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トレンドマイクロ、“常に最新版”のSaaS型メールセキュリティサービス


IMHSの導入イメージ

管理者向け画面イメージ
 トレンドマイクロ株式会社は7月14日、SaaS型メールセキュリティサービス「Trend Micro InterScan Messaging Hosted Security」(以下、IMHS)を発表した。企業が設置するメール用のセキュリティゲートウェイに成り代わり、トレンドマイクロのデータセンターが迷惑メール(スパム)のフィルタリング、ウイルス/スパイウェアのチェックを実行して、クリーンなメールだけを受信できるようにする。発売は8月27日。

 IMHSは、スパム対策やメールウイルス対策をSaaS形式で提供するセキュリティサービス。企業が自社に設置するゲートウェイ製品とほぼ同等の機能を備えるほか、管理者向けの管理機能や、ユーザーによるスパムのセルフチェック機能も搭載した。また、主に外向きのメールをキーワード検索して、情報漏えいを防ぐメールフィルタリングの機能も利用できる。

 ユーザーのメリットは、一般的なSaaSと同様、費用を抑えつつ運用負荷を軽減できる点。運用においては、パターンファイルやプログラム自体のアップデートなど、ソフトウェアの更新作業が負担になるケースが多い。しかし、SaaS形式のためにアップデート作業はすべてサービス事業者であるトレンドマイクロ側が行う上、「IMHSでは、セキュリティ事業者である当社自らが提供する以上、絶対に最新版であることが保障されている」(プロダクトマーケティングマネージャー、岡本元央氏)ことも特徴。こういったメールセキュリティサービスは、各種サービスプロバイダやホスティング事業者からも提供されているが、この、常に最新版である点がもっとも強調できる差別化ポイントだとした。

 費用面では、300アカウントのモデルケースの場合、メールセキュリティにかかわる費用を約6割軽減可能。またこれら以外のメリットとして、「帯域にかかる負荷を削減できる」(岡本氏)点もあるとのこと。岡本氏は、「ゲートウェイを自社運用する場合は、不要なスパムも一度企業側で受信せざるを得ないが、IMHSはセンターでメールを振り分けるので、届くのは必要なメールだけだ」と、その理由を説明している。


IMHSで利用するレピュテーション技術の概要

プロダクトマーケティングマネージャー、岡本元央氏
 一方セキュリティ面での優位性としては、Web/メール双方のレピュテーション(評価付け)技術を挙げる。具体的には、メールレピュテーション技術を用い、スパム発信履歴などに基づいてIPアドレス単位で送信メールサーバーを格付けし、評価の低い(スパム配信元である可能性の高い)IPアドレスからのメールを受信する前にブロック。またWebレピュテーションの技術を用いて、例えば、フィッシングサイトとおぼしきURLが含まれたメールをスパムとして排除することで、より安全性を高められるという。

 IMHSは最小5ユーザーから購入でき、トレンドマイクロのほかの製品と同様、購入するアカウント(IMHSはメールボックス)数が多いほど割り引きされるライセンス体系を採用する。1アカウントあたりの価格は、例として5~24アカウントの場合で5700円(税別)/年、250~499アカウントの場合では2870円(同)/年となる。

 なお、管理部門のリソースが比較的余裕のあることが多い大企業では、自社でセキュリティ製品を運用したい企業が多いことから、同社ではこうした特徴を持つIMHSを、セキュリティ製品の管理を負担に感じている、中堅以下の企業へ主に販売していく考え。今後1年間に約2億円の販売を見込む。

 今後については、SLAやアーカイブのサービスも提供を検討するほか、現在はパートナー経由での提供となっている、エンドポイントセキュリティ管理サービスのトレンドマイクロ自身での提供、また逆にパートナー経由でのIMHS提供なども検討するとしている。



URL
  トレンドマイクロ株式会社
  http://jp.trendmicro.co.jp/
  ニュースリリース
  http://jp.trendmicro.com/jp/about/news/pr/article/20080714025415.html


( 石井 一志 )
2008/07/14 16:15

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