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日本ピープルソフト、金融業界向けの新機能などを備えたCRM最新版


 日本ピープルソフト株式会社は11月2日、CRMアプリケーションの最新版「PeopleSoft Enterprise CRM 8.9(日本語版)」の出荷開始に伴い、新機能についての説明会を行った。


米PeopleSoft 日本・アジアパシフィック担当 プロダクト&インダストリ ソリューションディレクター レイ・クロス氏
 米PeopleSoft 日本・アジアパシフィック担当 プロダクト&インダストリ ソリューションディレクターのレイ・クロス氏によれば、「CRM 8.9では、延べ1000人のエンジニア投入し、TOE(Total Ownership Experience)の向上にフォーカスして製品の改良が行われた」という。

 クロス氏は、「“Ease to Use”が実現すれば、サポートコストも減少する」とし、クリック数の削減をはじめとした使い勝手の向上には、「多くの開発リソースが充てられたとした。同社の製品は従来から機能がモジュール化されており、CRM 8.9では新たに15のモジュールが追加されている。さらに既存のデータベースを活用し、ミドルウェアを介してリアルタイムに情報共有する形で導入できる。さらにインストール工数についても従来の半分で導入できることから、「ビッグバン方式でなく、必要な部分から導入でき、そのコストも従来以上に削減されている」点がメリットとした。

 CRMソリューションは、顧客情報を収集して分類し、セグメント別のニーズをくんだ商品を経営戦略に基づき、最適なプロセスで提供することで、企業の収益を最大化するのが基本的な考え方だ。この顧客理解、計画、最適化の3つのサイクルで、「一方通行でなく、結果をフィードバックし、ブラッシュアップしていく点がいままでのCRMには欠けていた」とする。

 新機能である「カスタマーポートフォリオマネジメント」では、顧客を、売上や収益、そして戦略的な価値に応じてセグメント分けし、この情報をマーケティング、サービス、セールスの各部門で共有、それぞれに異なる戦略を適用することで、収益率の向上を図るもの。


日本ピープルソフト株式会社 CRM事業開発部長 植木貴三氏

顧客情報を評価し、次の行動の処方せんを提案する「プレスクリティブアナリティクス」

フィナンシャルプランナー向けにフォーカスした新機能「ウェルスマネジメント」
 日本ピープルソフト株式会社 CRM事業開発部長の植木貴三氏は、「蓄積した顧客データを活用し、戦略が現場に反映できない点がCRMの課題となっていた」とし、カスタマーポートフォリオマネジメントと、同じく新機能である「プレスクリティブアナリティクス」でこれをサポートできるとした。

 同じく新機能である「プレスクリティブアナリティクス」は、電話やメール、対面で行われる顧客とのやり取りの際のアクションに対応し、ビジネスルールに従って、セグメントの分類と評価から判断した処方せんともいえるセールスなどの行動を推奨するもの。ビジネスルールを格納したリポジトリには、トリガーとなるポイントも記録されており、さらに顧客状況の変化に応じてデータをマッチングし、条件に合えば定義されたアクションを行う仕組みとなっている。

 こうしたビジネスルールは業界や企業ごとに異なるのが一般的だ。同社でも業界業種向けのテンプレートでこれに対応していたが、コード変更を行う追加カスタマイズはどうしても必要になっていた。CRM 8.9では、これをパラメータの変更により設定可能になっている。このため業務担当マネージャーが直接変更、追加することも可能になり、バージョン移行での追加開発も発生しなくなった。また顧客アクションへのレスポンスは、GUIによりフローを設計できる。

 このほか、役割に応じて必要な情報の閲覧権限のみを設定できるセキュリティも追加されており、「ひとつのデータベースを共有し、パートナーと連携した販売やマーケティング、サービスサポートを展開できる」。またパートナーリレーションシップマネジメントでは、新たに追加された「カスタマーデータモデル」により、実績に基づいたパートナーの価値判断や、ライフサイクルの管理が可能だ。

 「ウェルスマネジメント」は、業種別のソリューションのひとつである金融向けに追加する形で、フィナンシャルプランナー向けの新機能を提供する製品。顧客へ資産運用のアドバイスを行うにあたって、レガシーシステムに格納されたデータまでを集計し、合計額をポータル画面に一元表示できる機能を備える。また顧客の勤務先や家族といった関係情報も管理できる。植木氏は「この機能では顧客データモデルの柔軟性がポイントになっている」とした。

 金融業界では、これまでの富裕層にフォーカスした戦略から、その下に位置する金融資産が2000万円から1億円程度の中流上位層の顧客をいかに取り込むかが課題となっている。この対象となる顧客層は高いレベルのサービスを要求する面があり、これまで専門的な知識を持ったフィナンシャルプランナーによりサービスが提供されていた。

 ウェルスマネジメントでは、こうしたサービスを、比較的経験や知識のない人間でも効率的に提供できるため、対象となる富裕層を中流上位にまで拡大でき、さらに人件費の面からもメリットが大きいとした。

 日本ピープルソフト株式会社 営業本部 執行役員本部長の村上智氏は「金融自由化により証券の窓口販売が始まる。これまで商品別、顧客別に分断されていたシステムを統合し、ダイレクトバンキングやコールセンター、フィナンシャルプランナーで情報を共有できるようになる」とした。



URL
  日本ピープルソフト株式会社
  http://www.peoplesoft.co.jp/

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  ・ 日本ピープルソフト、CRMアプリケーションの最新版(2004/09/30)


( 岩崎 宰守 )
2004/11/02 19:07

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