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SQL Server 2005のデータベースアプリケーション開発にも.NETのメリットを


 マイクロソフト株式会社は9月21日、都内において次期SQL Serverである「SQL Server 2005」の共通言語ランタイム「SQLCLR」に関するプレス向け技術説明会を開催した。


SQLCLRの仕組み
 SQL Server 2005の新機能の中でも特に注目をあつめているのは、「SQLCLR」と呼ばれる共通言語ランタイム(CLR:Common Language Runtime)だろう。SQL Server 2005では、データベースエンジンにCLRを搭載することで、従来ならT-SQL(Transact-SQL)でコーディングしなければならなかったストアドプロシージャ、ユーザー定義関数などが「C#」や「VB」といった.NET言語で開発できるようになる。

 SQLCLRでは、.NET言語でアセンブリを作成し、そのアセンブリをT-SQLオブジェクトでラッピングすることで実現する。ただし、描画、ファイナライザ、スレッドの作成など、データベースサイドアプリケーションには必要のない機能や、危険を及ぼす可能性の高い機能などは利用できない。

 多くの開発者が慣れ親しんでいる.NET言語で開発できることによって、生産性は大幅に向上することが期待できる。またテーブル値関数、スカラ値関数、集計関数などは、T-SQLよりも高速なので、パフォーマンスを向上する効果も高い。


マイクロソフト株式会社 システムズエンジニアリング本部 シニアテクノロジースペシャリスト 梅津 裕一郎氏
 しかし、マイクロソフト株式会社 システムズエンジニアリング本部 シニアテクノロジースペシャリストの梅津氏は、「スケーラビリティ、管理性、再利用性を考慮すれば、すべてのビジネスロジックをSQLCLRで実装するべきではありません」と語る。また、データアクセスが中心の処理やT-SQLの組み込み関数などで演算可能な数値演算処理は、従来のようにT-SQLでの実装の方が、無駄なリソースの消費やパフォーマンスの低下を防ぐことができる。

 梅津氏は「SQLCLRによって、SQL Serverのデータベースサイドのアプリケーション開発で、.NETのメリットを受けることができます」と語る。確かにSQLCLRでは、開発生産性やパフォーマンスは向上するだけではなく、データベースサイドのアプリケーションにも大きな可能性を与えているようだ。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  SQL Server 2005
  http://www.microsoft.com/japan/sql/2005/

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( 北原 静香 )
2004/09/22 11:12

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