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米Borland、要求管理ソリューション「CaliberRM 2005」を11月出荷

日本語版は2005年第1四半期に提供予定

 米Borland Softwareは、カリフォルニア州サンノゼで15日まで開催されている「Borland Conference (BorCon) 2004」にあわせ、要求管理ツール「Borland CaliberRM」の次期バージョン「Borland CaliberRM 2005」を11月に出荷すると発表した。

 Enterprise Watchでは、来日した米Borland DSPビジネス・ユニットのプロダクト・マネジメント・ディレクターであるデビッド・ウォーカー氏に単独インタビューする機会を得たため、CaliberRM開発のトップである同氏に、直接CaliberRM 2005の新機能や今後の展望を伺ってみた。


「要求管理という分野において、CaliberRMは今後も主導的な役割を果たすことになるでしょう」と語るウォーカー氏
 ウォーカー氏はCaliberRM 2005の新機能として、要求ベースの見積もり機能、サーチナビゲートディスカバリー、要求のテンプレート、LDAPサポートの4つを挙げている。これらの新機能を搭載したCaliberRM 2005の市場投入についてウォーカー氏は「要求管理という分野において、CaliberRMは今後も主導的な役割を果たすことになるでしょう」と自信をのぞかせる。

 CaliberRM 2005ので最大の目玉となる新機能は、「“要求”をベースとした見積もり(プロジェクト計画)」機能である。この機能はカナダSoftware Productivity Center(SPC)のソフトウェア開発プロジェクトの計画ツール「ESTIMATE Professional」の機能である。Borlandでは9月3日、このESTIMATE Professionalの買収を発表し、CaliberRM 2005にその機能が搭載されることになった。ウォーカー氏は「以前からSPCとはパートナー関係にあったため、CaliberRMからESTIMATE Professionalの一部機能を利用することは可能でした。しかし今回の買収によって、ESTIMATE Professionalの全機能がCaliberRMに搭載されることになったのです」と語る。

 要求ベースの見積もり機能では、プロジェクトに必要となる、投資、開発期間、リスクなどを開発フェーズへと移行する前の段階で、高い精度で予測可能となる。開発やテストフェーズへと移行してからも、要求変更によるプロジェクトへの影響範囲などを分析することが可能だ。ウォーカー氏は要求ベースのプロジェクト計画機能について「“要求”はユーザーの声です。CaliberRMでは、ユーザーの期待値という声を開発者に伝える橋渡しの役割を果たします」と語る。

 CaliberRMによってユーザーからの要求を明確化することで、プロジェクトの投資効果、現実的な開発期間などを予測し、的確な開発リソースを投入できる。このようにユーザーサイドの「期待」と開発サイドの「意図」との乖離を要求によって防ぎ、開発の生産性を向上してプロジェクトを成功に導くことができる。もちろん、投資効果が期待できないプロジェクトに無駄なリソースを投入する前に、プロジェクトの軌道修正や中止といった決断を下す場合にも役立つ。


 「サーチナビゲートディスカバリー」は、CaliberRMだけではなく、StarTeamなど同社のALM(アプリケーションライフサイクルマネジメント)環境全体で利用できる検索機能となる。システム内にCaliberRMやStarTeam、あるいはマーキュリーのテストツールなどをインストールした複数台のサーバーを対象に、必要な情報を検索・抽出できる。この機能のコアとなっているのはインデックスエンジンであり、ハーベスタがCaliberRMやStarTeamなどの情報を取得する。このハーベスタは、必要に応じてユーザーがカスタマイズや新規に作成できる。サーチナビゲートディスカバリーについてウォーカー氏は「ALMにおけるGoogle(サーチエンジン)的機能だと思ってください」と述べた。

 「要求のテンプレート」に関してウォーカー氏は「CaliberRM 2005では、新たにThe Atrantic Systems Guildが提供する「Volere」をもとにした“テンプレート”を用意しています」と語る。このThe Atrantic Systems Guildとは、要求、システム分析、問題解決などの研究やコンサルティングを行う団体である。

 「LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)」のサポートも、CaliberRMだけではなくALM環境全体の機能追加である。現在のエンタープライズ環境では、アイデンティティ管理が重要な課題となっている。ウォーカー氏も「LDAPを正式にサポートすることで、エンタープライズ環境におけるプラットフォームとしての信頼性がより向上します」とアイデンティティ管理の重要性を語った。

 CaliberRMは、開発ライフサイクル全体を俯瞰(ふかん)するBorlandのALMソリューションを構成する1製品であるため、アプリケーション開発における要求管理という側面がクローズアップされがちである。しかし「要求管理」は単にアプリケーション開発だけに利用されるとは限らない。ウォーカー氏は「プロフェッショナル向けのマイクロフォンを製造している企業や、自動車メーカーなど幅広いお客様からCaliberRMをご利用いただいています」と語る。日本国内においては、特に組み込み分野での要求管理需要が高くCaliberRMへの注目も高まっているとのことだ。

 また、ウォーカー氏はCaliberRM 2005の日本語版の出荷時期に関して、「来年の第1四半期の早い時期に出荷したいと考えています」と述べた。



URL
  米Borland Software
  http://www.borland.com/
  プレスリリース(英文)
  http://www.borland.com/news/press_releases/2004/09_13_04_borland_introduces_caliberrm2005_and_starteam2005.html
  Borland CaliberRM
  http://www.borland.co.jp/caliber/

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( 北原 静香 )
2004/09/14 18:47

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