Enterprise Watch
最新ニュース

マイクロソフト、国内独自のOffice製品「電子名刺交換ソフト」を発表


 マイクロソフト株式会社は、Microsoft Office Systemの新製品「Microsoft Office InterConnect 2004」を5月27日に発表するとともに、ベータ版の提供を開始した。製品は2004年第4四半期より出荷の予定。

 InterConnectは、名刺交換がビジネス習慣として根付いている国内市場向けに独自開発された製品。Outlookのメール機能を利用して電子名刺を交換、その中の住所や電話番号などの情報を住所録に自動抽出することで入力の手間を省く。相手先がInterConnectを利用していない場合には、5月27日より無償ダウンロード提供されるInterConnect Liteを用いれば交換が可能になる。

 通常の住所録はOutlookのものを参照し、名刺のやり取りの履歴、関連するメモやミーティングの議事録、経歴や他の人との人脈、また相手先に提出した関連ドキュメントの履歴などの情報を別の専用データベースにより一元管理する。移転や肩書変更による情報変更の際には、新たに送られてきた名刺情報により、更新を効率化できる。

 このデータベースはXML形式とのことだが、サーバーにデータベースを設置し、そこに複数ユーザーがネットワーク越しにアクセスしてデータを共有するような使い方は想定されておらず、基本的にはスタンドアロンでの利用となる。外部とのやり取りは、Outlookを介したメールの形式、あるいは名刺OCRや住所録のCSV/XLSデータからのインポートに限られている。

 対応OSはWindows 2000 SP3/XPで、Outlook 2003が別途必要になる。InterConnect Liteでは、Outlook Express 6.0、Outlook 2000以上との連携が可能だという。

 InterConnect Liteでは、電子名刺のデザインや、情報更新、ニュース配信での制約があるほか、名刺以外のメモや経歴、人脈といった情報や、関連ドキュメントの保存、電子証明書による認証や暗号化通信に対応していない。なお同社では発売に先立ち、ベータ版を5月27日よりWebサイトで無償提供する。なおOutlook以外のメールソフトでは、通常のHTMLメールと同じ扱いになる。


名刺のサムネイル一覧が表示されたInterConnect 2004の画面 基本情報に加え、交際情報、関係/経歴、コミュニケーションのタブからさまざまな情報を表示する
Outlook 2003でメールを受信すると、このように表示される

マイクロソフト プロダクトディベロップメント リミテッド プレジデント 藤井 照穂氏
 マイクロソフト プロダクトディベロップメント リミテッド プレジデントとして、マイクロソフト製品の日本語版と、極東地域向け製品の研究開発を総括、指揮する藤井 照穂氏はMicrosoft Office Systemの製品群について「既存製品の進化とともに、新たな製品分野へ拡張するベクトルがある」とし、昨年発表の「OneNote」、「LiveCommunications Server」がこれにあたるとした。本日発表のInterConnectもこの流れに位置づけられる。

 同氏は「名刺交換はビジネス上で人間関係を構築する最初のプロセス」とし、「特に日本社会では、人間関係の占める役割が大きい。信頼関係の構築を育み、ビジネス可能性を広げる“パーソナルリレーションシップマネジメント”を開発コンセプトにしている」と述べた。


マイクロソフト株式会社 インフォメーションワーカービジネス本部 本部長 横井 伸好氏
 マイクロソフト株式会社 インフォメーションワーカービジネス本部 本部長 横井 伸好氏は、「名刺交換は、日本のビジネスマンにとって極めて重要なプロセスだが、名刺管理は、個人の自由にゆだねられており、さまざまな問題がある」と述べた。また「紙の名刺の情報はすべて静的なもので、人事異動や移転により、いつか陳腐化する」とし、名刺交換を頻繁に行う営業、秘書、また広報や報道など幅広いユーザー層へ向けて販売を行いたいとした。

 同氏は、「紙の名刺が廃れることはないだろうが、この弱点を補う追加媒体として、電子名刺の交換を新しいビジネス習慣として定着させたい。時間はかかるだろうが、そのためにインストールベースが多いOutlook 2003の環境向けとし、無償版も提供するなど最初のハードルを低くしている」と語った。


右から日本ベリサイン株式会社 取締役副社長兼COO 橋本 晃秀氏、株式会社ダイヤモンド社 常務取締役 松室 哲生氏、ウォーカープラス 代表常務取締役 岩崎 孝司氏
 なお同社ではInterConnect提供にあたり、名刺OCRソフトウェアを提供しているエー・アイ・ソフト株式会社、富士通株式会社、株式会社PFU、メディアドライブ株式会社の各社のほか、証明書を発行する認証サービスで日本ベリサイン株式会社と、また人事情報やニュース情報などの情報サービスを提供する株式会社ダイヤモンド社、Webサイト掲載のレストラン情報を提供する株式会社ウォーカープラスとの提携をあわせて発表している。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=1940
  InterConnect 2004
  http://www.microsoft.com/japan/office/iconnect/prodinfo/default.mspx


( 岩崎 宰守 )
2004/05/27 19:58

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.