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日本NCR、リアルタイムのデータ処理機能が向上したDWHの最新版


 日本NCR株式会社は、データウェアハウスの最新版「NCR Teradata Warehouse 8.0(以下、TW 8.0)」を11月9日より発売、24日より出荷する。価格はSMB向けとなるCPUライセンスの最小構成で700万円から。

 TW 8.0は、RDBMSの最新版である「Teradata V2R6」を中核に、「Teradata Tools and Utilities 8.0」をはじめとしたツール・ユーティリティ製品、アップグレード支援・セキュリティ強化・高可用性実現の各種サービスから構成されている。同社では小売、金融、通信、製造などの大手企業を対象に、直販ならびにパートナー経由での販売を行う。4CPU構成の標準的なシステムの場合で価格は1億円強となることから、同社では初年度に50億円の売上を目標とする。


日本NCR株式会社 代表取締役共同社長 テラデータ事業本部長 細井英樹氏

ワンソースですべてのユーザーへ情報を提供するTW
 Teradata Warehouseは、1979年にカリフォルニアで開発されたデータウェアハウス(以下、DWH)製品。大規模データベース分析による企業経営での意思決定支援ニーズに応えるものとして「当時では画期的な製品だった」(日本NCR 代表取締役共同社長 テラデータ事業本部長 細井英樹氏)。現在までの25年間に、大手企業を中心とした世界750社に1200システムが導入されており、国内でも流通・金融・製造・通信など150社で200システムが稼動している。

 アメリカ最大手の小売企業であるWal-Martでは、取引先各社と売上明細データを共有し、今後の販売動向を分析して、発注や生産に反映させる「リテールリンク」のシステムを導入している。Wal-Martの売上は1989年から2002年に7.5倍になった一方、この間にはRFIDの活用などにより利用領域とユーザー数が拡大し、分析対象となるデータ容量は40GBから293TBへと増え、翌2003年には455TBにまで増加を続けている。TWは、こうした大規模で複雑なインフラとして採用されており、現在では「各店舗のPOS端末から30分以内にデータを収集・分析できる体制が整えられている」という。

 細井氏は、TWの優位点として「他社DWHは複数のデータマートを利用しているため、検索や利用の範囲が制限されるが、TWでは企業のトップから現場担当者までひとつのソースで情報を提供する。これにより全社的な意思決定スピードと信頼性を向上できる」とした。

 最新版となるTW 8.0では、DWHに求められるデータの精度に加え、「業務システムと連動してイベントをリアルタイムで処理する“データの鮮度”が向上した」という。また全社規模の基盤として、「ほかの業務システムとの親和性も向上、同時に要求される高い可用性も備えた」とした。

 日本NCRではかねてからテラデータ事業を成長戦略における重点事業と位置づけており、「2004年からはパートナー経由での販売に力を入れている」という。細井氏は「大規模DWHの必要な企業は今後増えていき、リアルタイムの意思決定の重要性も世界的に高まると考えている」と述べた。

 今回の発売に際しては、「今後は営業、SE、コンサルタントあわせて25名規模での増員も行う」と述べた細井氏は、「旧バージョンからの移行が当面は中心となるだろうが、新規顧客についても2005年に12社の獲得をめどとして力を入れていく」と語った。


日本NCR株式会社 テラデータ事業本部 営業推進統括部 統括部長 吉川幸彦氏

業務システムと連携したリアルタイム分析を実現するTW 8.0
 日本NCR株式会社 テラデータ事業本部 営業推進統括部 統括部長の吉川幸彦氏は「増加し続けるデータをハンドリングして、迅速正確な意思決定につなげることが、競争の激化した市場で打ち勝っていく要因になる」とした。

 このためTW 8.0は、「意思決定までの時間をいかに短くするかが開発の課題となった」という。これまでのDWHでは、バッチ処理による情報分析で、企業全体の方向性を決定するのに必要な戦略策定を支援するもことが中心だった。TW 8.0ではこれに加えて、ビジネスイベントの変化をトリガーとしてデータを捕捉し、分析するオペレーショナルな日常業務の決定に必要な情報分析の機能が拡張されているという。

 具体的には、イベントの検知に対応してストアドプロシージャの発行が可能となり、さらにDWHでの分析結果を業務系のビジネスプロセスに結びつけるといった機能がより向上した。またSQL文に加えC、C#による分析アプリケーションの開発・実装が可能となった。リアルタイム性をより向上できるよう、クエリの処理効率も高められている。

 こうした機能拡張により、例えば航空会社でフライトの遅れを感知し、搭乗している優良顧客の名前から乗り継ぎの状況を分析、次善の乗り継ぎを提案したり、さらにコールセンターとの連動や、クーポンの提供といった施策をリアルタイム分析により実施できるという。

 このほかデュアルアクティブ構成への対応や、再起動時間の短縮により可用性も強化され、さらにネットワークデータの暗号化により、セキュリティ面も改善されている。



URL
  日本NCR株式会社
  http://www.ncr.co.jp/
  Teradata
  http://www.teradata-j.com/

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  ・ 「大規模DWHと無人POSを両輪に」-日本NCR共同社長(2004/09/21)


( 岩崎 宰守 )
2004/11/09 18:08

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