Enterprise Watch
最新ニュース

インテリシンク、統合モバイルプラットフォームのベータ版を公開


 インテリシンク株式会社は9月28日、携帯電話やPDAでグループウェアとのデータを同期/閲覧が可能なモバイルプラットフォーム「Intellisync Mobile Suite(以下IMS)」のベータ版を公開した。製品は10月下旬より提供の予定。

 IMSは、個人用のデータ同期ソフトウェア「Intellisync」をベースに、接続ユーザーの管理機能と、接続デバイスに対するセキュリティ機能を強化したデータ同期のモバイルプラットフォーム。XMLをベースにしたデータ同期プロトコル「SyncML」を用いた同社の技術では、SyncEngineをセンターとして、接続アプリケーションごとに専用のコネクタを作成することで、データの同期が可能になる。このため同社ではSDKも提供している。


インテリシンク株式会社 アジアパシフィック 営業マーケティング担当副社長 井手龍彦氏
 同社の製品は、エンドユーザー向けのMSN、Yahoo!などで提供されているPDAとデータをシンクロするオンラインPIMサービスでも利用されるなど、アメリカではデータ同期ソフトウェアとして9割のシェアを誇っている。また米Intellisyncでは、SyncMLに関連した64の特許を有しており「いまのところ競合がない状態」(インテリシンク株式会社 アジアパシフィック 営業マーケティング担当副社長 井手龍彦氏)だという。

 国内でもクリエなどハードウェアにも同社の技術は提供されており、企業向け製品でも、ASP型のCRM「salesforce.com」などで、PDAのデータシンクロように利用されるなど、ソフトウェアやアプリケーションへ同社技術を組み込む形でのOEM提供によるライセンス販売が、現在同社の収益の80~90%を占めている。


 IMSでは、Microsoft ExchangeやIBM Lotus NotesといったグループウェアのメールやPIMデータを同期できるが、クライアント側には専用のソフトウェアが必要になるため、現在のところ、国内の携帯電話端末で利用できる機能は、他社がASP提供しているサービスと同じくWebブラウザ経由でのグループウェア機能の利用に限られる。ノートPCや、Pocket PCなどのPDA向けには、専用のクライアントソフトウェア「PCモニタ」を導入することで、メールログをサーバーとローカルで同期したり、スクリプトを用いて更新された特定データをプッシュ型で配信することもできる。

 携帯電話でメールやスケジューラーといったグループウェアの機能を利用できるサービスは、ASP型を中心に数多く提供されているが、「バックエンドシステムのデータベースとも連携して、しかもセキュアなアクセスが可能な点が大きく異なる点」(井手氏)だという。

 Pocket PCのほかに、PalmやSymbian OSにも対応しているため、海外ではスマートフォンを用いてデータを同期する事例がすでにあるという。現在のiアプリでは容量が不足しているため難しいとのことだが、VodafoneではVアプリのサイズ上限が1MBへと拡大されたばかりで、Symbian OSを採用する端末も登場し始めている。こうした状況を受けて井手氏は「国内でも携帯電話端末の高機能化、データエリアの拡大などの環境が整えば、現在の機能をそのままサポートできる。この実現はもう間もなくと考えている」とした。


PDAでのアクセス画面 携帯電話のWebブラウザを用いることで、グループウェア機能を利用できる

サーバーをインターネット上に設置したシステム導入図

イントラネットでのシステム構成イメージ
 今回発表されたIMSは、「Enterprise Intellisync Server(以下、EIS)」の後継製品で、企業向けのユーザー管理機能や大規模ユーザー環境に対応するスケーラビリティの拡大が主な機能強化点だ。ベータ版は同社内に設置されたサーバーにアクセスする形で、SIパートナーやEISのユーザーなどへ向けて提供される。

 管理機能では、利用する暗号化の方式(DES/AES/SSL)や、接続可能なPDAやノートPCといったデバイス種別、さらにデバイス紛失時の対応として、ログインパスワード認証のリトライ回数を設定し、メールや特定データを消去、ハードウェアリセットなどをプロファイルとして設定し、ユーザー/グループごとに適用できる。Active DirectoryやLDAPといったディレクトリサービスとの連携にも対応している。

 さらにデータ同期の履歴をログとして保存できるため、情報漏えいの対策ともなるほか、監査などにも活用できる。またネットワーク帯域の利用状況といった運用管理の機能も備えている。

 井手氏は「今回IMSを提供することから、今後はIntellisync Mobile Suiteを核に、ネットワークやシステム管理に強いSIパートナーと連携して企業向けのシステム提供していきたい」とした。すでに動き出している案件もあり「現在9割近いライセンス販売との比率を50:50程度に高めることが目標」と語った。SIをサポートするため、教育やトレーニングの準備も進めているという。またIMSでは従来と比べ、スケーラビリティが拡張されており、「大規模ユーザーにサービスを提供するASP事業の技術基盤としても向いている」とした。



URL
  インテリシンク株式会社
  http://www.intellisync.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.intellisync.co.jp/news/pressIMS_20040928.html
  Intellisync for Enterprise
  http://www.intellisync.co.jp/enterprise/ei_desktop_main.html


( 岩崎 宰守 )
2004/09/30 13:02

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.