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米Stellentメイシー氏「CMS市場は企業のコンプライアンスで今後も拡大していく」


 米Stellentは、世界44カ国に3500社以上の顧客企業を抱えるコンテンツマネジメントシステム(CMS)のリーディングベンダー。特に昨年から今年にかけては売上高が23%増加して、1億1200万ドルに達するなど、成長を続けている。


米Stellent プロダクトマーケティング戦略担当バイスプレジデント デビッド・メイシー氏

企業のCMS導入理由は、コンプライアンスが大きな部分を占める
 8月31日、9月1日に東京コンファレンスセンター品川で開催された「Content Management Forum 2004」での講演のため来日した米Stellentでプロダクトマーケティング戦略を担当のバイスプレジデントを務めるデビッド・メイシー氏は、CMS市場が「今後5年間は順調に成長し、50~70億ドルの市場になるだろう」とした。そしてこうした拡大の最大の要因として企業でのコンプライアンスを挙げた。

 米国では、2001年に米エンロンが不正会計問題から経営破たんしたことを受け、“Sarbanes-Oxley法(企業改革法)”などの法整備が進んだ。ほかにも製造プロセスの文書管理が求められる“ISO”、医療分野における患者への説明責任や、個人情報取扱に関する“HIPPA”といったもののほか、証券取引への参加にあたり義務化している証券取引委員会の業界指針“SEC Rule 17a-4”や、金融業界のガイドラインである“Basel II”のような法的効力のないものまで、企業ではさまざまなコンプライアンスへの必要性が生まれている。

 メイシー氏は「アメリカでは会計不祥事による企業への不信感が見られる、法律が要求する透明性のあるプロセスへの対応が、企業には求められている」とした一方で、「現在アメリカだけでも500を超える記録管理にかかわる規制があり、対応するべき規制を理解するには複雑なプロセスが必要になっている」とした。

 同社では、複雑なコンプライアンスに対応するソリューションを、包括的なCMSのフレームワークに追加する形で提供している。例えば株式売買が行える金融機関のWebサイトでは、取引情報をコンプライアンスに基づいて7年間保存しなければならない。同氏は「企業では多くの場合、守るべき規制が複数ある。そしてコンプライアンスに必要なテクノロジは類似する場合が多い。これにポイントソリューションで対応しては、管理コストが増加する一方となる」とした。またデータをライフサイクルから管理する上では、関連するビジネスプロセスの管理にも影響が及ぶことになる。「このようなシステム全体の管理に、単一のアプリケーションで対応するのは現実的ではない」とした。


CMS、イメージングとBPM、そしてコンプライアンス対応の3つからなる米Stllentの製品ライン
 CMSは本来、指数関数的に増加を続ける業務データや文書などの非構造データを、その生成から保管、廃棄に至るまで、いかに効率的に管理するかにフォーカスしたものといえる。競合他社となるのは米EMCが買収したDocumentum、米Filenet、米OpentextなどのCMSベンダーとなるが、「Stellentの製品では、ひとつのアーキテクチャでWebサイトの公開情報管理と包括的なデータ管理をサポートしている。他社製品では少なくとも2つ以上の製品を組み合わせる必要があり、ソフトウェアやハードウェアの導入・運用コストの面でもより低コストだ」とメリットを強調した。

 現在同社が提供しているCMSソリューションのうち、ドキュメント管理ソリューションとWebの管理ソリューションの売上比率を比べた場合、国内では50%ずつとのことだが、アメリカではコンプライアンス対応に必須となるドキュメント管理ソリューションが65%を占めている。同氏は「日本でも今後数年間で法規制が進み、アメリカと同じような状況になっていくだろう」との見方を示した。

 アメリカなど海外では、EMCなどのストレージベンダーやOracle、MicrosoftなどのISVとの提携により、ソリューションのオファリングとしての製品提供なども行っている。またOffice文書をWebベースのHTML、XMLに変換する変換する独自技術を、500のISVにOEM提供する事業も手がけているという。国内での展開については「CMSへの理解が深いSIパートナーとの連携を慎重に確立しながら、顧客を獲得していきたい」とした。

 製品ロードマップについては、今後の半年から1年の間に、「イメージングとBPMの製品ラインでは、映像や音声といったマルチメディアに対応するよう機能を拡張する。またコンテンツ管理製品との統合をより緊密にしていく」という。また今後もコンプライアンスへの対応など、コアとなるコンテンツ管理ソフトウェアの機能も拡充していくとした。



URL
  日本ステレント株式会社
  http://jp.stellent.com/
  Content Management Forum 2004
  http://www.idg.co.jp/expo/cmf/

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( 岩崎 宰守 )
2004/09/03 11:24

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