マイクロソフト株式会社は8月3日、「Microsoft SQL Server 2005」のベータ2と「Microsoft Visual Studio 2005」のベータ1の日本語版提供に関する記者発表会を開催した。
SQL Server 2005のベータ1は英語版のみが提供されていた。Visual Studioのベータ版とあわせ、今回日本向けに英語版以外では唯一、ローカライズ版の提供が行われる。
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米Microsoft シニアバイスプレジデント エリック・ラダー氏
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ITインフラの管理を効率化するWindows Server System
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日本語ベータ提供開始にあわせて来日した米Microsoft シニアバイスプレジデント エリック・ラダー氏は、Windows Serverが全世界のサーバーのうち台数ベースで62%のシェアを占め、Windows Server Systemを構成するSQL Server、Exchange Serverや、クライアントPCを含めた管理製品であるSystem Management Server、Microsoft Oarations Managerなどについても、販売が拡大しているとした。
同氏は「これら製品はCommon Engineering Criteriaを採用しており、ログや管理の共通化など相互に連携して管理できる。このため管理コストを大幅に削減できる」とした。
そして「Windows Server Systemにより、ITインフラの複雑性を解消して管理コストを削減でき、インフォメーションワーカーの生産性の向上に寄与するOffice Systemとの親和性も高い」とした。こうしたメリットはサーバー数が多いほど高まるとし、Exchangeを導入した場合を例に、ネットワーク利用効率も高まるとした。そして「開発者、管理者、そしてオフィスワーカーまでのITライフサイクルを簡素化でき、より少ない時間でビジネス価値を最大化できる」とした。
日本語版ベータの提供については「アメリカでの英語版ベータ提供からまだわずか1週間弱しか経っておらず、提供は早まっている」とし、「日本市場は重要視しており、日本国内固有の要件によるフィードバックでより製品を改善できる」と語った。
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Visual Studio 2005の製品ラインアップ
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Visual Studio 2005では、sSQL文の開発も可能になった
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2005年に製品提供予定のVisual Studio 2005では、製品ファミリーを拡張し、よりチーム開発を想定したよりハイエンド向けの「Visual Studio Team System」が新たにラインアップされる。Team Systemは、「Team Test Edition」、「Team Developer Edition」、「Team Architect Edition」、「Team Foundation」で構成され、「コードのコントロールやテスト、パフォーマンス分析などの機能を提供する」とのことだ。また開発するアプリケーションが企業のITポリシーに沿うように開発を行うことも可能になる。
また評価用や学習用、ホビイスト向けとなるExpress Edition(以下、EE)も提供される。これはWebサイト/Webサービス構築用のVisual Web Developer 2005 EEのほか、各言語用にVisual Basic EE、Visual C# EE、Visual C++ EE、Visual J# EEの各製品が提供される。
同時期に提供されるSQL Server 2005では、データをミラーリングすることでフェイルオーバーを5秒以下で行うなど、エンタープライズ向けの可用性が強化される。またセキュリティと性能面でも機能が向上するという。さらに自動最適化機能により「管理者がマニュアルチューニングする必要はなくなる」とのこと。
このほかXQueryなどXMLのネイティブ対応、ストアドプロシージャをマーキングして、サービスとして呼び出すなどのWebサービスとの相互運用性の強化、レポーティングやデータマイニングなどのBI機能向上などが図られている。
またVisual Studio 2005では、ストアドプロシージャをはじめとしたSQL文の開発を新たにサポートするなど、SQL ServerとVisual Studio、さらに.NETとの統合が進んでいる。「SQLをVSの対応言語で拡張することもできる」という。
さらに現在のMSDE(Microsoft SQL Server Desktop Edition)の後継となるSQL Server 2005 Express Editionが無償で提供される。
なおVisual Studioを含めたEE各製品については、今回日本語ベータ版のWebダウンロード提供が開始されている。
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マイクロソフト株式会社 デベロッパーマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 プロダクトマネジメントグループ 磯貝直之氏
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会見ではVisual Studio 2005のデモも行われた。右側のサブウィンドウからデータソースをドラッグアンドドロップするだけで、必要なWindows Formの表示フィールドが自動作成される。
コーディングの際にはエラー原因を指摘するとともに推奨修正コードを表示し、ワンクリックで自動的にコードを修正する機能や、「スニペット」と呼ばれる目的別の入力支援機能などにより「極力自動化することで、品質の高いコーディングが可能になる」(マイクロソフト株式会社 デベロッパーマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 プロダクトマネジメントグループ 磯貝直之氏)という。
また開発したアプリケーションを配布する際には「プロジェクトの発行」を選ぶだけで、ウィザードによりWebサーバーに転送できるほか、ダウンロードサイトのHTMLも自動生成される。これは「ノータッチデプロイメントを進化させた「クリックワンス」の機能」とのこと。配布済みのローカルアプリケーション起動時には、サーバー側を確認してアップデータも自動更新する。
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データソースをドラッグアンドドロップするだけでWindows Formが自動作成される
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コードのエラー箇所とその原因を挙げ、ワンクリックで推奨コードに修正してくれる
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デバッグの際には問題箇所とその修正方法を表示する
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Windows Server Systemの今後のロードマップ
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Windows Server Systemの今後のロードマップとしては、2004年中にBizTalk Server 2004、Microsoft Operations Manager 2005、IBMメインフレームとの連携を行うHost Integration Server 2004、Virtual Server 2005が発売予定。2005年にはx64に対応したWindows Server 2003 64-Bit Editionが、SP1とともに提供される。またWindows Server 2003については、HPC Editionも提供予定。さらにWindows Server 2003 Release 2については「2005年中にベータ1を提供する」(ラダー氏)という。
■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
プレスリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2003
Visual Studio 2005 日本語ベータ 1
http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/2005/beta/
SQL Server 2005 Express Edition
http://www.microsoft.com/japan/sql/express/
Visual Studio 2005
http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/2005/
SQL Server 2005
http://www.microsoft.com/japan/sql/2005/
( 岩崎 宰守 )
2004/08/03 18:51
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