株式会社コンピュータウェーブは1月27日、ソフトウェアのダウンロード販売において、デジタル著作権保護を行うDRM(Digital Rights Management)技術を組み込み、不正コピーを防止するESDコピープロテクションサービスの提供にあたって説明会を開催した。
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Sm@rtCertを介してソフトウェアのダウンロードを行う
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他マシンでSetup.exeを実行しても起動しない
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株式会社 コンピュータウェーブ 代表取締役社長 辻本 和孝氏
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ESDコピープロテクションサービスは、同社がソフトウェアのダウンロード販売を行っている45サイトへASPサービスとして提供している「ESD(Electronic Software Distribution)サービス」に追加する形で提供される。イーディーコントライブ株式会社が開発したDRM技術により、インストーラーの実行ファイル(通常はSetup.exe)の使用許可をダウンロードをしたマシンのみに制限する。
ESDサービスでは、専用のソフトウェア「Sm@rtCert」を介してソフトウェアのダウンロードを行う。ESDコピープロテクションサービスでは、このSm@rtCertによりコピー防止を実現している。Sm@rtCertの入手は販売サイトからの注文メールに記されたURLより行うが、デモを担当したコンピュータウェーブの国府 健一氏によれば、「Sm@rtCertを別のマシンでダウンロードしても、当然インストールは不可能」とのことだ。
プログラムそのものに手を加えず「プログラムの動作を制限するプログラムを追加する」(国府氏)方式のため、ソフトウェア開発の工程で変更を加える必要はない。海外での開発製品などソースレベルでの変更が難しい場合や、インストール後に修正プログラムを適用してファイルに変更を加える場合でも、コピーを防止できる。またインストールマシンの上限設定も可能で、従来の著作権保護技術と違い、ダウンロード後のサーバー認証も不要となっている。
同社では、セットアップファイルに実行プログラムが含まれていたり、独自のインストーラー形式を採用している場合、またInstall ShieldのSDK設定により、正常にコピープロテクトが適用できない場合もあるとしている。また「インストール後の実行ファイルを他マシンにコピーするだけで起動してしまうソフトウェアに関しては、プロテクトできない」とのこと。このほか「HDD故障やマシンの交換に対しては、リセラーで対応する」(国府氏)という。対応OSはWindows 98/98 SE/Me/2000/XP。
利用にあたっては、同社がプログラムを受け取り、動作検証の後サーバーへ登録する。1タイトルの登録料金が20,000円で、さらに1ライセンスごとに400円の利用料金が必要。なお3月31日まで、利用料金が200円となるキャンペーンを行っている。
同社代表取締役社長の辻本 和孝氏は、ソフトウェア販売における市場の推移と今後の見込みについて、「ライセンス販売とダウンロード販売チャネルの比率は順調に増加しており、2005年には新OS発売に伴う成長が期待される」とした。同社のダウンロード販売数についても、「ウイルス流行の影響もあって2003年第4四半期には大幅に拡大し、過去最高を記録した」とのことだ。また登録数についても増加を続けている。
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今後のソフトウェア販売市場と各チャネルの割合の予測
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ダウンロード販売数の推移
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ダウンロードコンテンツの登録数
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社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 専務理事 久保田 裕氏
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社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 専務理事の久保田 裕氏は、著作権保護の重要性について、「情報は人、もの、金に続く重要な情報資源。コピープロテクションやアクセスコントロールをかけることそのものが、価値あるコンテンツを提供しているとのユーザーへのメッセージになる」とした。また「数年後には、裸で著作物を出すことが、コピー許可の意志につながる、との法的評価が下る時代になる可能性もある」と見解を述べ、「技術だけでなく、法とルール、さらに社員教育の3つがバランスよく相まって、初めて著作権保護が展開できる」と語った。
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「著作権保護技術、法とルール、社員教育の3つのバランスが重要」とのこと
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国内でのソフトウェアの違法コピー率の推移
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イーディーコントライブ 代表取締役社長の山口 征浩氏は、今回の技術について「メーカーの負担を増やさない、販売サイトでのカスタマイズがいらない、ユーザーの利便性を損なわない、コンピュータウェーブからのこの3つの要望を実現し、負担がない仕組みを提供できた」と述べた。同氏は「ブロードバンドの普及と、光メディアの大容量化にあわせてソフトウェア流通形態も多様化している。簡単にコピーができてしまうが故に、罪の意識がないまま、業界にとっては非常に大きなダメージとなっている。不正コピー防止技術を通じて、著作権意識をユーザーに啓蒙したい」とした。
またこの技術により「販売本数増加、利益向上、開発コスト増加による質の向上、販売価格低下の好循環が生まれ、ユーザーにもメリットがある」とし、「業界一丸でこのような仕組みを作る必要がある」と述べた。
■ URL
株式会社コンピュータウェーブ
http://www.computerwave.co.jp/
ESDサービス
http://www.computerwave.co.jp/reseller/ec/esd/
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会
http://www.accsjp.or.jp/
イーディーコントライブ株式会社
http://www.ed-contrive.co.jp/
( 岩崎 宰守 )
2004/01/27 19:31
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