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SAS桐井氏、「BIツールは使いこなしてこそ価値がある」


 SAS Institute Japan株式会社は4月7日、同社が3月31日に限定出荷を開始したBIプラットフォーム「SAS 9.1 日本語版」(以下、SAS 9)に関し、同社の戦略を解説するため、プレス向けの説明会を開催した。

 この中で同社の執行役員 営業本部 BIPlatform&EPM営業開発部 統括部長の桐井 健之氏が述べたのは、「BI(Business Intelligence)ツールは使ってナンボ」ということだ。そもそもBIとは、企業に蓄積されたデータを活用して、「次の一手」を判断するためのもの。「分析ツールは、入ったら明日すぐに売上があがるというものでは決してない。どう使っていくかというところを、お客様と一緒に考えて作っていく必要がある」と桐井氏が主張していたことは、今回のSAS 9でも重要なキーとなっている。


ユーザーに使い続けてもらうための、4つの柱

執行役員 営業本部 BIPlatform&EPM営業開発部 統括部長の桐井 健之氏
 今回のSAS 9では、大きな柱は4つ。1)環境を一括管理できる「SAS管理コンソール」の追加などによる運用管理性の向上、2)スレッド化など規模拡大に対応するためのスケーラビリティの確保、3)Javaサポートの拡張、業界標準のメタデータサポート、.Net FrameworkやOffice製品サポートなどの相互運用性強化、4)ユーザーの声を反映した操作性の向上、がその内容だ。

 そしてこれらのSAS 9の4つの柱は、BIツールやOLAPツールでありがちな「導入したが、結局使っていない」ということを避けるための仕組みにも気を配った結果でもある。仮説を立案しても、確認するためのデータをどこから持ってきていいのかがわからず、とても時間がかかってしまった、では意味がない。

 桐井氏はこの点に関して、「ひらめいてから最終的にインテリジェンスするまでの処理スピードをどれだけ速められるかが問題になる。また、新しい商品や分析軸の追加など、変化に迅速に対応する必要もあるが、個々にデータフォーマットが異なっていてはどうしても遅くなってしまう。(こうしたことを解決するために)エンドトゥエンドで、情報を取ってくるところから使うところまでを、共通の基盤とアーキテクチャで提供できるのは当社だけだ」と胸を張る。


1,000人の組織なら1,000人が使えるツールを目指す

SAS add-in for Microsoft Officeの画面イメージ
 また、ExcelなどをSAS製品のユーザーインターフェイスとして利用する「SAS add-in for Microsoft Office」では、特に専門的な知識がなくとも、複雑な操作を行わなくとも、SAS 9で集めたデータを活用することが可能になる。こうした、ユーザーが使い慣れたアプリケーションを取り込む手法は特に珍しいものではないが、桐井氏によれば、「限られたスキルセットを持った人間のみが扱えた以前のシステムとは異なり、たくさんの人が使えるインターフェイスを追加した」ことには、大きな意義があるという。「RDB(リレーショナルデータベース)では、何GBもの大きなデータから(必要なデータを)抽出したりマッチングしたりする作業を、ユーザーがストレスをためないパフォーマンスで運用できるものはなかった。RDBとは異なるアーキテクチャを持つSASのシステムなら、最終的にユーザーが使える形に進化させることが可能だ。1,000人規模の企業なら、1,000人が使えるシステムを目指す」(同氏)。


限定出荷の理由は?

 いくら使いやすくなったとしても、BIツールを「使い続けてもらう」ためには、ソフトウェアの機能だけでなく、トレーニング、コンサルティングなどのサービスや、事例提供など、さまざま支援も必要になる。今回、SAS 9がまず20社をめどとした“限定”出荷になっているのは、これが理由だ。

 桐井氏は「BIというのは、ツールだけを拡販すれば使ってもらえるものではない。ただ販売するだけなら、20どころが100でも200でも販売できるだろうが、本当に(SAS 9とBIを)理解して頂いて、成功事例を作っていくことが一番大事だと考えている。お客様と相談しながら、SASを使ってエンドトゥエンドのBIソリューションを使いたいというお客様の趣旨を確認し、きちんとしたサポート、サービスを提供していく」意向を再度強調し、説明会を締めくくった。



URL
  SAS Institute Japan株式会社
  http://www.sas.com/offices/asiapacific/japan/

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( 石井 一志 )
2004/04/07 19:22

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