アップルコンピュータ株式会社は7月9日、米国で6月に開催された開発者向けカンファレンス「WWDC(World Wide Developers Conference)」で発表された次期Mac OS「Mac OS X 10.4“Tiger”(以下、Tiger)」のプレビュー版をはじめとした新製品説明会を開催した。
■ 64ビットに最適化された“Tiger”
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プロダクトマーケティング課長 櫻場浩氏
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Tigerは現在発売中の「Mac OS X 10.3“Panther”」の後継OSで、2005年上半期の発売を予定している。Pantherと比較して、64ビットのメモリアドレッシングが可能となり個々のプロセスから膨大な仮想メモリにアクセスできるなど、PowerPC G5を搭載するMacでの利用に最適化されている。プロダクトマーケティング課長 櫻場浩氏によると、クライアント利用のほか「科学技術アプリケーションやレンダリングエンジン、サーバーアプリケーションなど巨大データセットアプリケーション向けに設計されている」という。また、64ビットに対応するソフトウェア開発ツール「Xcode 2」が標準添付される。
新機能として、ファイルのメタデータ(ファイルの作成者や内容説明などの詳細な情報)を検索対象するなど、より詳細でスピーディーな検索が可能となる技術「Spotlight」など150以上の新機能を搭載するほか、SMBパフォーマンスの向上やSMBホームディレクトリのサポート、Kerberos・NTLMv2認証に対応するなどWindowsネットワークとの互換性も強化された。また、複数のMacのCPUリソースを利用できる「Xgrid」をビルドインサポートしている。
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新しい検索機能を利用中のTigerプレビュー版デスクトップ
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Xcode 2の概要
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さらにPantherと同様に、サーバーOS「Tiger server」の発売も予定されている。こちらはTigerと同等機能のほか、アクセス制御リスト(ACL)サポート、Windows NTからのマイグレーションツール、ソフトウェアアップデートサーバー機能などが搭載される。
Mac OS XはUNIXベースのOSだが、TigerはFreeBSD 5.xがベース。同社によるとワールドワイドのアクティブなMacの中で約半分にあたる1200万台がMac OS Xに移行したとのことで、「世界最大のUNIXベースのOS」としている。なお同社によると、WWDCにおいてOracle、Sun、Borland、PeopleSoftが、Mac OS Xプラットフォームで動作するソフトウェアの開発を表明したという。
■ VNC対応でWindows・Linuxも操作可能なRemote Desktop 2
説明会では6月21日に発表されたMac OS X対応のリモートデスクトップ管理ツール「Apple Remote Desktop 2(以下、Remote Desktop 2)」も紹介された。
Remote Desktop 2は、同一ネットワーク上のMacを一括管理でき、各MacのOSバージョンやCPU・メモリなど200以上の属性値の一括管理、複数のデスクトップの監視、リモート操作、操作のロック、スクリーン共有、アプリケーション配布などが行える。
また、オープンソースソフトウェアの「VNC(Virtual Network Computing)」と互換性があり、VNC Serverが起動しているWindowsやLinuxのデスクトップの監視や操作を行うこともできる。
発売は7月下旬を予定しており、価格は10クライアントライセンスが31,290円、Unlimited(無制限)クライアントライセンスが52,290円。教育関係者向け特別価格も用意される。
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複数のクライアントデスクトップを制御するRemote Desktop 2
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VNCを利用してWindowsも操作可能
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■ URL
アップルコンピュータ株式会社
http://www.apple.co.jp/
Tiger製品情報
http://www.apple.co.jp/macosx/tiger/index.html
Remote Desktop 2製品情報
http://www.apple.co.jp/remotedesktop/index.html
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2004/07/09 19:31
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