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日本HP、サーバー仮想化技術を強化、Linux対応も促進


米HPのVirtualization and Utility Computing Director、Nick van der Zweep氏
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は9月15日、サーバー仮想化技術「HP Virtual Server Environment」(以下、VSE)の機能と、マルチOS対応を強化すると発表した。リソース最適化機能の強化などとともに、従来より推進してきたHP-UXだけでなく、Linuxの仮想化対応も強化し、順次提供を開始する。また今回は、HP-UXの最新バージョンであるHP-UX 11i v2の機能拡張も、同時に発表された。

 従来のITでは、ERP/CRM/Webなどの用途別、もしくは部門別にサーバーが構築され、独立して運用されてきた。つまり「リソースの貸し借りができない状況」(米HPのVirtualization and Utility Computing Director、Nick van der Zweep氏)であったのだが、これを仮想化すると、「統合した上で電子的に分割し、時期やサービスレベルにあわせて利用する」(同氏)ことができるようになるという。

 これがなぜ有効かというと、分野ごとの「最大値」を意識したリソースを用意する必要がなくなるからである。たとえば、クリスマス商戦の場合には販売管理システムに大きなリソースの割り当てが必要になり、年度末にはERPシステムで普段よりもリソースが必要になる、といったシステムの場合、それぞれのピーク時にあわせたシステムを個別に用意していたら、多大なコストが必要になる。しかし、お互いにリソースを融通できれば、より少ないリソースでシステムが構築できる。

 「米国では仮想化によって、リソースの利用率を倍にできた。これは、同じインフラから2倍のパワーが得られるということだ」(Zweep氏)。


サーバー間のリソースを最適化するGSMと、CPU利用を細分化できるIVM

 VSEにはさまざまな要素があるが、これらのうち最も重要だという、制御をつかさどる部分で新たな機能が実装される。それが、複数のサーバー間でリソースの割り当てを自動的に行い、利用状況を最適化する「Global Workload Manager(GSM)」で、まずHP-UX 11i v2に2004年第4四半期より実装され、その後Linux向けにも提供されるという。この割り当てのポリシーは、サービスレベル目標(SLO)やCPU使用率などにもとづいて設定できる。

 さらに、1/20(5%)単位でCPU利用を細分化できるソフトウェアパーティショニング機能「HP Integrity Virtual Machines(IVM)」を、2005年下半期より提供する。こちらもHP-UXから対応し、その後Linuxもサポートするが、Windowsに関しては現在検討中とのこと。なお、GSMとIVMは両方とも、LinuxとHP-UXが混在したプラットフォームでも動作するようになる予定。

 加えて、PA-RISCを搭載したUNIXサーバー「HP 9000サーバ」で実績があるというソフトウェアパーティショニング技術を拡張。2005年上半期より「HP-UX Virtual Partitions for HP Integrityサーバ」として、Itanium 2を搭載したIntegrityシリーズにも提供する。


HP9000対応など、HP-UX 11i v2の機能も強化

 一方のHP-UX強化においては、HP-UX 11i v2において128Wayまでのスケーラビリティを実現するとともに、HP 9000サーバシリーズに対応。従来のHP-UX 11i v1ユーザーが既存ソフトウェア資産を有効活用できるよう、HP-UX 11i v2と従来のHP-UX 11i v1との間では、ソースコード/データ互換が保たれているほか、同一ハードウェアアーキテクチャの両バージョン間では、バイナリ互換も確保されているとのこと。

 加えて日本HPでは、異プラットフォーム間でも移行が行えるように、PA-RISC用のアプリケーションをバイナリ互換でItaniumでも動くようにする「Ariesバイナリエミュレータ」を用意。ユーザーのスムーズなIntegrityシリーズへの移行をサポートするとしている。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  プレスリリース
  http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2004/fy04-170.html


( 石井 一志 )
2004/09/15 17:43

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