エス・エス・ジェイ株式会社は5月13日、統合業務パッケージ「SuperStream」用にアドオン開発され、企業で利用されている帳票類をパートナー間で流通させる「SuperStream 帳票モール」を7月上旬よりインターネット上に開設することを発表した。これにより同社では、2005年3月末までに4,000社へのSuperStream導入を目指す。
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エス・エス・ジェイ株式会社 代表取締役社長 佐藤 祐次氏
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昨年は新規導入が500社を超え、累計で3,466社に
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過去10年の導入企業の規模推移
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エス・エス・ジェイ株式会社 代表取締役社長 佐藤 祐次氏は、SupreStreamの実績について「昨年1年間で新規に517社の企業に導入され、累積導入企業は2004年3月末現在で3,466社に達した」と述べた。このうち上場企業は約1割強で推移しているという。
過去5年間を見ると、「1998年から2000年までは、Y2K問題でのオフコンからのリプレース需要など、中堅製造業の導入が活発だった」とし、「2001、2002年は不況の影響で全体の数は若干落ち込み、それまでなら海外製のERPパッケージを導入していたような、想定顧客以上の中堅上位から大手の企業での導入が増加した」と述べた。
それが2003年からは、「連結決算の義務化による企業グループ内の人事会計システム一新や、系列展開による統合など、大手企業グループの子会社群での採用例が増え、導入数が2000年までのレベルに戻った」という。
SuperStream導入では「カスタマイズのケースはほとんどない。パートナーが開発するのは販売、生産システムとの連携インターフェイス、アドオン帳票の2つに絞られる」とのことだ。400以上の帳票をあらかじめ備えているが、「業種や業態、経営の特色、個別のニーズによりアドオン帳票が作成される場合が多く、これをすべて製品に取り込むのは難しい」という。
国内ERPパッケージベンダーとしては直販を手がけず、すべて間接販売を行う同社では、「今回のモール開設により新たなパートナーシップを構築することで、年商100~300億規模の中堅下位企業への導入で特に求められる導入コスト削減と短納期を実現し、2004年からは再び導入増の兆しがある中堅製造業への再開拓の施策としたい」と語った。
パートナー側でも「開発工数を削減して短納期とすることで、多くの顧客に提供でき、収益メリットにつながる。また競争優位に立てる大きな要因にもなる」とした。またパートナーの間で、「昔の敵同士から、短期提供が価値向上との認識が高まり、資産を流通したいとの意見も出てきた」ことも、今回の開設につながったという。
同社のパートナーは73社で大きく3つのパターンに分かれるという。大手企業の情報システム子会社では、「企業内の情報処理の効率化や経営指標整備のノウハウを、同業や隣接する業界他社へ外販するなど、業務の枠を広げるメリットがある」とした。また上流コンサルティングをメインにしたパートナーでは、「コンサルのベースとなる帳票をさらに広めることができる」。そして全国展開している導入中心の大手ISV、SIでは、「これまでは首都圏で構築した帳票の情報を、関西、九州、中部などの地方にうまく流通できなかったため、その手段として役に立つとの声を頂いている」とした。
また顧客側では「パッケージにあわせることで業務改革をしたいとのニーズがあるが、同業各社の帳票を閲覧できることで、有効なノウハウの蓄積がシステムの質を上げ、経営視点でのアイデア発見につながる」とした。
SSJでは、今回の施策とあわせて、4月に発表されている技術者認定制度も開始し、「パートナーのスキルレベルを一定に保証することで、顧客への安心感を与えたい」とした。
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エス・エス・ジェイ株式会社 取締役 マーケティング本部長 加賀屋 純一氏
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「帳票モール」における帳票のやり取りの流れ
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エス・エス・ジェイ株式会社 取締役 マーケティング本部長の加賀屋 純一氏は「企業規模や業種、特性にあわせた機能を追加すれば、操作性やレスポンスに影響が出るため、パッケージでは最大公約数的な機能を網羅する」とし、「機能のギャップを埋めるため、汎用的ではない帳票類の追加開発が行われている」とした。そして今回のモール開設について「導入3500社の半分で眠っている帳票を掘り起こして、関係者のメリットを呼び起こしたい」とした。
モールへの帳票の登録はパートナーが申請を行い、SSJでの開発規約や著作権の権利関係などを審査を経てモールに登録される。またメンテナンスへの保証として、すでに稼動している帳票のみが対象となる。導入企業は閲覧のみ可能で、導入サポートパートナーが見積もりをとり、開発パートナーに発注、納品にいたる流れとなる」とした。登録票表数はスタート時点で200~300が見込まれており、2005年3月までに500を目標とする。
モールの利用パートナーは月額5000円の登録料が必要となるほか、取引価格の10%がSSJが受け取るという。帳票の価格はパートナー任意だが、帳票の大きさと汎用性の高さで判断し、基準として「オーダーメイドの1/3程度の費用」(佐藤社長)となる30~70万円が設定される。また帳票は基本的に売り切りで、メンテナンスも付加される場合は情報としてモールに掲載される。
パートナーは帳票モールにより、「ユーザーから購買動機を喚起し、新たな需要を生む」ほか、開発パートナーは、「帳票開発コストを回収でき、利益率も向上する」とした。また「積極的に帳票を掲載することが実績やノウハウのアピールになるとの声も寄せられている」という。
SSJでは、「この仕組みによりパートナーのノウハウや実績を一体化して、基本機能に加えて汎用度を高めることで、製品の競争力が向上したい」とのことだ。また今後は、システムとしてのアドオン、連携システムを紹介するSAFカタログなどの情報についても、対象として検討していくなど「サービスマーケットプレイスとしての位置付けを確立できるのではないかと考えている」という。
■ URL
エス・エス・ジェイ株式会社
http://www.ssjkk.co.jp/
( 岩崎 宰守 )
2004/05/13 18:28
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