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ウォッチガード、UTM製品向けOSを機能強化-初の日本語対応版も提供へ


OS新版が提供される製品の1つ、「Firebox X 8510e-F」

米WatchGuard Technologiesのジョー・ワンCEO
 ウォッチガード・テクノロジージャパン株式会社(ウォッチガード)は2月21日、統合脅威管理(UTM)アプライアンス「Firebox X」全シリーズに搭載されているOSを大幅に機能強化し、「Version10」にアップグレードすることを発表した。新バージョンとして提供するのは、上位モデル「Firebox X Peak」「Firebox X Core」向けの「Fireware 10」と、エントリーモデル「Firebox X Edge」向けの「Edge 10」。両OSとも、「Firebox X」のユーザーでLive Securityサポートを受けている場合は無償でバージョンアップすることができる。

 今回の新バージョン発表に先立ち米WatchGuard Technologiesのジョー・ワンCEOは、同社の業績概要について触れ、「当社はUTMアプライアンスのリーディングプロバイダとして、主に中小企業のセキュリティニーズに最適な、価格性能比に優れた製品を展開し、急速に業績を伸ばしている。2007年度は、4期連続で収益成長率が上昇し、それぞれ前期を上回る成長を実現することができた。特に第4四半期は、過去最高の売り上げを達成し、前年同期比17%増の収益成長率を記録した。2008年度は、中小企業向け市場だけでなく、大規模企業向けにもラインアップを拡充し、前年度比20%増の収益成長率を目指す」と述べた。

 バージョンアップした「Fireware 10」「Edge 10」の主な機能強化点は、1)セキュリティ機能の強化、2)接続性の向上、3)管理機能の向上、の3点。

 セキュリティ機能の強化としては、包括的なウイルス阻止機能を新たに搭載。ウイルス発生をリアルタイムに検出するReal-Time Virus Outbreak Detection機能によって、スパム、ウイルス、フィッシングなどメールベースのマルウェアを、発生した時点でほぼ100%の検知率で阻止する。また、従来のHTTPに加え、HTTPSのページ上でもWebフィルタリングが使用できるため、不適切なWeb閲覧によるウイルス感染をより効果的に防ぐことができる。さらに、メールに添付されているウイルスに汚染されたファイルを、アラートで知らせるだけでなく隔離する機能を追加している。

 侵入防止機能の強化も図っており、高速化したIPSエンジンと、改良したシグネチャデータベースによって、悪意のあるコードの侵入を効果的に阻止するとともに、新たな脅威であるボットネットからサーバーを保護する機能も提供する。このほか、Web Blockerカテゴリを細分化し、従来の40カテゴリから54カテゴリに拡充することで、より詳細なWeb閲覧規制を可能とした。


統合されたSSL-VPNを搭載

レポートエンジンの改善も行われている
 接続性の向上は、今回のバージョンアップにおける最大の機能強化ポイント。SSL-VPNの一体化、シングル・サインオン、Vasco 二要素認証のサポート、VoIPおよびビデオ会議のサポートといった多くの新機能を追加している。SSL-VPNの一体化では、遠隔ユーザーからのアクセスをサポートするVPN機能を強化し、1つの筐体で支店間やモバイルユーザーによるSSL-VPNの利用を実現した。また、社内からのLANを使ったアクセスでも、社外からVPNへのアクセスでも、シングルサインオンを可能にするため、パススルー認証をサポート。認証時には、Vascoの二要素認証を行い、ネットワークを保護する。VoIPおよびビデオ会議のサポートについては、新しいH.323やSIPプロキシにより、LANとインターネットの間のビデオやオーディオトラフィックを処理する。さらに、無線LANを利用するユーザー向けに、ワイヤレスブリッジモードを搭載している。

 管理機能の向上としては、レポートエンジンの高速化を図るとともに、管理画面に多種のグラフィックテンプレートを用意。グラフィックの多くをオブジェクト化したことで、ドリルダウン機能による詳細なデータを提供する。このほか、新しいLogViewerの提供、通知機能の強化、GUIでのライブセキュリティ・アラートの確認、SNMP v3のサポートなど、管理機能を向上させている。

 「Fireware 10」「Edge 10」は、本日より英語版を出荷開始し、今年第2四半期には初の日本語対応版を提供する予定。同社では、これを機に日本市場での販売展開も強化していく考え。

 日本市場についてワン氏は、「当社の地域別の収益比率を見ると、50%以上が北米地域で占められ、30%がヨーロッパ地域、そして17~18%がアジア地域となっている。なかでも、アジア地域は今後大きな成長が期待でき、それをけん引するのが日本市場であると考えている。現在、日本市場は、アジア地域全体の3分の1弱の収益比率だが、北米などと比べて約2年遅れで市場が動いていることから、今後、30%以上の大幅な市場成長が見込めるだろう。これに向けて、既存の販売パートナーとの協力体制をより強化するとともに、新規パートナーの拡充にも力を注ぎ、日本市場でのさらなるマーケットシェア拡大を目指していく」との方針を述べた。

 なお、「Fireware 10」「Edge 10」を搭載したFirebox Xシリーズを新規購入する場合の標準構成価格は、500クライアント以上向けモデルの「Firebox X Peak」が190万円から、500クライアント以下向けモデルの「Firebox X Core」が56万円から、50クライアント以下向けモデルの「Firebox X Edge」が25万円からとなる。



URL
  ウォッチガード・テクノロジージャパン株式会社
  http://www.watchguard.co.jp/
  プレスリリース(PDF)
  http://www.watchguard.co.jp/18_press/J10%20release%20final.pdf


( 唐沢 正和 )
2008/02/21 16:36

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