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SAS、金融サービス業向けのソリューションを発表

米国の企業改革法を遵守する製品もあわせて発表

 SAS Institute Japan株式会社は11月12日、金融サービス業向けのビジネスインテリジェンス(BI)ソリューション「SAS Banking Intelligence Solutions」日本語版の市場投入を発表した。出荷は2004年第1四半期を予定している。価格は導入規模により異なるが、数千万円から数億円程度となる見込み。同社では2004年度に5社での導入を目指している。

 また、あわせて米SAS Institute Inc.より、米国の企業改革法(Sarbanes-Oxley)を遵守するソリューション「SAS Corporate Cmpliance for Sarbanes-Oxley」の発表も行われた。


SAS Institute Japan株式会社 代表取締役社長 堀 昭一氏
 SAS Banking Intelligence Solutionsは、ベースとなるデータウェアハウス「Industry Intelligence Architecture」と、コンポーネント化された8つのツールを追加する形となる。ツール群は発表された8つのほかに、今後も追加される予定。

 SAS Institute Japan株式会社 代表取締役社長の堀 昭一氏はSAS Banking Intelligence Solutionsについて、「ツールはプライオリティの高いものから順次導入していっても、統合に関してはまったく問題ない」と語った。すでに「ベースとなるデータモデルを共通テンプレートで提供し、上につくモジュールも、7割は弊社の蓄積された経験をテンプレート化して、残り3割をカスタマイズする形で提供できる。作りこみが少ないため、短期間での導入が可能」とした。


米SAS Institute Inc.代表取締役社長兼CEO ジム・グッドナイト氏

米SAS International 社長 アート・クック氏
 米SAS Institute Inc.代表取締役社長兼CEOのジム・グッドナイト氏は、世界各国7,000以上の金融機関で採用されている同社の実績を紹介。「日本でも売上は昨年比で10%を超え、中国では60%の伸びをみせるなど、アジア太平洋地域は売上の35%を占める重要地域」と語った。また同社のソリューションは、法遵守以外にも「顧客情報管理とBIを組み合わせたものや、マネーロンダリング防止を自動化するツールなどが、多くの金融機関で採用されている」とのこと。「約1年半前から100人以上で、金融業に特化したソフトウェア作りのため専門知識を深めてきた」と語り、今後も業種別に特化した開発を進めていくとのことだ。

 南北アメリカ大陸以外の地域を統括する米SAS Internationalの社長であるアート・クック氏は、BIソリューションについて、「プロジェクトのスタートからデータの管理、最適化、レポーティングまで、基幹システムのデータを分析して、企業経営での意思決定に必要なインテリジェントを創出する」ものとし、「この分析のコアとなるのが、予測のモデリング技術で、SASが経験に基づいてつちかってきたユニークな技術」と述べた。また「すでに通信・保険・通信業向けのソリューションを手がけているが、今後は製薬・製造・官公庁へ向けたソリューションの提供を考えている」と語った。

 SAS Banking Intelligence Solutionsのツールは、それぞれ以下のような機能となっている。

 「SAS Retail Credit Scoring for Banking」は、カードやローン、不動産担保などに対して不良債権につながるリスク評価を行うもの。

 「SAS Risk Management for Banking」は、信用リスクや市場リスク、オペレーショナルリスクなどを包括的に管理できるもの。

 「SAS Marketing Automation for Banking」は、顧客への定量的な測定により、キャンペーン効果の向上をサポートする機能を提供するもの。

 「SAS Strategic Performance Management for Banking」は、企業全体の情報を統合・配信・分析したコーポレートスコアカードを作成し、これに基づいて戦略ロードマップや、戦略のパフォーマンス管理を行うもの。

 「SAS Anti-Money Laundering for Banking」は、顧客取引情報から、マネーロンダリングなどの犯罪・不正取引の防止をサポートするもの。

 「SAS Customer Segmentation for Banking」は、行動傾向や潜在利益にもとづいて顧客を分類し、効果の高い商品提案を可能にするもの。

 「SAS Cross-Sell and Up-Sell for Banking」は、既存顧客の中からビジネスチャンスを発見し、新たな提案の実施をサポートするもの。マーケットバスケット分析機能による商品別に潜在能力を予測することも可能。

 「SAS Customer Retention for Banking」は、顧客維持を目的にしたもので、解約原因の分析を行い、顧客ごとに予測を行うものとなっている。



URL
  SAS Institute Japan株式会社
  http://www.sas.com/japan/
  SAS Institute Inc.
  http://www.sas.com/


( 岩崎 宰守 )
2003/11/12 19:35

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