理を効率的に行えるほか、これらの資産をウイルス、ワーム、スパムなどの不適切コンテンツから保護することが可能になる。価格は6300円/ライセンスからで、12月6日から提供開始。

 IAG 2007は、SSL-VPN、Webアプリケーションファイアウォール、エンドポイントセキュリティ機能を提供する製品。社外から多様な基幹業務アプリケーションをアクセスする際のACL、認証、コンテンツ検査が可能となり、PC・モバイル端末問わず、柔軟に社内リソースを利用することが可能となる。価格は1344円/ライセンスからで、12月6日から提供開始。

 DPM 2007は、各サーバーやデスクトップPCのデータ保護製品。15分間隔でバックアップが行われ、ファイル単位でのデータ復旧などがGUI上から行える。ユーザー自身がWindows Explorerからファイル復旧することも可能なので、「リストアも非常に簡単に、システム管理者が望む形でのデータ保護が実現できる」(サーバープラットフォームビジネス本部 マネジメント&セキュリティ製品部 マネージャの深瀬正人氏)とのこと。価格は6万8900円/サーバーからで、12月6日から提供開始。


IAG 2007-クライアントからウイルス付きのファイルをアップロードした例 DPM 2007-各サーバー・クライアントPC内のファイル単位でリストアが可能 DPM 2007-ユーザー自身がWindows Explorer上からファイルを復元することも可能

 VMM 2007は、データセンターにおいて、物理サーバー使用率の向上、仮想マシンの一元管理を実現する仮想化環境の統合管理製品。システムリソース過不足の分析や、仮想化サーバーの配置を最適化することが可能で、GUI上から物理マシンを手軽に仮想サーバーに移行することもできる。12月6日から提供開始。単体販売は2008年以降となる見込み。戦略的ライセンスに含まれた形での提供となる。

 SCCM 2007は、デスクトップPC・サーバー・モバイル端末問わずに資産管理が行える製品。System Management Server 2003の後継として提供され、各端末が必要な構成基準を満たしているかが確認できる。Forefront Client Securityと連携して、SCCM 2007から最新の更新ファイルをインストールしたり、ドメインへ参加させたりすることが可能だ。価格は1000円/ライセンスからで、2008年2月1日から提供開始。


VMM 2007-物理・仮想マシンの状態を統合的に管理 SCCM 2007-クライアント設定の監査レポート画面 SCCM 2007-Forefront Client Securityと連携して最新ファイルのインストールといったタスクを強制することが可能

 マイクロソフトでは、以上5製品を基軸にITインフラの最適化を図っていく。しかし、これらの製品を単独で導入した場合、「何千万、何億と費用がかかってしまっては意味がない。良い製品を低価格で提供するのが重要」と早瀬氏は話す。そこで、新たに提供を開始するのが、System Center製品をパッケージ化して提供する戦略的ライセンス「Server Management Suite Enterpriseライセンス(以下、SMSEライセンス)」である。

 具体的には、System Centerの新製品、DPM 2007、VMM 2007、SCCM 2007に加え、「System Center Operations Manager 2007(以下、OpsMgr 2007)」を同梱。特にデータセンターの仮想化環境に最適なライセンスとなっており、VMM 2007を筆頭に物理・仮想の混在環境を包括的にサポートする。

 価格面でもメリットがあり、製品単体で購入するより安価なのはもちろん、仮想化環境の物理サーバー単位で購入できるので、仮想OS単位でライセンスが必要となる他社製品と比べても低コストという。この件について深瀬氏は、「1台の物理サーバー上に複数の仮想OSが立ち上がっている場合、他社製品では複数のライセンスが必要となるが、SMSEライセンスは1つで十分。これにより、他社と比べて3分の1から5分の1にまでコストを削減することができる」とアピールしている。価格は、10万3400円/サーバーからで、12月6日から提供開始。


SMSEライセンス-System Center製品をパッケージして、10万3400円からで提供 SMSEライセンスに含まれる4製品 物理サーバー上で仮想OSがいくつ稼働していても、物理サーバー単位でのライセンス提供となる

 こうした新製品の投入に加えて発表された新しいプログラムが、「ITインフラパートナープログラム」。マイクロソフト認定パートナープログラムに参加している25社の企業を対象に、「技術・提案支援」「共同キャンペーン」「トレーニング・ワークショップ」を推進していく。

 技術・提案支援では、案件ベースで技術支援サポートを提供するほか、定期的な情報提供会合を開催。12月からはITインフラ共同検証ラボなどを利用可能にする。

 共同キャンペーンでは、内部統制ドキュメント等を含むツールキットを11月より提供するほか、パートナーソリューションの特別Webサイトを12月から開催することで、ForefrontやSystem Centerの普及活動を行う。

 トレーニング・ワークショップでは、エンジニア育成トレーニングを1000名に実施するほか、各社の製品とForefront・System Centerとを組み合わせた共同ソリューションを開発。そのための技術ワークショップを100名に提供するなどの活動を行っていく。

 五十嵐氏は最後に、「新製品の投入によって、企業内のSecurity+Managementをあらかたカバーできるようになった。製品間の相互連携性も十分。当社がDynamic IT構想を打ち出してから久しいが、ようやく実現に手が届くところまで来られた」と述べた。


ITインフラパートナープログラムを開始 賛同パートナー企業


URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3294


( 川島 弘之 )
2007/12/06 17:53

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