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日本IBM、サーバーリソースを仮想化するJ2EEミドルウェア
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は、J2EEアプリケーションの負荷に応じて動的にサーバーリソースを割り当てるミドルウェア「IBM WebSphere Extend Deployment(以下、WebSphere XD)」を第4四半期より提供する。
WebSphere XDは、Webサーバー用途のクラスタ環境などで多くの採用例がある「WebSphere Application Server Network Deployment v5.1」の追加アドオンとして動作する製品。世界各国の大手製造業、金融機関など10社で、6月24日よりベータテストが開始されている。
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業部 ディスティングイッシュド・エンジニア WebSphereアーキテクト 清水敏正氏
WebSphere XDの管理画面イメージ。面積と色で付加の状態を把握できる
WebSphere XDではデータベース内のデザインパターンに応じて、各ノードへデータをキャッシュ、トランザクション量を抑える
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業部 ディスティングイッシュド・エンジニア WebSphereアーキテクトの清水敏正氏は、「ITはビジネスに貢献すべきで、あくまで目的でなく手段」と述べ、「いい意味で単純に使えなければならない」とした。そしてWebSphere XDを「SOAを提唱しながらこれまで製品ラインの空白となっていた、オンデマンドビジネス向けとなる分散環境でのJ2EE実行環境」と位置づけた。
製品化にあたっては「ミッションクリティカル分野で求められる安定性や、信頼性が高くダウンタイムの少ない環境での利用を意識し、大手SIとともに国内の要求を汲んで反映している」という。
そして「現在市場では、大型サーバーではなく、2Wayを中心とした安価なサーバーのノードを増やすスケールアウトへのニーズが大きい」とし、ブレードサーバーをはじめとした環境への展開を考えているとした。そうした場合、サーバー台数が増すにつれて管理面の問題も生じるが、「アプリケーションの稼動状態をビジュアル化し、負荷の大きさを面積と色で判断できるインターフェイスを最終版では考えている。これにより問題のあるものが一目で把握できるようになる」という。
またWebSphere XDでは、「これまでは固定的だったデプロイターゲットを仮想化して」、CPU利用率に応じてアプリケーションのワークロードを分散しているが、「常にフィードバックを監視し、問題があればサーバー台数を増やす、優先度の低いものから割当を変更するといった手段を講ずる」という。また「アプリケーションのレスポンスタイムといったサービスレベルでの設定が可能」とのこと。システム管理ソフト「Tivoli Intelligent Orchestrator」のプロビジョニング機能と連携することで、リソースプールへサーバーを自動的に追加することも可能となる。
しかしクラスタを構成するサーバー数によっては、大量のトランザクション処理が起きた際に、データベースがボトルネックになることが容易に予想できる。これをカバーするために、「データベースにアクセスしなくとも処理できるよう、データベース内のデザインパターンから各ノードにキャッシングを行う」機能も備えている。この際に1つのノードがダウンしても、「互いに監視して10秒以内にバックアップするHA機能により、99.999%クラスの可用性を提供している」とのことだ。
行われたデモのシステム構成。負荷分散を行うためのノード「WebSphere XD On Demand Router」から、リソースプール内のノードに処理が割り振られる
On Demand Routerでは、ワークロードを分類し、重要度とレスポンスタイムの設定に応じて各ノードへ処理を受け渡す
管理コンソールの画面。負荷の高まりに応じて、処理を割り当てるノードが1台から2台へ自動的に増加した
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URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
プレスリリース
http://www-6.ibm.com/jp/NewsDB.nsf/2004/07061
( 岩崎 宰守 )
2004/07/06 19:43
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