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Zenlok、「安全、簡単、無料」のメール暗号化サービス

2008年中には企業向け有償サービスも提供予定

Zenlokの利用イメージ(Thunderbirdにインストールした場合)。日本語と英語に対応するという

代表取締役社長のアミール・アヤロン氏

ケビン・ミトニック氏
 Zenlok株式会社は5月16日、無料のメール暗号化サービス「Zenlok Eメール暗号化サービス」のベータ版を、同日より提供開始すると発表した。S/MIMEとOpenSSLをベースに、独自に拡張したシステムを利用しており、誰でもが簡単に使えるサービスを目指して展開していくという。

 Zenlok Eメール暗号化サービスは、ユーザーが送受信するメールの暗号化と復号を行うサービス。特徴は「シンプルかつ簡単」(代表取締役社長のアミール・アヤロン氏)なことで、同社のサイトからダウンロードしたソフトをPCにインストールし、ユーザー登録をするだけで、以後は暗号化されたメールをワンクリックで送受信できるという。

 暗号化には、公開鍵暗号方式を用いる。ユーザー登録時に、秘密鍵と公開鍵が生成され、公開鍵はZenlokの管理するキーサーバーへ保存。秘密鍵は暗号化され、ユーザーのPCへ保存されるが、鍵の管理はクライアントソフトがバックエンドで行うため、ユーザーがそれを意識する必要はない。クライアントソフトはメーラーのプラグインとして組み込まれ、現在はOutlook 2003/2007とThunderbird(Windows/Linux/Mac OS)に対応。Outlook Express/Windows Live MailやBecky!、Apple Mailといったメーラーへ近日中に対応するほか、Gmailをはじめとする主要なWebメールへの対応も予定している。

 アヤロン社長は、なぜこの領域を手がけているのかについて、「以前にメールを読まれたことがあったため、暗号化の必要性を感じ、さまざまな製品を試したが、本当に複雑すぎて、自分が使えたとしても、相手は絶対に使えないだろうと思った」とコメント。さらに、「購入コストだけでなく、管理・監査・教育といったコストがかかるほか、互換性にも問題があって、結局、社内だけで使うということになりがち」と述べ、既存製品の問題点を指摘した。同社では、これらの欠点を踏まえて作成されたサービスの価値を訴求し、日本初のセキュリティ企業としてグローバルへの展開を目指す。

 具体的なプランとしてはまず、国内で無料のZenlok Eメール暗号化サービスを提供する一方、2008年中には法人向けプレミアムサービスを提供し、それによって収益を上げたい考え。まずは、メールニュースなど大量のメールを送信する際に利用可能な「マスメールソリューション」、その企業がやりとりする暗号化メールをすべて復号できる「コーポレートマスターキー」、信頼できるユーザーかどうかを同社が証明する「個人認証」といったサービスを用意する。

 なおZenlokは、攻撃者の視点からアドバイスを受けるため、また米国をはじめとするグローバルへの展開をにらんで、元クラッカーとして著名なセキュリティコンサルタント、ケビン・ミトニック氏を顧問に迎えている。発表会では、同社の事業開始に伴って初来日した同氏が、メールセキュリティについて講演。「メールは1971年以来、これだけ長く使われていてもまだセキュリティ対策が甘い。暗号化なしでメールを送っていれば、コーヒーショップででも、いとも簡単に傍受できる。なぜ暗号化を使わないか、と尋ねたときに『隠すものは何もない』とよく言われるが、メールが漏れることで失うものは本当にないのだろうか?」などと述べ、暗号化製品の利用を呼びかけた。



URL
  Zenlok株式会社
  http://www.zenlok.com/ja/


( 石井 一志 )
2008/05/16 18:08

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