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アイログ、.NETに対応したビジネス・ルール管理システムの最新版


 アイログ株式会社は、.NETに対応したBRMS(ビジネス・ルール管理システム)の最新版「ILOG Rules for .NET」を12月3日より出荷する。価格は、5開発ライセンスと1CPUサーバーの実行環境用ライセンス、ルール変更用の管理キットからなる推奨構成で875万円程度とのこと。

 ILOG Rules for .NETは、市場競争の激化や法規制への対応など、さまざまな要因によるビジネス上の定義変更を、ソフトウェア上での業務手順として業務担当者自らの手でルールとして記述できるソフトウェアコンポーネント。既存製品のILOG JRules 4.6はJ2EE環境向けの製品となっていたが、今回の製品は初の.NET環境向け製品となっており、C#に置き換えられた上に、Windowsプラットフォーム向けの機能を追加し新しいプロダクトとなっている。

 ILOG Rules for .NETを構成するモジュールは、.NET Frameworkをベースとしたネイティブなビジネスルールエンジンで、XMLやデータベースをデータソースとして利用でき、Webサービスへのアクセスもサポートする「ILOG Rules Engine for .NET」、Visual Studio .NETのプラグインとして動作し、C#、C++、VBのいずれでもビジネスルールアプリケーションの開発が行える「ILOG Rules Studio for .NET」、Windows SharePoint Services(WSS)を利用してビジネスルールレポジトリの管理と共有が行える「ILOG Rules Team Server for SharePoint」、Microsoft WordやWebインターフェイスを用いたルール変更を実現する「ILOG Rules Solution for Office」の5つ。


米ILOG プロダクトマーケティングマネージャー ジョナサン・コーテズ氏
 米ILOG プロダクトマーケティングマネージャーのジョナサン・コーテズ氏は「まずビジネスアナリストが語彙の定義を行い、これを受けて開発者がルールの記述とアプリケーションの開発を行う」と開発の手順を紹介。ビジネスルールそのものはDocファイルとしてリポジトリに格納されるため、その変更については「業務担当者自らが、日常使い慣れたWordやWeb GUIを用いて、条件やアクションをプルダウンで選んで変更ルールを変更できる」とした。

 ビジネスルールは、同社のコンポーネントが組み込まれたアプリケーションと連動して動作するもので、まずは語彙の定義を行ったうえ、If、Then、Elseといった条件分岐を基本に自然言語に近い形で記述できる。たとえば保険契約のアプリケーションでは、料金を算出したり、契約可否を決定する定義を、さらにポートフォリオ管理ではハイテク株の占める割合の変更、さらにコンプライアンスへの対応といったビジネスルールを、市場の変化に合わせて柔軟に変更可能になる。またASP.NET、Winform、Webサービスなど連携アプリケーションの種別は問わないという。


VS.NETのプラグインとして動作する「ILOG Rules Studio for .NET」 Webブラウザからもルールの修正が可能だ 5つのモジュールの利用シナリオ

アイログ株式会社 マーケティング&アライアンス マネージャー ジョエル・ゲイ氏

米ILOG ビジネス・ルール製品担当ディレクター コリーン・マッククリントック氏

開発とビジネスルール管理のライフサイクルを分けられる
 アイログ株式会社 マーケティング&アライアンス マネージャー ジョエル・ゲイ氏によれば、「BRMSはホリゾンタルなツールなため、金融ならばポートフォリオの最適化やローン管理、通信ならネットワーク監視管理、オーダー管理、CRM、また製造だと、生産スケジュール、生産タイミングの最適化などのアプリケーションを提供できる」という。こうしたコンポーネントはISV向けとしてOEM提供されている。またアメリカでは直販も行っているが「開発部隊を自社で持つ企業の少ない日本では、SIと共同でソリューションを開発し、販売を行っていきたい」とした。

 そして「アプリケーションのアップデートをはじめとした、メンテナンスコストが下がる」としたほか、「BPM、BRMSを通してプロセスのストリームラインができるため、全体的な運用のコストも下げられる」点もメリットに挙げた。

 米ILOG ビジネス・ルール製品担当ディレクター コリーン・マッククリントック氏は、「BRMSを導入すれば、アプリケーションコードに組み込まれていたビジネスポリシーをリポジトリに格納でき、変更の際はコードに依存しない」と、そのメリットを述べた。

 また「アプリケーション開発のライフサイクルと、ビジネスルールのライフサイクルを明確に分けられる」点も挙げた。アプリケーション開発では、要件定義、分析、開発、テスト、配布といった流れになるが、これがビジネスルールではオーサリング、テスト、配布という短いサイクルになる。このためより迅速な対応が可能になる。

 今回同社が提供するのは英語版の製品だが、ビジネスルールの語彙に関しては日本語の利用に対応している。またユーザーインターフェイスについても、今後数カ月のうちに日本語対応するとのこと。また現在のところJRulesとはビジネスルールレポジトリを共有することはできないが、「今後の開発ロードマップとして、JRulesとRules fot .NETのレポジトリ連携も予定している」(マッククリントック氏)という。



URL
  アイログ株式会社
  http://www.ilog.co.jp/
  ILOG Rules for .NET
  http://www.ilog.co.jp/products/rulesnet/

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( 岩崎 宰守 )
2004/11/26 19:49

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