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富士通の経営執行役、稲垣 博正氏
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金融機関向けソリューション体系全体の概念図
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富士通株式会社は2月9日、銀行などの金融機関向けソリューション体系を新たに確立したと発表した。同ソリューション体系は、金融機関がビジネスモデル変革をスピーディに実現するためのもの。なおこの体系は、IT基盤「TRIOLE」、システム開発体系「SDAS」といった、従来より同社が展開しているプラットフォームに準拠した形で提供される。
現在では、銀行などの金融機関が、証券、保険などの異なる業態から商品を仕入れて販売することや、業務オペレーションを外部にアウトソースすることが一般的になってきているが、新たな接続システムをそのたびに開発していくケースが多い。また金融機関では、システムの更改や機能拡張などを長期にわたって行ってきたために、複雑化した既存システムの見直す必要性が出てきている。
こうした中で富士通は、1)他社との連携をスムーズに行うための「次世代ハブソリューション」、2)勘定系アプリケーションを部品化し短期間での導入を可能にする「金融ビジネスアプリケーションソリューション」、3)現行システムを活用しつつオープンプラットフォームへ円滑に移行させるための「トランスマイグレーションソリューション」の3つをリリースする。
これらの製品とコンセプトが似ているように見えるソリューションは各社から発表されているが、富士通の経営執行役、稲垣 博正氏は、「他社との違いは明確にある。1)では、連携の大切さは各ベンダーとも認識されていると思うが、次世代ハブを具体的にソリューションとして提供するものはない。2)では、国内で当社が長年販売、運用してきた実績のあるものをテンプレート化して提供するということ。また3)では、メインフレーム資産をオープンへ移行させるソリューションの中で、金融のコンポーネントへ大きく踏み込むものであること。これはまだ業界でも少ない」と語り、これらのソリューションが、同社が国内でメインフレームなどの基幹業務に関わる製品、サービスを提供してきた実績に裏打ちされたものだという点を強調した。
ただし、何でもこれらのソリューションによってオープンへ移行できるのかというと、そうではない。稲垣氏は「メインフレームの高信頼性では、どんなオープンシステムでもかなわない。メインフレームのそうした長所と、オープンシステムの持つスピード感を互いに生かし、最適な組み合わせでお客様に提供したい」と、まだまだ両者は併存していくという考えを述べた。今回のソリューションでも、3)のマイグレーションソリューションでは、メインフレームとオープンシステムでトランザクション処理の整合性を取る機能が、盛り込まれている。
なお同社ではこれらの製品に関して、今後3年間で600億円の販売を目標としており、25%ほどという現行の金融システム市場のシェアを、30%以上に拡大したい考え。
■ URL
富士通株式会社
http://jp.fujitsu.com/
プレスリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2004/02/9-1.html
( 石井 一志 )
2004/02/09 18:53
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