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ODBC/JDBC専業のトップベンダーがDBクライアント不要の最新製品を発売


 データディレクト テクノロジーズ株式会社は、データベースアクセスを高速化する「DataDirect Connect」シリーズ3製品の新バージョン「DataDirect Connect for ODBC J5.0/for JDBCJ3.4/for .NET J2.1」日本語版を9月14日より発売する。同社では今後1年間に3製品で30000ユーザーライセンス、500ユーザーライセンスの販売を見込んでいる。

 DataDirectはデータコネクティビティに特化した企業で、同社の前身であるIntersolvはODBCの元になったデータベース接続ドライバを1987年に開発している。この17年間に世界で3500万ライセンスを提供し、インストールベースでは10億コピー以上の実績がある。主な顧客として金融サービスのほか、通信、リテール、官公庁などに製品を提供している。またISVでも同社技術をOEM提供しているという。


米DataDirect Technologies EMEA&Asia Pacific地区担当セールスディレクター ニック・ハワード氏

主要なRDBとの接続をサポートする「DataDirect Connectシリーズ」
 米DataDirect TechnologiesのEMEA&Asia Pacific地区担当セールスディレクターであるニック・ハワード氏は、「F1レースでのホンダエンジンこそが、弊社のデータコネクティビティ製品」と述べ、そのスピードと信頼性の高さに共通性があるとした。そして「常にトップを目指すフェラーリ、ウイリアムズ、マクラーレンのようなチームは、金融サービス業界ではMorgan Stanley、JP Morgan、Citigroupにあたる」とし、こうした企業で採用されていることが、これを裏付けるとした。

 DataDirect Connectシリーズは、アプリケーションとデータベース間のトランザクション処理の際に接続ドライバとして動作する製品。Oracle、DB2、Microsoft SQL Server、Sybaseといった主要なRDBに対応し、それぞれバージョンを問わず動作する点も特徴となる。「企業のR&D予算の50%はコーディングに使われており、OSやデータベース環境を移行しても、アプリケーションはそのまま利用することができる点は評価されている」という。またUnicodeをサポートしており、日本語のほか中国語、タイ語、ロシア語などにも対応する。

 このほかデータベースへのアクセスをトラッキングして、ログとして保存できるため、「アメリカの企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)への準拠が求められる金融サービス分野での要件も満たす」とした。また「アメリカの銀行と取引のある金融機関でもコンプライアンスが求められるほか、ヨーロッパの金融機関でも規制当局が将来的には対象とすることを示唆している。日本の金融機関でも、近い将来には同様の対応が求められるだろう」との見方を示した。

 新バージョンでは、新たにOracle 10gに対応している。またコネクションフェールオーバーをサポートしたことでOracle RAC環境にも対応し、より可用性が高まった。このほかクライアント側からの接続を自動的にロードバランスする機能も追加した。今回発売される3製品のコードは共通しているため、これらの機能強化点は基本的に共通しており、「.NETからJavaへ、またその逆の移行も問題ない」という。さらにLinuxプラットフォームでの最適化がなされるなど、パフォーマンスも約5%程度改善されているという。


 DataDirect Connect for .NET J2.1は、.NET環境でのデータアクセス標準フレームワークに準拠した製品。.NETのCLR上で動作する100%マネージドコードのプログラムなため、Oracle Netのようなデータベースクライアントが不要となっている。これはパフォーマンス面でメリットがあるほか、.NET Frameworkの機能であるWindows認証やノータッチデプロイメントに対応する。さらにマネージドコードでなければ開発が必要となるメモリリーク、ガベージコレクション、コネクションプーリングといった.NETプラットフォームの利点もそのまま享受できる。動作環境はWindows 98/Me/NT/2000/XP/Server 2003。

 DataDirect Connect for JDBCJ3.4は、JDK 1.4とJDBC 3.0に準拠したType 4 JDBCドライバ。1つのドライバでさまざまな環境をサポートする点に変わりはなく、「開発者向けのテストツール、API呼び出しのトラッキングツールを同梱しており、コーディングとテストでの生産性を向上している」という。性能面でも、JavaアプリケーションベンチマークであるSPECjAppServer2002においてJDBCドライバとしては最高性能を記録したという。またKerberos認証もサポートしている。動作環境はJDK 1.2以降。

 DataDirect Connect for ODBC J5.0はODBC 3.52に準拠した製品。独自のワイヤプロトコル技術により、データベース接続用のミドルウェアが不要なため、通常のODBCドライバと比較して約500%パフォーマンスが改善されている。動作環境は.NET J2.1のWindows各環境に加え、Solaris、HP-UX、AIX、Linuxとなる。


DataDirect Connect for .NET J2.1 DataDirect Connect for JDBC J3.4 DataDirect Connect for ODBC J5.0

UFJ銀行のシステム構成図
 最後に同氏は、「OBDCは死んだ、終わったという人もいるが、Microsoftも.NET Frameworkで依然としてサポートを続けており、ODBCで基幹システムを開発する顧客企業も多い」とし、国内での採用例を挙げた。UFJ銀行では、それまでのOSにSolaris、RDBにSybaseを用いたシステムからコストとパフォーマンスを見直し、IPF版の64ビットWindowsとMicrosoft SQL Serverの環境へ移行したという。UFJではそれまでODBCを使っていなかったが、「6カ月の期間で、アプリケーションを変更せずに移行できる点が評価され」同社製品が採用されたという。クライアント側環境はRed Hat Linuxへと移行したとのことだが、「Linuxへの最適化により、性能も期待レベルに上げられた」とのことだ。



URL
  データディレクト テクノロジーズ株式会社
  http://www.datadirect.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2004/09/14 17:24

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