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「製造業のお客様のために尽力」する、SSAグローバルの企業戦略


 SSAグローバルは4月13日、プレス向けの戦略説明会を開催し、同社の戦略と製品に関する解説を行った。その中で同社の代表取締役社長、リチャード・ライアン氏が繰り返し強調していたのは、「今後も製造業向けにフォーカスした製品を提供していく」ということだ。


代表取締役社長 リチャード・ライアン氏 ソリューション・マネージャー 南 昇吾氏

相次ぐ買収で「マルチソリューションベンダ」へ

日本におけるERP事業のライセンス売上高(左)、同SCMライセンス売上高(右)。SCMを用いる製造業分野でのSSAグローバルの強さが見える
 2003年、SSAグローバルの米本社であるSSA Global Technologiesは、オランダのBaanや米EXE Technologies, Incを買収したが、これを受けて、国内でもすでにブランド名を「SSAグローバル」に統一したほか、現在では「お客様にとって最適なものを販売するため」に、営業部隊も1つに統合されている。

 ライアン氏によれば、「現在の当社の前身であるSSAグローバルテクノロジーズでは、2年前には単一のERP製品しか持っていなかったが、BaanやEXEといったコア製品を持っている企業の買収により、複数のソリューションを持つベンダになった」という。また、同社のソリューション・マネージャー、南 昇吾氏は「ブランドは統合したが、3社の製品ともに今後も投資を継続し、マイグレーションやバージョンアップといった形で市場へ供給を続けていく」と述べ、製品が増えたことによるプラス面をアピールする。

 しかし、「3社統合で製品が増えたからといって、それをお客様に押しつけることはしない」とも南氏は強調する。「製品が多いと、まず機能ありき、になりがちで、以前は製品を優先していたこともあった。しかし今では、お客様の要求を中心として、解決法、すなわちソリューションを前面に押し出して展開している」と同社の姿勢を語る。


2本の柱を中核に製造業の周辺ソリューションを強化

BPCSとBaan ERPの違い
 同社がソリューションのベースとするのは、「この2つで製造業のすべてエリアをカバーする」(南氏)という、「SSA BPCS(ビーピクス)」と「SSA Baan ERP」の2つのERP製品だ。BPCSはプロセス系に寄った製品であり、Baan ERPは比較的部品数が多い組み立て系に適した製品だが、これらをもとに、SRM、CRM、PLM、会計などを組み合わせ、顧客のニーズに応じてソリューションを提供していくという。

 また南氏が「(前記2つの)ERP、SCM、WMS(Warehouse Management System、倉庫管理システム)を当社の中核分野として展開する」と述べたように、製造した製品を、実際に市場に持ってくるための物流の部分、倉庫管理の部分をERPと連動させ、同社の強みとして展開していきたい意向もある。

 このうち、Baan ERPは名前が示すように出所が一目瞭然(りょうぜん)だが、同社が提供するWMS製品「SSA Warehouse Management」も、もともとEXEが持っていたEXceedの名称を変更したもので、ともに買収・統合によってSSAグローバルが得たプロダクトだ。こうした同社の戦略についてライアン氏は、「お客様が必要とするものが何か、を考えて買収を行っている。おそらく将来にも(他企業の)買収が行われるとだろうが、それは流通を補完するものであると思う」と、さらなるこの分野の強化を示唆した。


グローバル企業の対応のため、会計製品を別立て

 なお、今後の同社製品の展開については、少なくとも2006年まではBPCS系が「SSA iSeries ERP」として、Baan ERP系が「SSA UNIX ERP」として、別々のロードマップが示されているが、将来的には一本化する方向で進んでいるとのこと。加えてこのロードマップでは、ファイナンシャル(会計)のシステムをERP製品の1モジュールとしてではなく、別立ての製品として用意することが示されている。これに関してはライアン氏は「当社のERP製品の会計機能では、グローバル企業の複雑なファイナンシャルソリューションには対応しきれない現状があるため」と説明する。ただし、シンプルな会計機能しか必要としないユーザーには同社のERP製品に付属する機能で十分であるということ、別立てのファイナンシャル製品を利用する場合でも、完全に他製品と統合されたソリューションとして出荷されること、の2点を付け加えた。


日本市場での方向性は?

 また、同社が持っているSMB向けのERPソリューション「SSA MAX+」に関しては、「日本ではこの市場に競合他社が多くある」ことから日本語化の予定はなく、日本での展開は考えていないと述べたライアン氏だが、一方で日本市場全体に関しては、「世界第2位の規模であり、また製造業だけを見れば世界で一番大きな市場といってもいい。中堅以上の規模でまだレガシーシステムを使用している企業も多い」とし、マーケットとしての魅力があることを強調。サポート、コンサルティングなどの部門を順次強化してことをアピールしながら、今後もさらなる人員の増強を行っていくという姿勢を示していた。



URL
  SSAグローバル
  http://www.ssaglobal.co.jp/


( 石井 一志 )
2004/04/13 19:11

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