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チェック・ポイントが「ベストな価格性能比」の高速UTMをお披露目

ソフトウェア販売やパートナーアプライアンスも継続、「顧客へ選択肢を提供する」

新UTMアプライアンスの1つ、「Power-1 5070」

代表取締役社長の杉山隆弘氏
 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社(以下、チェック・ポイント)は4月21日、16日に発表した新UTM(統合脅威管理)アプライアンスに関する説明会を開催。代表取締役社長の杉山隆弘氏と、セキュリティ・コンサルティング本部長の卯城大士氏が、同社の戦略、そして新製品の特徴を解説した。

 チェック・ポイントでは以前から、中小規模向けの「VPN-1 Edge」「Safe@Office」といった小型アプライアンスを販売する一方、ノキアやクロスビームなどのパートナーと共同で「Secured by Check Point」アプライアンスを提供。さらに2007年、中堅企業向けの「UTM-1」で本格的にアプライアンス市場へ参入した。

 ただし本来得意としている大企業向け領域では、ソフトウェアライセンスを販売するビジネスが主流。SIer、もしくは顧客企業が自ら、IAサーバーなどのハードウェアと組み合わせてソリューションを構成するというアプローチが主流で、アプライアンスは提供されていなかった。そこへ今回、UTM-1のエントリーモデルや最上位モデルなど3製品と、大規模向けセキュリティソフト「VPN-1 Power」をベース技術として用いる新アプライアンス「Power-1シリーズ」を追加してラインアップを大幅に拡充。ファイアウォールスループットでいえば下は400Mbpsから、上は14Gbpsまでの幅広いレンジで製品を提供できる体制を整えている。

 こうした戦略について杉山社長は、「従来はライセンスとしての提供が主力だったが、新しいハードウェアを見ていただくと、当社が満を持して、本気で、アプライアンス市場へ参入するということが理解できると思う。また、ゲートウェイセキュリティでも高い技術を簡単に導入・運用・管理できる方法が要求されており、その答えがアプライアンスだと認識している」と述べた。


Power-1を管理するためのWeb GUI
 そうした背景のもとで提供されるPower-1の特徴は、価格性能比だという。上位の「Power-1 9070」ではファイアウォールスループットが14Gbps、侵入防御スループットが6.1Gbpsという高性能を達成しながら、参考価格は910万円に抑えられている。こうした数字を説明した卯城本部長は、「スループット1Mbpsあたりのコストは競合の1/2以下だ」とし、これを実現しているテクノロジーとして、Power-1などで採用されている「SecureXL」「CoreXL」「ClusterXL」を挙げた。

 1つ目のSecureXLは、単純かつ集中的な演算処理が必要な機能を、別の高速エンジンに割り振る分散処理技術。一度チェックされ、問題ないと判断されたフローのパケットについては通常のエンジンではなく、高速エンジンで処理する手法により、ファイアウォールやVPNの処理能力を向上させている。また2つ目のCoreXLは、IAで主流となっているマルチコアを有効活用するための技術で、複数のエンジンを並列に動かすことで、主にアプリケーションレベルのディープインスペクションにおいて高速化を実現した。最後のClusterXLは複数のハードウェアでクラスタ構成を組み、冗長化や負荷軽減を行う技術である。

 なおチェック・ポイントでは、自社アプライアンスのビジネスを強化する一方、ライセンスビジネスや、Secured by Check Pointアプライアンスについても、継続して提供していく考え。杉山社長は、「顧客の投資を無駄にしないために、これらのビジネスも継続する。提供方法を広げることにより、顧客の多様化するニーズに全面的に応えていこうということだ」とした。

 製品の参考価格は、最上位の「Power-1 9070」が前述の通り910万円、ファイアウォールスループット9Gbps「Power-1 5070」が659万円。またUTM-1の新機種は、同シリーズで最上位となる「UTM-1 3070」が420万円、ミッドレンジモデル「UTM-1 570」が148万円、エントリーの「UTM-1 270」が84万円。ファイアウォールスループットはそれぞれ、4.5Gbps、1.1Gbps、400Mbpsとなっている。

 国内での出荷開始は6月1日から。チェック・ポイントでは、中~上位のUTMアプライアンスについて、2008年中に550台の出荷を計画している。



URL
  チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社
  http://www.checkpoint.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.checkpoint.co.jp/pr/2008/20080416utmapp.html
  http://www.checkpoint.co.jp/pr/2008/20080416power1.html

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( 石井 一志 )
2008/04/21 17:05

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