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マイクロソフト、複数のOSを仮想的に動作させる「Virtual PC」の最新版を5月より発売


 マイクロソフト株式会社は、Windows XP ProfessionalやWindows 2000上でWindows 98など異なる複数のOSを仮想的に動作させることができるソフトウェアの最新版「Microsoft Virtual PC 2004」を、5月14日(ボリュームライセンス版は5月6日)より発売する。

 Virtual PC 2004は、1台のPC上で動作するOS(ホストOS)上に複数の仮想的なPC(バーチャルハードウェア)環境を構築し、その上で同一または異なるOS(ゲストOS)をインストール・動作させることができるソフトウェア。現行バージョンのOSのほか、Windows 98やNT 4.0など旧バージョンのOSにも対応するため、それらでしか動作しないアプリケーションを現行バージョンのOS上で利用することができる。


Virtual PC 2004のパッケージ Virtual PC 2004の動作イメージ Virtual PCのアーキテクチャ

 Virtual PCは、米Microsoftが2003年8月に米Connectixから技術を買収したものだが、今回のバージョンアップではアーキテクチャの再設計が行われている。特にネットワーク機能が強化されており、バーチャルOSごとに仮想ネットワークカードを最大4台まで動作可能となったほか、ホストOSのネットワークカードを介した通信以外に仮想OS間のみのクローズドなネットワークや、NAT機能を利用してのプライベートネットワークの構築が可能となった。

 さらに、(1)バーチャルマシンの構成情報がXMLフォーマットのファイルに保存されるためバーチャルマシンを他のPCにコピーすることが容易になった、(2)メモリの割当がゲストOSごとに最大3.6GB、全ゲストOS合計で4GBまで可能となった、(3)ホストOSとゲストOSの操作が統合され、両OS間のカットアンドペーストやドラッグアンドドロップによるファイルのコピーが可能となった、(4)ゲストOSのすべての変更を一時ファイルに保存する設計になったことにより前回終了時の状態をすばやく呼び出すことや、一時ファイルを削除することによっていつでも初期状態に戻すことが可能となった、などの機能向上が行われている。


ホストOSとゲストOSの間でファイルをドラッグアンドドロップでコピーできる ゲストOSを終了する前に変更を保存するかどうかを選択できる

ウィンドウズビジネス本部Windows製品部クライアントグループ 中井陽子氏
 なお、ゲストOS上ではUSBやIEEE 1394ポートの標準ドライバが提供されないため、別途ドライバが必要な周辺機器は利用できないので注意が必要。ウィンドウズビジネス本部Windows製品部クライアントグループの中井陽子氏によると「今年中にUSB 2.0をサポートする差分アップデートを提供する予定」としている。

 対応OSは、ホストOSがWindows XP Professional(Tablet Editionを含む)、Windows 2000 Professional。ゲストOSはWindows XP Home/Professional、Windows 2000 Professional、Windows NT 4.0(SP6以上)、Windows Me、Windows 98/98 SE、Windows 95、MS-DOS 6.22(Windows 3.1を含む)、OS/2 Warp Ver4(FixPack15以上)。なお、ゲストOSでLonghornやLinuxも動作可能だが、同社ではサポート対象外としている。

 製品は量販店で購入できるリテールパッケージとボリュームライセンスが用意される。パッケージ版の推定小売価格は15,800円。ただし、前バージョンではゲストOSのライセンスが付属していたが、本バージョンより別売となったため別途用意する必要がある。また、Windows 98以降でPCに付属してきたOEMライセンスはVirtual PC上で利用できないので注意が必要。すでに販売が終了しているOSは「パッケージ版を持っているユーザーのみ利用できる」(同社)とのこと。

 なお、同社のWebサイトにて45日間の利用可能なトライアル版が公開されており、無償でダウンロードできる。

 同社では「約60%の企業が自社開発アプリケーションなどの互換性の問題から旧OSを利用し続けている」(中井氏)というユーザーに対して、Virtual PC 2004を提供することによりクライアントOSのWindows XPへの移行やPCのリプレースを推進する考えだ。

 なお、Virtual PCシリーズはこのほか、Macintosh版の「Virtual PC for Macintosh」と、サーバーOSに対応する「Virtual Server」が用意される。Macintosh版はすでにVersion 6.1が発売中のほか、最新のVersion 7が「Microsoft Office 2004 For Mac Professional Edition」に付属して7月23日より、Virtual Serverは、夏以降にそれぞれ発売予定とのこと。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=1898
  製品情報・トライアル版ダウンロード
  http://www.microsoft.com/japan/windowsxp/virtualpc/


( 朝夷 剛士 )
2004/04/19 19:43

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