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プロダクトマーケティング本部 本部長 山本恭典氏
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サン・マイクロシステムズ株式会社は11月7日、次世代データセンター構想「N1」の現状とロードマップについて紹介するプレス向けの説明会を開催した。
N1は分散されたサーバー、ストレージ、ネットワークなどのリソースを、仮想的に単一システムとして運用・管理できることを目的に開発されている。プロダクトマーケティング本部 本部長の山本恭典氏は「ネットワーク上にある複数のシステムを一つのシステムとしてとらえることのできるOSともいえる」と説明する。同社は2003年7月にN1を実現するソフトの第1弾として、複数のプロセッサからなるブレードサーバーを、単一のシステムとして運用・管理できる「N1 Provisioning Server 3.0 Blades Edition(以下、N1 Blades Edition)」の出荷を開始している。
■ マルチベンダー環境で、OSの一括インストールを実現する
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プロビジョニングの範囲
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N1構想の実現に向けて同社は、「インフラストラクチャプロビジョニング」「サービスプロビジョニング」「サービスレベルオートメーション」の3つのフェーズをロードマップに掲げている。ちなみにプロビジョニングとは「準備OKの状態にすること」(山本氏)を指す。N1 Blades Editionはブレードサーバーのインフラストラクチャプロビジョニングを実現したもので、1つのコンソールでハードウェアの電源投入からOS・ネットワークのインストール、設定までのプロビジョニングが可能だ。同社ではサンのシステムに対応する製品も準備をしており、さらにはマルチベンダーに対応するための開発キット(DDK)を来年度に投入して他社のサーバーでもインフラストラクチャプロビジョニングを実現するという。
マルチベンダー環境に対応するとなると、IBMのTivoriやHPのOpenViewなどのツールと競合することにならないだろうか?これについて同社は「N1はプロビジョニングにフォーカスした製品で、他社の自律運用ツールと一部オーバーラップする部分もあるかもしれないが、基本的な位置づけが違う。むしろ補完関係を作れるだろう」とした。
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N1のロードマップ
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N1構想実現に向けた新技術
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■ アプリケーションの自動インストレーションはもう少し先
次のフェーズであるサービスプロビジョニングについて同社は、「2003年8月に買収したCenterRun社の技術をベースとして、マルチベンダーのインフラストラクチャプロビジョニング対応と平行して進める」としたが、「まだ買収が完了したばかりで、製品化はもう少し先」(山本氏)だという。サービスプロビジョニングが実現すると、複数のシステムに対してサーバー、データベース、アプリケーションのインストレーション、設定を自動で行うことができる。山本氏は「開発やテスト、運用についてはさまざまな自動化ツールがあるが、テストと運用をつなぐ展開のフェーズではほとんどが手作業で行われているのが現状。トラブルのほとんどはここで発生している」と現状の問題点を指摘し、「N1サービスプロビジョニングにより設定エラーを最小化し、アプリケーションプロビジョニングを数日から数十分に短縮できる」とアピールした。
説明会に同席した取締役 インフラストラクチャーソリューション事業担当のジェームズ・ホワイトモア氏が「R&DのほとんどがN1を対象にしている」と語るように、N1は先日発表された「Sun Java System」と同様に、同社にとって非常に重要な位置づけにある。なお、ホワイトモア氏によると「12月に開催されるOracle Worldにて、N1のアップデートをお知らせすることができる予定」とのこと。
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取締役 インフラストラクチャーソリューション事業担当 ジェームズ・ホワイトモア氏
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サンのソフトウェア体系
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■ URL
サン・マイクロシステムズ株式会社
http://jp.sun.com/
N1の情報ページ
http://jp.sun.com/n1/
( 朝夷 剛士 )
2003/11/10 08:29
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