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NTTソフト、EA導入コンサルティングを提供


 NTTソフトウェア株式会社では7月1日より、企業・自治体向けにITシステム統合を支援する「EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)導入コンサルティング」の提供を開始している。7月26日にはこの概要と事例などを紹介するプレス向けの説明会を開催した。


NTTソフトウェア株式会社 取締役 梅本栄治氏

NTTソフトウェア株式会社 エンタープライズ・ソリューション事業グループ 営業SE部門長 小泉信義氏
 NTTソフトウェア株式会社 取締役の梅本栄治氏は「企業・自治体を取り巻く環境は変化し続ける。将来の変化を予測して、あらかじめ情報システムに埋め込むことは不可能なため、拡張や変更に耐える柔軟性が重要になる」とし、「生物の生態系では環境の変化に適応できる柔軟性を備えたDNAを持った生物のみが生き残る。そうした柔軟なDNAをシステムに埋め込むEA導入コンサルティングを提供していきたい」と述べた。

 NTTソフトウェア株式会社 エンタープライズ・ソリューション事業グループ 営業SE部門長 小泉信義氏は「国が省庁にEA導入を求めた1年ほど前から、単なるシステムの導入ではなく、ITインフラ全体に及ぶEA導入の動きが加速し始めた」と語った。

 EA導入はNTTグループ内でも活性化しているほか、自治体、製造業や金融業、病院などでの引き合いも多いという。同社では過去4年間に、40社に対して70システムを提供しており、課題の抽出からコンサルティング、システム構築、保守運用までの経験を活用して今回のサービスを提供する。

 EA導入にあたっては、まずシステムの現状を分析、整理し、ビジネス、データ、アプリケーション、技術の各階層を可視化していくことが必要になる。同氏はEA導入の課題として、「まず現在のシステムを分析・整理するにあたって、現状を記述するやり方に多くの企業で問題を抱えている」とした。「業務や組織に沿って記述はできても、例えば顧客データをホストとSAPのどちらが持つべきかなど、システムやネットワーク、オブジェクト面から整理した記述がなされていない」とし、「これができればデータの流れが明確になり、概念を整理しやすくなる」と述べた。

 またビジネス面では、「確かにビジネス領域のファンクションを決めないとITが定義できないが、どういったアーキテクチャにビジネスを落としこむべきかを具体化できる人材がいない」ことも指摘し、プロジェクトの大半をビジネスの定義に費やして、結局プロジェクトが実現しない例も見られるとした。

 また「アプリケーション群の決まりを作ることが、アプリケーション群を支配することになり、逆にソフトウェア開発での自由度が狭まることもある」とし、「システム統合では、アプリケーションを自由に作れる統合テクニックに重点を置くべき」と語った。サービスを用いる疎結合のほか、「信頼性や性能、トラフィックの面から、一部をコンポーネント化することも重要になる」とし、このバランスのほか、メッセージング、EAIの充実を解決方法に挙げた。

 データ面では、項目の重み付けを行い、サービス側に分配するときの見せ方にも注意を払う必要がある。またデータを集中することは鮮度面からは有効だが、排他アクセスや処理面での問題があるために考慮が必要とした。


 技術面の可視化については、同社がこれまでのノウハウから作り上げた10項目にわたって7段階に分析するコンサルティングを提供している。「サービスレベルは全体の1番低いところに合うが、コストパフォーマンスでみると、現状では全体が3~4あたり、実システムではXMLベースのレベルになる」とした。また同社の推奨するアーキテクチャモデルは、「基幹システムが最下位層に位置する点が他のモデルと違う点」だという。

 IBM、富士通、日立といったベンダーが先進的に取り組んでおり、現状のEAの導入では、ベンダーに依存する面も強いことから、同社ではマルチベンダーを採用する強みを生かし、「オリジナルテンプレートを用いた具体的な方式を提供する」とした。

 またEAに対する理解も鍵になるという。「EAによる標準化は、一部のスペシャリストが支えているITを、もう少し広げることができる手法。その導入では、アプリケーションが変わっても生産性を維持できるシステムデザインを提供する」と語った。


ビジネス体系の可視化 データ体系の可視化

アプリケーション体系の可視化 技術体系の可視化 NTTソフトの推奨するアーキテクチャモデル

NTTソフトウェア株式会社 基幹業務事業部ユニット主幹エンジニア 平野芳則氏

EA導入に必要となるプロセス
 NTTソフトウェア株式会社 基幹業務事業部ユニット主幹エンジニア 平野芳則氏は自治体でのEA導入について語った。多くの自治体では、メインフレームとC/S型システムが共存していることから運用管理が煩雑化しているのだという。メインフレーム運用により、現在のシステム動向を把握できず、分散システムのノウハウが不足する側面もあるほか、3年ごとに転属を繰り返す人事ローテーションによる組織や業務に起因する課題も抱えている。また自治体での調達といえば、これまで土木工事が主で、情報システムの調達に関しては後手に回っているきらいがある。そのためにどうしてもベンダー依存が高まっているという。

 これらの課題に対して「単純なシステムの再構築では対応しきれない」ことが、EAを導入する大きな理由になった。EAのプロセスは、検討から実行、開発、評価のサイクルとなるが、「作業が変わりすぎてついていけないため、現状から一回りしただけでは成熟しきれない顧客が多い」ことから、サイクルを繰り返すことも必要になるという。そしてEA導入では、「システムの標準化コンセプトをキープして、システムを絶えず把握して変更に対応できるようにすることを現場に理解してもらい、顧客自身で運用できることが目標になる」とした。

 同氏は「システムの状態を常に把握するには、かなりのパワーがいる。まずは運用コスト削減から効果をあげ、管理されるものと、管理する実行部隊を分けて、結果的に民間の力を借りることも人事のローテーションを考えれば必要になる」とした。

 なおNTTソフトウェアでは、一般向けのプライベートセミナーを7月27日に開催する。



URL
  NTTソフトウェア株式会社
  http://www.ntts.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.ntts.co.jp/wn/WhatsNew/040628_NR.html
  NTTソフトウェアセミナー開催のお知らせ
  http://www.ntts.co.jp/seminar/eai0407.html


( 岩崎 宰守 )
2004/07/26 18:34

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