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データ組み合わせの“妙”-DNP、データ分散格納システムを発表


 大日本印刷株式会社(以下、DNP)は2月28日、データ分割・分散格納システム「TranC'ertDNA」のWindows Server 2003対応版を発表した。4月18日から販売を開始する。

 TranC'ertDNAは、機密データを暗号化して、複数のサーバーに分散して保管するシステム。2004年3月に発表したPC版の機能を生かし、サーバー用に開発したもの。Windows Server 2003に対応した。

 1つのデータを暗号化した上で、複数のサーバーに分割・分散保管することができるのだが、最大の特長は、分散管理する際のデータの組み合わせだ。例えば、あるデータをA、B、Cの3つに分割したとすると、3台のサーバーにAとB、BとC、CとAという組み合わせで保管する。これにより、1台のサーバーから情報が漏えいしても元のデータに復元できない上に、1台のサーバーが故障しデータを読み出すことができなくなったとしても、残り2台の情報から復元できる。この技術については、米国/フランス/ドイツ/中国/韓国/オーストラリアなどで特許を取得済みという。

 3台のサーバーを3個所のデータセンターに置き換えてみると、1個所のデータセンターに預けられたデータは、3分割されたデータのうち1つが欠落しているため、データセンター内で不正に情報を持ち出そうとしても復元できない。DNPは「このため、従来のデータセンターで必要とされたセキュリティ設備費や運用管理費を低減できる」としている。

 さらに同システムの利用者にはICカードが配布される。ICカードには、暗号化され分散されたデータを復元するために必要な情報が格納されており、これを利用する際にはパスワード入力が必要。分散保管サーバーや各データへのアクセス権をICカード単位で管理できるため、高いセキュリティで運用することが可能とのこと。

 DNPでは、機密性の高いデータを扱う金融機関や研究開発部門を中心に、同システムと関連製品合わせ、2011年までに4億円の売り上げを見込む。



URL
  大日本印刷株式会社
  http://www.dnp.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.dnp.co.jp/jis/news/2008/080228.html


( 川島 弘之 )
2008/02/28 18:41

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