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.NET Frameworkアプリケーションをより早く簡単に開発できる「Visual Basic 2005」


 マイクロソフト株式会社は8月24日、2005年第1四半期に発売予定の開発ツール「Visual Studio 2005」に関するプレス向け技術説明会を開催した。


マイクロソフト株式会社 デベロッパーマーケティング本部 デベロッパーエバンジェリスト 西谷亮氏
 説明会では、「Visual Basic」という言語が.NET Framework上でどのように強化されているかという点に焦点をあて、マイクロソフト株式会社 デベロッパーマーケティング本部 デベロッパーエバンジェリストの西谷亮氏が「Visual Studio 2005」に含まれる「Visual Basic 2005(以下、VB 2005)」によって.NET Frameworkアプリケーションが、より早く簡単に作成できるようになることを解説した。

 VB 2005の新機能として、西谷氏は次の3種類に分けて解説している。
  • VB固有の新機能

  • C#など他の言語ではすでに実現している機能の追加

  • VBおよびC#共通の新機能
 VB固有の新機能で最も画期的なのは「My.」という新しいクラスの追加だ。これは自分の持っているローカルリソースにアクセスするためのクラスである。My.のオブジェクト階層には、アプリケーションの属性や実行時の情報にアクセスする「My.Application」、レジストリやファイルシステムといったローカルコンピュータの属性にアクセスする「My.Computer」、ユーザー情報などにアクセスする「My.User」などがある。他にもフォームやWebサービスなどにアクセスするオブジェクト「My.Form」「My.WebServices」が用意されている。また、まだ予定の段階であるとしながらも、「My.Resources」や「My.Settings」も追加される見込みである。

 My.クラスの追加に関して西谷氏は、「これまで.NET Frameworkでは、ローカルリソースへのアクセスが面倒でした。しかしVBという言語はその性質上、より早く必要なリソースに簡単にアクセスできることが重要になります。特に帳票に関する処理が多い日本では、My.Computerに含まれる“Printers”は今回の新機能の肝と言えるでしょう」と語る。

 他にもVB固有の新機能として、配列のインデックスの記述方法が追加された。従来は配列の数だけを指定する記述のみであったが、新たに上限と下限を指定する書き方もできるようになっている。ただし配列の開始は常に0になる。


 ・従来の書き方
dim x(10) as Integer

 ・次の書き方もできるようになる。(開始は必ず0)
dim y( 0 To 10 ) As Integer


 既にC#などで実現されていた機能で、新たにVB 2005に追加されるものとして、リソースの確保・利用・破棄を容易にする「Usingステートメント」、イベントの管理をカスタマイズできる「カスタムイベント」を始めとして、演算子のオーバーロード、符号なしデータ型、Continueステートメント、XMLドキュメントコメントのそれぞれを生成することも可能になった。

 VBのみならずC#などの他の言語でも実現される新機能には、スコープをリソース全体に向けることで名前空間を明確に指定する「Globalキーワード」、GetおよびSetによるプロパティのアクセスレベル変更、複数のファイルで型を定義するパーシャルデータ型、ジェネリッククラスの追加などがある。

 さらにVBだけの話ではないが、Visual Studio 2005のIDE機能の強化も見逃せない。デバッグプロセスで重要な役割を果たすエディットコンティニューの復活、構文エラー修正ダイアログ、アプリケーションデザイナーなど開発者にとって重要な機能追加が数多く含まれている。


Visual Studio 2005でコンパイルを行う際の画面 Visual Studio 2005のソース編集画面

 個人的に見逃せないIDEの新機能としては、「コードスニペット」が挙げられる。これは“今何がしたいのか”という目的をメニューから選択することによって、サンプルコードが自動的に挿入される機能である。挿入されるサンプルコードはカスタマイズ可能であるため、企業ごとに共通フレームワークなどを設定することでチーム開発の効率を大幅に向上することが期待できる。

 VB 2005は.NET Framework上で、高度なアプリケーションを容易に開発するためのツールである。特にVB 2005の新機能や、Visual Studio 2005のIDE機能の追加によって、VBで開発できる.NET Frameworkアプリケーションの幅がより広くなり、これまで以上に.NET Framework開発の敷居を下げることになることは確かである。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  Visual Studio 2005
  http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/2005/

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( 北原 静香 )
2004/08/25 14:42

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