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インテリシンク、デバイス管理機能を備えた企業向けのデータ同期プラットフォーム


 インテリシンク株式会社は、エンタープライズ統合モバイルプラットフォーム「Intellisync Mobile Suite Ver.6.0J(以下、IMS)」を10月28日より発売する。価格は1ライセンス19,200円で、50ライセンスからの販売となる。


インテリシンク株式会社 代表取締役社長、米Intellisync 副社長兼アジア担当ゼネラルマネージャー 荒井真成氏
 インテリシンク株式会社 代表取締役社長で、米Intellisync 副社長兼アジア担当ゼネラルマネージャーの荒井真成氏は「これまでのモバイルデバイスのWebブラウザと基幹システムの連携、データシンクロの機能に、システムやアプリケーションの管理といった運用での負荷を低減する機能を盛り込んだ。60以上のパテントや、標準化されたSyncMLのスペックの集大成といえる製品」とした。

 アメリカではすでに1年前から製品が提供されており、医療CRMの連携で1万以上のインストールベースがある米Pfizerのほか、3万以上のユーザーへモバイルコネクティビティサービスを提供する米VerizonWirelessのプラットフォームとしても採用されている。

 「サーバーからのプッシュ型サービスは、アメリカでBlackBerryなどのスマートフォンが企業に浸透する上で重要な機能のひとつにとらえられている」とした荒井氏。IMSでWebアクセス以外の機能を利用するには、クライアント側での対応が必要となるが、「日本の携帯電話でも、SymbianやLinuxの採用で、これまでのクローズされた世界からオープンになりつつある」とし、「今後は国産グループウェアとの連携も進め、日本でのデファクトにしていきたい」と語った。


インテリシンク株式会社 営業・マーケティング担当副社長 井手龍彦氏

IMSの構成コンポーネント
 インテリシンク株式会社 営業・マーケティング担当副社長の井手龍彦氏は、「企業モバイル環境には3つの波が押し寄せている」とした。それが電話のIP化、企業向けFOMAやNokiaのスマートフォンといった端末の登場、そして個人情報保護だ。

 すでに数千単位で構内回線を携帯/無線LANのハイブリッド端末に置き換える例も出てきており、「欧米ではスマートフォンが普及しているが、携帯電話の普及した日本では端末の高機能化の進展で、互いに同じレベルに近づいている」とした。一方で国内では個人情報保護の強化を理由に、ノートPCを持ち出し禁止にする企業も増えており、「携帯電話などモバイル端末向けのセキュリティがますます重要になる」と述べた。

 IMSは、メール/PIMデータの同期が可能な「Email Accelerator」、ソフト配布などの管理、バックアップが行える「Systems Management」、アプリケーションやWebなどのデータ同期が可能な「FileSync」、OracleやDB2、SQL Serverなどのデータベースとの同期が行える「DataSync」の4つのコンポーネントと、認証モジュールなどのモバイルゲートウェイ、クライアントソフト、管理コンソールから構成され、利用方法は、Webブラウザアクセス、高機能なモバイルクライアントの2種類に大別される。

 今回発売されるコンポーネントはEmail Acceleratorのみで、クライアントソフトもPocket PCのみの対応となるが、FileSync、Systems Managementの提供と、Palmへの対応が2005年3月より行われる。またサーバー側には「今後発売が見込まれるSymbianやSyncMLに対応できる基本機能は備えている」という。DataSyncについては2005年第2四半期からの提供となる。


IMSのシステム構成図
 携帯電話向けの機能としては、「キー操作、表示領域の制約をとり除く」ことにフォーカスされている。メニュートップは利用頻度の高いメール画面で、新着メールのみの一覧表示も可能だ。対応するメールサーバーはIBM Lotus Notes/Domino、Microsoft Exchangeとなる。

 File/DataSyncの機能では、差分データのみを受信することで、ネットワーク負荷を低減する。ソフト配布やアップデート機能、さらにサーバーからのデータのバックアップ・リストアも可能だ。データの同期は、設定によりデバイス側の電源OFF時にも一定の周期で自動的に行えるため、ユーザーが意識せず利用できる。データベースのシンクロでは、設定されたフィールド単位で端末側データベースと同期できる。

 セキュリティの機能については、モバイルデバイスの紛失時に、パスワードロックはもちろん、メール/PIMデータの削除、端末の初期化などが可能となっており、「IMSの中核をなす特徴的なもの」とした。このほかDES/AES/SSLに対応する通信の暗号化機能も備えている。

 管理機能については、共通の管理コンソールにより、コンポーネントを追加してもそのまま管理できる。また運用ポリシーにあわせた管理者設定ができ、例えば拠点ごとに権限を限定することも可能だ。

 管理画面には、Windows標準のMicrosoft管理コンソールの機能を用いており、イベントビューワなどと同様の操作で管理できる。ユーザー登録ではWindowsドメイン、LDAPディレクトリ、Active Directory、Dominoサーバーからのインポートに対応する。

 項目としては、ユーザーとデバイスの一覧、ISMサーバーのリストや運用状態、Syncログ、イベントログの表示、モバイルゲートウェイのトラフィックの推移などを一覧でき、各種の項目を監視し、しきい値に基づいてメール通知する機能も備える。

 データを同期する際のファイルのプッシュ型発行は、ウィザードのほか、スクリプトで詳細を定義することも可能だ。またセキュリティを含む設定をプロファイルとして保存し、ユーザー/グループに対して一括展開できるため効率的に管理・運用が行える。

 井手氏は「企業の根幹であるデータベースの情報を、モバイルデバイスから利用する橋渡しをする。ほかにはない、充実したモバイル環境を提供していく」と語った。

 なおインテリシンクでは、IMSパートナープログラムの開始もあわせて発表した。このプログラムは「企業の根幹となるシステムを熟知したSI企業向けに、技術トレーニングや営業支援を提供する」もの。インテリシンク社内に設置されたIntellisyncサーバーをASP的に提供することで、「製品評価のできる環境も提供する」とのことだ。


モバイルノートPCのWebブラウザからメールサーバーにアクセスした画面 Pocket PCでのデータ同期画面


URL
  インテリシンク株式会社
  http://www.intellisync.co.jp/
  Intellisync Mobile Suite
  http://www.intellisync.co.jp/enterprise/ims.html

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( 岩崎 宰守 )
2004/10/28 17:33

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