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SAPジャパン、複合アプリケーション製品群「SAP xApps」を発表

第1弾としてプロジェクト管理ツールを出荷

 SAPジャパン株式会社は、「SAP NetWeaver」を基盤としたアプリケーション「SAP xApps」の第1弾として「SAP xApp Resource and Program Management 2.0(xRPM)日本語版」を2月25日より出荷する。同社では今後1年間で10件の受注を目標としている。


SAPジャパン株式会社 バイスプレジデント 玉木 一郎氏
 同社バイスプレジデントの玉木 一郎氏は、同社のSAP R/3などのERP製品により、「ひとつのビジネスプロセス実現には、現在ではさほど時間がかからなくなった。この分野でのITの役割はある程度果たした」と述べ、「企業では、製品ライフサイクルの短期化をはじめとした市場の変化スピードに適応するため、次の市場への移行、またはカンパニー制への移行や合併統合といった、変革へのニーズがかつてないほど高まっている」と語った。そして「こうしたプロセスは、いまだに時間のかかるもの」とし、「ITの新しい役割として、こうした変化をサポートし、期間の短縮や効率化を支援したい」と述べ、「ビジネスの役に立つ形で、人、情報、プロセスを再統合するNetWeaverにより、この素地ができた」とした。

 またNetWeaverについては、「成長のためのスピードある変化を求める企業トップの立場と、業務を遂行するITの側からのTCO削減要求との間のギャップを埋めるEnterprise Service Architecture(ESA)を実現するプラットフォーム」とし、これをベースにした複合アプリケーション製品群のxAppsでは、「システムをゼロから作り直すのではなく、異機種の混在するような既存のシステムを利用しながら、短期間で新しいビジネスプロセスを作り出すことができる」と述べた。


統合プラットフォームの基盤となる「SAP NetWeaver」 ビジネスプロセス改革をサポートするパッケージ「SAP xApps」 変化に適用する企業プロセスを実現するESAの概念図

独SAP AG. バイスプレジデント xApps ウド・ワイベル氏

xAppsの製品ロードマップ
 独SAP AG. バイスプレジデント xApps ウド・ワイベル氏は、SAP xAppsについて「ビジネスプロセス改革をサポートするパッケージ製品」とし、「企業からのニーズをくみ上げ、これに対応するパッケージとして自社だけでなくパートナーでも開発されている」と述べた。また「企業における時間とコストの要求に応え、開発やコンサルティングを必要とせず、既存環境にそのまま導入できる」と語った。

 xAppsの今後のロードマップとしては、まず基盤となるNetWeaverの2004年版が第1四半期中(9~12月)にリリースされる。xAppsのラインアップとしては、製品・サービス開発プロセスにおける立案、用件管理、製品定義、設計評価などについて把握し、「アイデアを具体化するにあたって、余計な部分を排除し、具体的な商品開発につなげる」製品である「SAP xApps Product Definition(xPD)」、企業の吸収・合併において「特定の目標を設定し、個別の相手のもたらす効果を分析することで統合相手の選定と、合併プロセスを支援する」ことで、その成功の度合いを高める「SAP xApps Mergers and Acquisitions(SAP xMA)」、企業のプロセスを通じて、排出するCO2の値を一覧して必要なデータを管理し、報告義務に基づくとともに京都議定書などで定められた規則順守をサポートする「SAP xApps Emission Management(SAP xEM)」などが第2四半期までにリリースされる予定。

 本日発表されたxRPMは、すでにスイスや米国などでの導入実績があり、「ITによって自動化されていない、人の手を介するような仕事を自動化するソリューションとして高い評価を受けている」という。


SAPジャパン株式会社 ソリューション本部 NetWeaver ディレクター 菅沼 隆太氏
 同社ソリューション本部 NetWeaver ディレクターの菅沼 隆太氏は、xRPMについて、「企業内で動いている複数のプロジェクトの全体をリアルタイムで把握して、リスクやそれぞれの、優先順位、人的リソースの配分などの面で対応する、特に研究開発やIT投資のプロジェクトを効率的に管理できるソリューション」と述べた。

 同氏は「経営層には、プロジェクト間のバランスを把握し、その全体を見ながらリスク判断や進捗状況管理、予算やリソースの最適化といったポートフォリオ管理が行えるため、迅速な経営判断をサポートする」とし、プロジェクトリーダーには、「プロジェクトが立ち上がったとき、必要なスキルセットを持った人材を検索できる。また予算やスケジュールの管理も行える」とした。従業員にも、「キャリアプロファイルにより、キャリアアップのためのプロジェクト参加をサポートする」とした。

 また「情報はポータルを介してやり取りされ、複数アプリケーションからデータを吸い上げて活用できる。プロジェクト間をまたがる情報の共有や再利用も可能」だという。価格については「100ユーザーで4000~5000万円程度になる」ほか、「これを超えた部分も含め、実際にはユーザー数のライセンスになる」とのことだ。


xRPMは、経営層やリーダー、従業員へ向け、主に4つの機能を備える xRPMでのワークフローの流れ xRPMのアーキテクチャ。利用には「SAP BW」とポータル製品が必要になる


URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2004/02/26 00:00

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