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アドビの電子申請システム、埼玉県が採用し8月から稼働開始
アドビシステムズ株式会社(以下、アドビ)は7月30日、公的個人認証などに対応した電子申請サービスにPDFを用いた「Adobe Intelligent Document Platform」システムを埼玉県が採用したと発表した。8月2日より埼玉県のWebサイトにて28項目の稼働を開始、年度内に80項目に増やす構えだ。
米Adobe Systemsプロダクトマーケティング担当バイスプレジデント ユージーン・リー氏(左)と、アドビシステムズ 代表取締役社長 石井幹氏(右)
今回、埼玉県が採用したのはPDFファイルの機能を拡張する「Adobe Reader Extention Server」。利用者は埼玉県のWebサイトから電子申請を行う書類のPDFファイルをダウンロードし、「Adobe Reader」にて必要項目を記入する。また、地図データなどファイルの添付、電子署名などにも対応する。
通常、Adobe Readerでは情報を記入したPDFファイルを保存することができないが、電子申請を行うPDFファイルはオフライン処理や電子署名などの権限付与がされており、記入途中のファイルをHDDなどに保存できる。このため「インターネットに接続されていないオフライン状態でも編集できる」(アドビ インテリジェントドキュメント部 小島英揮氏)。さらに初めての採用という公的個人認証基盤(JPKI)に対応し、ソリトンシステムズが提供するプラグインを利用することでJKPIカードと連携した電子署名、および証明書検証が可能。これによりPDFファイルが「単に配布するためだけのものではなく、記入された情報も受け取ることができる“情報のコンテナ”」(同氏)となる。
PDF以外にもHTMLやJava、ActiveXなどの技術を利用しても電子化は可能だが、オフライン運用・バージョン間での整合性・マルチプラットフォーム対応・印刷機能などのアドバンテージから、今回の採用が決まったそうだ。
埼玉県の申請・届出サービスシステム概要
Adobe Reader入力画面の特徴
2次元バーコードを利用したソリューション
米Adobe Systemsプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのユージーン・リー氏によると、世界各国で電子化に向けた投資が国・地方とも急激に増加しており「北米では予算が2倍になるという予測も出ている」という。同社では電子政府のほか金融サービスや製薬業界などの分野でもPDFやXMLなどをベースとした電子書類の標準化を進めており、コストや工数、入力ミスの削減など成果を挙げているとのこと。国内でも埼玉県のほか、岡山県や青森県八戸市、また法務省や文部科学省など、多くの官公庁で電子申請や庁内電子化を実施し実績を積んでいる。
同社では、2次元バーコードを活用し紙と電子のプロセスを統合するなど、さらにソリューションの強化を図る構えだ。代表取締役社長の石井幹氏は、今回の採用を機に事業を「横に展開」する考えを示し、地方自治体だけでなく中央省庁などでの採用とシステムの標準化を狙う。
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URL
アドビシステムズ株式会社
http://www.adobe.co.jp/
埼玉県
http://www.pref.saitama.jp/
ニュースリリース
http://www.adobe.co.jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200407/20040730saitama_pref.html
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