ボーランド株式会社は、Win32と.NET Framework、C#をサポートし、モデル駆動型開発(MDA)の機能を追加した統合開発環境の最新版「Borland Delphi 2005 日本語版」を12月6日より出荷する。
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米Borland デベロッパー・リレーション担当副社長 デビッド・インターシモーネ氏
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DelphiをはじめとしたBorland製品のこれまで
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米Borland デベロッパー・リレーション担当副社長のデビッド・インターシモーネ氏は、「Borlandでは、1983年にTurbo Pascal 1.0を発売して以来、一貫してソフトウェア開発者の開発生産性向上にフォーカスした事業で、開発者のニーズや課題への認識を深めてきた」と語った。
ここ数年では、コラボレーションによるチーム開発での生産性向上にシフトし、Application Lifecycle Management(ALM)の考え方により、コンポーネントやコードの再利用を可能とするほか、ソフトウェアへの要求をトラッキングしてすぐに開発へとフィードバックでき、その変更の影響も把握可能な構成管理ツール「Borland StarTeam」を中心としたプロダクトにより、開発スピードの向上とソフトウェア品質の確保を実現している。
インターシモーネ氏は「近年企業では、ソフトウェアの開発から運用までのプロセスの中で、より多くの人が介在する変化が起きている」と述べ、Borlandで提唱しているSoftware Delivery Optimization(SDO)は、こうした環境を踏まえたものとした。SDOでは、「プロジェクトに有用な技術を適用することで開発を加速し、成長プロジェクトを特定して重要な人材を割り当てることで、ビジネス機会を最大化する」といったビジョンだ。インターシモーネ氏は「ビジネスの視点から、企業組織の生産性を向上するもの」と述べたほか、「レガシーアプリケーションへの投資も保護し、ベンダーロックインによるリスクも軽減できる」とした。
Delphiは、1995年のVer.1.0発売以来、最善のWindows開発環境をビジョンとして、「Windowsプログラミングでの技術にあわせて進化してきた」という。「これまでのプログラミングスキルを生かしながら、今後の.NET 2.0、LonghornといったMicrosoftのロードマップにも対応するもの」との位置づけだ。
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米Borland Windows/.NET開発ツール製品管理部長 マイケル・スウィンデル氏
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Win32、.NET、C#の開発を単一の環境でサポートする
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オブジェクトとデータモデルを自動生成するMDAフレームワーク「ECO II」
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Delphi 2005は、Win32の開発環境であるDelphi 7、同じく.NET向けのDelphi 8に加え、C# Builderまでを統合した開発環境。Win32、.NET、C#、Delphiの各環境を単一プラットフォームでサポートしている。
米Borland Windows/.NET開発ツール製品管理部長のマイケル・スウィンデル氏は「Windows開発者は、2つの課題を抱えている」とした。ひとつはWin32環境で開発してきたこれまでのソフトウェア資産をどうするのかという問題、そしてもうひとつが.NETへの移行だ。
「Longhornが登場すれば、.NETとWindowsの境目があいまいになっていく。将来を見据えると、.NETは主流になると考えられる」としたスウィンデル氏は、「Delphi 2005では、これまでの資産を.NETに取り込むことが可能」と、そのメリットを語った。
Delphi 2005は、MDAフレームワーク「Enterprise Core Objects II(ECO II)」を搭載した企業向けの製品である「Delphi 2005 Architect」、データベースを用いた多層型のアプリケーション開発が可能な「Delphi 2005 Enterprise」、デスクトップのWindowsアプリケーション開発向けの「Delphi 2005 Professional」の3つがラインアップされる。なおArchitectとEnterpriseには「Borland StarTeam」のスタンダードライセンスが同梱される。価格はArchitectが378,000円、Enterpriseが315,000円、Professionalが71,400円。
ECO IIは、モデルを生成することで、O/Rマッピング技術により必要なオブジェクトとデータモデルを自動生成する機能。モデルに追加・変更を加えても自動的に反映されるため、開発生産性を向上する。ビジネスロジックをWebサービスやASP.NET、WinFormのプレゼンテーション層へマッピングするフレームワークコードセットも実装されている。
さらにBorland Dataprovider fot ADO .NETにより、ひとつのアプリケーションからマルチベンダーのデータベースへアクセスできる機能をソースコードを記述せずに実装できる。
このほか新機能としては、コーディングを効率化するための履歴管理やヘルプ、エラーチェック、リファクタリングなどの機能などが追加され、ユニットテスト機能や、CORBA技術によって.NETとJavaを統合する「Borland Janeva」も統合されている。
ソフトウェア開発には、アプリケーションの複雑化と規模の拡大、技術の混在、マルチベンダーへの対応など、プロジェクトが長期化する要因も多い。「ユーザーを満足させるためには、より多くの機能やユーザーインターフェイスの改良も必要」と述べたスウィンデル氏は、「RADツールであるDelphi 2005は、こうした多くの要求に対応する」とした。
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Delphi 2005のプロジェクト作成画面
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モデルの作成画面
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モデルを基にこれらのコードが自動生成される
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■ URL
ボーランド株式会社
http://www.borland.co.jp/
ニュースリリース
http://www.borland.co.jp/news/20041104_delphi2005.html
Borland Delphi 2005
http://www.borland.co.jp/delphi/
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( 岩崎 宰守 )
2004/11/04 19:52
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