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アドビ、起動が高速化したAcrobat 7.0を1月より発売


Adobe Acrobat 7.0 Professional 日本語版
 アドビシステムズ株式会社は12月1日、PDF文書作成ソフトウェアの最新版「Adobe Acrobat 7.0」を発表した。価格は「Adobe Acrobat 7.0 Professional 日本語版」が57,540円、「Adobe Acrobat 7.0 Standard 日本語版」が36,540円。Acrobat 4.0/5.0/6.0からのアップグレード版、アカデミック版も用意されるほか、PDF閲覧ソフト「Adobe Reader 7.0」については、12月中旬より同社Webサイトにて無償ダウンロード提供する。

 またActobat 7.0に加え、Adobe Photoshop CS、Adobe Illustrator CS、Adobe InDesign CSなどで構成されるクリエイティブプロ向けのデザインプラットフォーム「Adobe Creative Suite 日本語版」もあわせて発売される。価格は207,900円。各製品とも発売は2005年1月21日の予定で、対応プラットフォームはWindows、Macintosh。


アドビシステムズ株式会社 代表取締役社長 石井幹氏

米Adobe Systems 製品マーケティング、開発担当エグゼクティブバイスプレジデント シャンタヌ・ナラヤン氏

Acrobatはクライアントでの非構造化データ、LiveCicleはバックエンド連携によるプロセスを自動化する製品との位置づけ
 アドビシステムズ株式会社 代表取締役社長 石井幹氏は、Acrobatについて「紙を電子的に再現するシンプルな機能からスタートし、日本市場では5年前からAcrobat 3.0を投入してきた」と語り、「7.0は今までの新バージョンに引けをとらない進化を果たした製品」とした。

 PDFのメリットを「セキュリティとコラボレーション」とした石井氏。「当初からの紙の電子化による見やすさはそのままに、電子署名や注釈、マークアップをドキュメント自身の機能として備えるほか、多様な情報をそのまま内包できる情報コンテナとして、ワークフローなども簡単に構築できる」とした。

 AcrobatをこれらPDFのメリットとなる「可能性と機能をそのまま提供する製品」とした同氏は、国内でも法規制の対象となる文書をデータで保管可能となる「電子文書法(e文書法)」が11月19日に成立し、2005年4月1日からの施行が確実になったことを取り上げ、電子書類を取り巻く状況は大きく変わりつつあるとした。Acrobat 7.0では、外部のタイムスタンプサービスにアクセスして電子署名する機能が追加され、文書の改ざんがないことを証明できる。また128ビットAES暗号化にも対応し、セキュリティ面も向上している。

 米Adobe Systems 製品マーケティング、開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのシャンタヌ・ナラヤン氏はPDFについて「サプライチェーンを構成するサプライヤーやパートナーとのコラボレーションにおいて効率を向上でき、トランザクションとフロントエンドの橋渡しを実現する」とし、「企業内で統一されたバックエンドでのプロセスを自動化するのがAdobe LiveCycle、ユーザーのデスクトップで非構造データを扱うのがAcrobat」と位置づけた。

 そしてAcrobat 7.0 Professionalでは、「Adobe Readerのユーザーでも注釈のプロセスに参加できるなど、コラボレーションの改善に力を入れた」と述べた。PDFファイルの作成時には、Adobe Reader 7.0ユーザーに対して注釈への参加権限を付与することが可能となっている。また複数ユーザーの手を経た注釈を結合もできる。さらにAcrobat 7.0では、3D CADデータの格納も可能となっており、製造業でのデザインパターンをやり取りする企業での活用デモなどを紹介、CADソフトのない環境でも活用できる点もメリットとした。

 Professionalには、XMLベースのPDFフォーム開発ツール「Adobe LiveCycle Designer」も同梱され、メールを介する簡易的な承認ワークフローなどについてはサーバープロダクトを用いることなく実現できる。またAutoCADだけでなく、Microsoft Project/VisioからのPDF作成やデータの読み込みも可能となっている。


PDFファイルに権限を付与すれば、Adobe ReaderユーザーもPDFに注釈を追加できる XMLベースのPDFフォームを作成できる「Adobe LiveCycle Designer」 スキャンした紙データのフィールドを自動認識してXMLフォームを生成できる

 Acrobat 7.0では、プログラムの読み込みプロセスを見直すなどにより、起動時間が大幅に短縮された点も特徴となる。「前バージョンでは起動が遅いとの声はいただいていた」(米Adobe Systems インテリジェント ドキュメントBU シニアプロダクトマネージャー 山本晶子氏)とのことで、マシンのスペックにもよるが、7.0ではほぼ待ち時間なくPDFファイルをオープンできる。これはAdobe Readerでも同様だ。 さらにPDF作成時間についても「Officeアプリケーションで最大で80%高速化している」(アドビシステムズ株式会社 インテリジェンスドキュメント部長 市川孝氏)とのことだ。

 生成されるPDF自体のバージョンもAdobe PDF 1.6となり、オブジェクトのラッピングやメタデータをサポートしたほか、マークアップツールやOpenTypeフォントの埋め込みにも対応した。また「添付ファイル」タブをクリックすることで、内包されるファイルがアイコン表示され、ウィンドウにドラッグアンドドロップすることで容易に追加できる。

 またAcrobat 7.0をインストールすると、Microsoft Outlook/Access/Publisherのユーザーインターフェイスにボタンを追加され、ワンクリックでPDFを作成できるようになる。Adobe Acrobat自身のUIについても、ツールバーの追加や、ファイルメニューの再構成により、使い勝手も従来より向上した。さらにエー・アイ・ソフト株式会社のライセンスを受け、「読んdeココ」のOCRエンジンを搭載し、イメージファイルをテキスト化して保存できるようになったほか、複数PDFファイルの結合にも対応した。

 なお企業向けにボリュームライセンスのみの提供となる「Adobe Acrobat 7.0 Elements」については、5月以降に提供の予定。


縦3ペインのウィンドウでPDFを一元管理できる「PDFキャビネット」 「読んde!ココ」のOCRエンジンも新たに搭載 Policy Serverとの連携でPDFファイルに有効期限を設定することも可能に


URL
  アドビシステムズ株式会社
  http://www.adobe.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.adobe.co.jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200412/20041201acrofamily.html
  Adobe Acrobat 7.0
  http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/

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( 岩崎 宰守 )
2004/12/01 20:39

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