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SAPジャパン、統合プラットフォームの最新版を発表


 SAPジャパン株式会社は、統合アプリケーション・プラットフォームの最新版「SAP NetWeaver 2004」を4月12日より出荷する。また70社の参加する「SAP NetWeaverパートナー・コンソーシアム」の発足もあわせて発表した。同社では2004年末までに120社以上の受注を目標としている。


SAPジャパン株式会社 ソリューション本部 NetWeaver ディレクター 菅沼 隆太氏
 SAP NetWeaver 2004は、バージョンアップにより、基盤となるWebアプリケーションサーバー「Web AS 6.4」の上に構築される統合アプリケーションプラットフォームとなった。このバージョンアップに伴い、これまで個別に出荷していたポータル、BI、データマネジメントなど6つの構成コンポーネントもバージョンアップされ、今後はNetWeaver 2004として単一のパッケージで同時に出荷される。同社ソリューション本部 NetWeaver ディレクターの菅沼 隆太氏によれば、「価格体系もシンプルなものになる」とのことだ。

 またNetWeaver 2004では、「技術的なツールとしての側面ではなく、これにより実現できるシナリオ、テンプレートをプリパッケージし、TCO削減に貢献する」ことに主眼が置かれている。例えば「SAP以外の異種混在環境も踏まえた運用監視、ジョブコントロールといったIT環境全体のモニタリングなどの集中監視」や、「ERP実行環境からのレポートに『SAP BW』を用いる場合の、ポータルと組み合わせたPUSH型の情報発信」をはじめとした、複数のシステム間にまたがるさまざまなビジネスプロセス管理が可能になるという。

 このほかモバイルやRFIDにも対応する新機能も実装されている。また同社のmySAPソリューションや業種別アプリケーション「xApps」も、この上での動作を前提としている。さらに将来的にはオープン標準を基盤によるアプリケーション開発のためのフレームワークも提供していくとのことだ。


6つのコンポーネントを1つの製品にパッケージしたNetWeaver 2004 mySAPやxAppsといった同社のソリューションも、NetWeaver上での動作を前提としている さまざまな標準化規格に対応するオープン性も、従来のSAP製品との違いのひとつ

SAPジャパン株式会社 代表取締役社長 藤井 清孝氏
 同社代表取締役社長の藤井 清孝氏はNetWeaverについて、「企業における多くの部門など利用されている異システムそれぞれで、標準化、データモデルの整理を行うことで、コスト削減やセキュリティの確保、ビジネス変化への対応を実現するEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)を実現する手段」とした。

 そして「既存投資を生かしながら、重複投資を避けてコストを削減する直近の課題を解決していく」とし、さらに「業種によってサプライヤーやパートナーとなどの関係企業までのシステムの統合性を高め、ビジネス環境の変化に対応できるスピードと全体最適を提供していく」と述べた。また「ユーザーが業務を遂行できるよう、裏側のテクノロジを意識させずにWebを介したサービスのレベルでの統合を提供する」とした。


SAPジャパン株式会社 バイスプレジデント マーケティング・ソリューション統括本部長 玉木 一郎氏
 同社バイスプレジデント マーケティング・ソリューション統括本部長の玉木 一郎氏は、NetWeaver発売からの1年間を、「2004年1月までに、ワールドワイドベースで導入件数が倍増し、非常に大きな成功と認識している」と振り返った。国内でも「2003年には個別に多くの製品発表をし、それぞれ当初は限定的な顧客への出荷を行っていたが、SAP BIの導入は500を超えるなど、実に各分野で成功している」と述べた。

 また「NetWeaverの市場投入後、これまではビジネスアプリケーション重点だったために密とは言えなかった開発者との関係を転換し、2003年後半から開発者向けの「SAP Developer Network」において製品の詳細な技術情報を提供するなど、オープン、標準化へ向けた取り組みを進めている」と語った。

 また世界50都市を巡回する「NetWeaverワールドツアー」、「SAPPHIRE '04 Tokyo」、技術者向けの「Tech ED」といったイベントも積極的に開催するとのことだ。


 あわせて発足が発表されたパートナーコンソーシアムの参加企業であるアクセンチュア株式会社 アジアパシフィック テクノロジー統括パートナーのゲイリー・J・フィッツジェラルド氏はNetWeaverについて「既存システムを統合する上でのギャップを埋め、実装の短期化、各種の応用が可能なプラットフォーム」とし、「J2EEやWebサービスといったオープン標準とも連携し、時代の要請にマッチしている」と述べた。

 アビームコンサルティング株式会社 SAP統括責任者の影山 泰仁氏は、同社が125の企業に対して行った「IT投資成功度調査」の結果として、「過去3年のIT投資で期待通りの成果を挙げた企業は3割しかない一方で、8割の企業ではIT予算が増加、もしくは横ばいとなっている」との結果を示し、「継続的な投資にもかかわらず、期待通りの投資効果が実現されていない」とした。そしてNetWeaverにより、「多様な既存システムへの課題に対応するオプションが広がり、残り7割の企業に対しても、目に見える成果を提供できる」とした。同社では「ERPの浸透率の低い業種にも新たなアプローチをしていく」という。

 ベリングポイント株式会社 営業統括本部長の高浜 成行氏は、NetWeaverを「ビジネスプロセス再構築でのビジネス展開のツールとなり、従来のERPを補完、その領域を拡大する戦略プロダクトとして位置付けている」とした。

 このほかSAP NetWeaverパートナー・コンソーシアムには、富士通、日本HP、日本IBM、マイクロソフト、サンなどのテクノロジーパートナーを含む約70社が参加を表明している。


アクセンチュア株式会社 アジアパシフィック テクノロジー統括パートナー ゲイリー・J・フィッツジェラルド氏 アビームコンサルティング株式会社 SAP統括責任者 影山 泰仁氏
ベリングポイント株式会社 営業統括本部長 高浜 成行氏


URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.co.jp/
  SAP NetWeaver
  http://www.sap.co.jp/japan/solutions/netweaver/
  SAP Developer Network(英語)
  https://www.sdn.sap.com/

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( 岩崎 宰守 )
2004/04/12 15:38

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