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日本オラクルの“成長エンジン”Oracle E-Business Suiteの最新版


日本オラクル 代表取締役社長 新宅正明氏

“第三世代ERP”の特徴

導入産業別に特化した組織体系
 日本オラクル株式会社は、11月末出荷開始予定のERPアプリケーションの最新版「Oracle E-Business Suite 11i.10(以下、EBS 11i.10)」の展開に向けた戦略を10月20日に発表した。

 日本オラクルが国内ERP市場に本格参入した1998年(一部企業は1995年より導入開始)以降、EBSは製造業を中心に500社以上に導入されている。代表取締役社長の新宅正明氏は、これまでのERPを「ベストプラクティス型の第一世代、バリューチェーン型の第二世代」とし、EBS 11i.10を「リアルタイムエンタープライズの実現」を支援する次世代ERPと位置づけている。そして従来製品との違いとして、(1)シングルデータモデルによる企業活動の可視化、(2)2100以上の機能拡張による業務カバレージの拡大、(3)“エンタープライズハブ”をコンセプトとした、同社が用意するすべてのビジネスプロセスに関する論理モデルを活用したデータの統合、を挙げている。

 EBS 11i.10の展開に向けて同社では、米国の開発チームとの連絡を密とする新組織「プロダクトオペレーションズ」を年初より設置したほか、対象とする産業別に特化した機能の提供に向けインダストリー別専門チームを(1)ハイテク・自動車業向け、(2)製造・流通・公益・サービス業務向け、(3)金融・公共・医療・通信・教育業向け、の3つのグループを編成し、営業70名、エンジニア100名の計170名体制を敷き、「個別のインダストリーに密着して提案活動を行っていく」(取締役専務執行役員 インダストリーセールス&コンサルティングサービス担当 東裕二氏)。また中堅・中小規模システム向け専門の「クロスインダストリー本部」を設置し、SMB市場を対象とした導入手法「Oracle NeO」の展開を強化する方針。

 販売目標については今後2年間で製造業で90件、金融業で50件、医療・製薬業で30件の案件獲得を目指すほか、SMBに対してはEBSの全案件の30%を目標としている。

 同社はデータベース市場においては国内シェア61%(2003年 IDC調査)と確固たる地位を築いているが、ERP市場では「すごく苦労している」(新宅氏)という。しかしここに来て「利益を確保する基盤が整ってきた」ことから、EBSの展開を同社の“成長エンジン”と位置づけており、国内では「全売上中15~20%を目指したい」としている。

 なお、記者からのPeopleSoft買収についての質問に対して新宅氏は「一応の備えはしているが、(マスコミで報じられている)一般的な情報しかなく計画にも入れていない。(PeopleSoftは)いい顧客を持っているから、うまくいけばいいなと思っている」とコメントした。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/

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  ・ 米Oracle、「Oracle E-Business Suite 11i.10」を60日以内にリリース(2004/09/07)


( 朝夷 剛士 )
2004/10/20 15:52

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