ソースネクスト株式会社は6月17日、法人市場への本格参入を発表、日本オラクルの「Oracle JDeveloper 10g(以下、JDeveloper 10g)」(7月23日発売)や、サン・マイクロシステムズの「StarSuite 7」、PDFファイル作成ソフト「いきなりPDF」など23ジャンル、50タイトルのソフトウェアをコンシューマ向けと同額の1,980円で発売する。ソースネクスト代表取締役社長の松田憲幸氏は売上目標について「初年度10億円、5年後の2009年までには200億円を目指す」と強気だ。
■ 「パソコンソフトを文房具に」と松田社長
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ソースネクスト代表取締役社長 松田憲幸氏(左)と日本オラクル代表取締役社長 新宅正明氏(右)
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法人市場の売り上げ目標
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同社は2003年2月からコンシューマ向けソフトの多くを1,980円に設定、家電量販店をはじめ書店やコンビニエンスストアなどでも販売するなど、PCソフトの「コモディティ化戦略」を展開してきたが、これを法人市場にも拡大する格好となる。販売経路はコンシューマ向けと同じ店頭のほか、代理店・コールセンター・オンライン販売など複数のチャネルが用意される。
なお、サポートは土日も含む、週7日のメールサポートのみ。ソースネクストによると、安価で提供することで高度なサポートを求める人は減る傾向があることがこれまでのコンシューマビジネスでわかっており「メールサポートだけでもユーザーの要望に応えられる」としている。
ソースネクストが行った調査によると、PDF作成ソフトにおいてライセンス料が高額なため希望台数分を購入できず平均で23人に1台の割合でしか導入されておらず「PDFの担当者にファイルの作成を依頼するといったことが行われていて業務効率を落としていた」(松田氏)という。そこで文房具のように1人1台が導入できる価格に設定するほか、まとめ買いがしやすいスリムパッケージの採用、コンシューマ市場で築いた販売チャネルを利用することなどで、法人市場でもソフトウェアのコモディティ化を浸透させる構えだ。まずは既存のコンシューマ向けに発売中の50タイトルでスタート、2005年3月までに100タイトルをそろえる予定だという。松田氏は「PCソフトは法人向けが全体の85%を占め、需要が圧倒的に多い」と“新たな”法人市場の拡大に自信を見せた。
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「何人に1台の割合でPDFソフトの導入が導入されているか」調査結果
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「いくらであれば台数分のライセンスを購入するか」の調査結果
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■ 1,980円のJDeveloper 10g、日本オラクルの狙い
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開発ツールの価格比較
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法人向けソフトのラインアップとして最も注目されるのが、日本オラクルの最新のJava統合開発環境のJDeveloper 10gだ。オリジナル版価格130,620円が1年間の使用期限付きながら何の機能制限もなく1,980円という、企業向け開発ツールでは前例のない価格で販売される。日本オラクル代表取締役社長の新宅正明氏は「個人でも買える価格でツールを提供することでJavaの開発者を増やしたい」と語る。Java開発環境の敷居を低くし開発者数を増やすことで、ほかのOracle 10gシリーズをはじめとした「その先のビジネスにつなげる」(新宅氏)のが大きな狙いだ。
これはCやCOBOLなどのレガシー言語を扱うユーザーの取り込みや、他社のJava開発環境、.NETやVisual Basicなどマイクロソフトの開発環境を強く意識した戦略でもある。マーケティング本部本部長の清水照久氏によると、これまで導入を検討するユーザーに対して体験版を配布してきたが、「誰が使っているのかわからなかった」。ソースネクスト製品のユーザー登録率が高いことから、利用者を把握するためのマーケティングツールとしても活用していく考えだ。新宅氏は「Oracleの中でも世界に先駆けたケース。成功すればアジアなどでも展開していきたい」とワールドワイドでのテストケースであることを示唆した。
■ URL
ソースネクスト株式会社
http://www.sourcenext.com/
日本オラクル株式会社
http://www.oracle.co.jp/
ニュースリリース
http://www.sourcenext.info/sp/press/040617_bungu.html
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( 朝夷 剛士 )
2004/06/17 17:30
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