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日本PGPがメール暗号化ゲートウェイを強化、暗号化PDFを容易に送信可能


日本PGPの代表取締役、浅井政浩氏
 日本PGP株式会社は2月12日、メール暗号化システム構築用ソフトの新版「PGP Universal 2.8」の国内販売を開始したと発表した。

 発表会で登壇した日本PGPの代表取締役、浅井政浩氏は冒頭で、「メール暗号化ではパスワードの受け渡しが重要なのに、パスワードを直後のメールで送ってしまっている、形式だけの暗号化に過ぎないものが導入されている。日本では間違った暗号化がまかり通っている」と、現状でのメール暗号化の多くが正しく機能していないことを批判。さらに「企業では、ノートPCのHDD暗号化やアクセス制御は強く意識しているのに、メールでの個人情報送受信におけるリスクは認識していない。どこで、誰が、いつ、何を盗聴したのかがわからないのがインターネットで、これが、メール暗号化が必要な理由だ」と述べ、正しいメール暗号化の必要性を訴える。

 また浅井氏は、暗号化の方式についても言及した。同氏によれば、ウイルス対策やスパム対策、フィルタリング、アーカイブといったメール関連のアプリケーションが企業で普及しているものの、クライアントでメールを暗号化する方式を利用すると、暗号化されるがゆえに、このようなアプリケーションを利用できなくなってしまうという。そこで日本PGPでは、ゲートウェイでメールを暗号化するPGP Universalを用意し、広く展開しているとした。このPGP Universalでは、送信側に暗号化ゲートウェイを用意することで、送信するメールをユーザーが意識することなく暗号化し、セキュアな状態で送信先へ届けることが可能。受信側は、PGP Universalゲートウェイや、PGP・S/MIMEに対応したクライアントでメールを復号することができる。

 また、復号に必要な鍵を持っていない場合でも、無償クライアントソフト「PGP Satellite」のダウンロードや、メールをPGP Universalゲートウェイ内に保管しておき、Webメールとして参照・返信できる「Web Messenger」によって、暗号化メールの送受信を行えたが、今回の新版では、メールを自動的にPDFファイルへ変換し、パスワードで暗号化する「PDF Messenger」機能に対応。受信側が鍵を持たない場合の選択肢を増加させた。


メール本文をまるごとPDFファイルへ変換して暗号化することが可能

暗号化メールの初回受信時には、まずこのようなメールが届く。受信側は指定されたWebサイトへアクセスし、復号する際に入力するパスワードを自分で設定することになる
 この機能では、1)本文をまるごとPDFへ変換して暗号化、2)添付されたPDFのみを暗号化、3)PDF以外の添付ファイルをPDFでラッピングして暗号化、の3方式をサポートしており、メールの形式にかかわらず柔軟に対応可能。復号に必要なパスワードを受信側が管理する点も特徴で、送信側はパスワードをいちいち管理する必要がないことから、大量の送信時にも負荷が少なくて済む。

 一方、Web Messengerなどほかの送信方式と比べた場合のメリットについては、「サーバー側にメールを格納するWeb Messengerでは、受信者が多数になるとサーバー側のシステムを大規模にする必要があるし、PGP Satelliteは、ソフトをユーザーがインストールできない企業では使えないが、PDF Messengerではこうした点は心配ない」(SEマネージャの寺田大地氏)とした。また、Adobe Readerなどのクライアントソフトが無償で入手でき、かつ非常に普及しているPDFを利用することも強調できるという。

 ただしPDF Messengerは受信のみで返信ができないため、一般的なメールのやりとりでは利用しづらい。寺田氏は、現在は平文で送られてくることの多いオンラインショッピング時の利用明細メールを保護したり、通常は紙で送られてくる、サービス利用明細を電子化して配信したり、といった用途に向くと説明している。

 なお、同時に販売を開始している暗号化クライアントソフト「PGP Desktop 9.8」でも、各コンポーネントにおいて、ユーザー管理の拡張やログ管理の強化、対応OSの拡張などが行われた。



URL
  日本PGP株式会社
  http://www.pgp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www.pgp.com/jp/news/9.8-2.8-Japanese-Release.html


( 石井 一志 )
2008/02/12 17:08

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