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SAPジャパン、R/3後継のERPパッケージ「mySAP ERP」を7月より出荷


 SAPジャパン株式会社は、統合アプリケーションプラットフォーム「SAP NetWeaver」を基盤にしたSAP R/3の後継製品「mySAP ERP」を7月5日より国内販売する。


SAPジャパン株式会社 バイスプレジデント マーケティング・ソリューション統括本部長 玉木 一郎氏
 同社バイスプレジデント マーケティング・ソリューション統括本部長の玉木 一郎氏は、1992年に発売されたERPパッケージ「SAP R/3」を「これまでの成功の礎」と表現した。R/3では、それまで個別に動作し、バッチ処理でデータを統合していたシステムを、ひとつの統合データベースで管理することで、業務プロセスの統合、情報効率化、データの整合性確保などが実現されていた。

 しかし同氏は「今日ではシステムの効率化が進展し、収益性確保や売上拡大による企業の成長へと軸足を移すときが来た」と述べた。mySAP ERPでは「企業の能力を最大化するために、コアコンピタンスへのフォーカス、経営戦略の共有化、従業員の能力の最大化ができる仕掛け作りを実現する」と語った。


NetWeaverを基盤にしたmySAP ERP

業務フローをモニタリングする「SENSE&RESPOND」の機能

各製品とも通常サポート5年、保守料金+2%で1年、+4%で2年の延長サポートとなった
 mySAP ERP 2004は、同社の「mySAP Business Suite」の1製品。「mySAP ERP 2003」ではコア部分にR/3を引き継ぎ、これにNetWerverをバンドルした形だったが、これを刷新してより結びつきを強めている。

 R/3でのモノリシックなアーキテクチャとは違い、ESAにより一部サービスがモジュール化されたほか、ユーザーインターフェイスとビジネスロジックも分離され、メッセージを管理する「SAP XI」により接続される。そして各々の業務フローをポータルに統合することも可能となっている。

 ポータルには、ユーザーごとの業務フローの流れや、RFIDとの連携により物流をモニタリングし、次の作業を行うユーザーにアラートを表示することで、業務処理におけるリードタイムを圧縮する「SENSE&RESPOND」の機能も備える。また業務アプリケーションにPDFのフォームを組み込むことも可能になっている。

 また、J2EEやWebサービスといった標準技術に対応するNetWeaverをベースにするため、さまざまなシステム間を緩やかに結合できる。これによりビジネス環境に即応する変化対応力の向上と、他ベンダーや社外のシステムとの連携を実現している。

 ESAに基づくサービスのモジュール化については、同社では2007年までにすべて完了するとしている。玉木氏は「これまでのR/3が3割だとすれば、今回は7割。その意味では製品名は変更されている。しかし既存のR3ユーザーも新規に導入開発することなく、通常のアップグレードと同様に利用できる」とのことだ。

 mySAP ERPは、CRMやSCMなどを含むBusiness Suiteとしての購入のほか、ERP単体での導入も可能となっている。またモジュール化によりBIツール「SAP BW」と連結会計などが可能な経営管理ツール「SAP SEM」を、同一サーバーで運用できるようになった。これにより導入・運用コストの削減にも効果があるという。

 これまでのコンポーネントごとのサポート体系も一新され、よりシンプルになるとともに、サポート期限が最大8年に延長されている。これにより業務上必要なタイミングで、バージョンアップできるように融通性を持たせたという。



URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.sap.co.jp/company/press/press.asp?pressID=2817

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( 岩崎 宰守 )
2004/05/20 16:32

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