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CRMやSFAのデータをオフラインで参照できる「Intellisync for eMplex」


 エンプレックス株式会社とインテリシンク株式会社は12月8日、エンプレックスのグループウェア&ナレッジマネジメントソフトウェア「eMplex EIP」のデータを、PDAやOutlookと同期可能にするソフトウェア「Intellisync for eMplex」の共同開発を発表した。製品は2005年5月から提供される予定。


エンプレックス株式会社 取締役 兼 最高ソフトウェア開発責任者 菅谷義博氏
 エンプレックスは、1996年にジェイワールドの名で創業され、当初はWebシステムを中心としたコンサルティング、SI事業を展開していた。しかし「Webやメールを中心としたマーケティング分野での開発ニーズが非常に大きかった」(エンプレックス株式会社 取締役 兼 最高ソフトウェア開発責任者 菅谷義博氏)ことを受け、2003年からはCRMパッケージ「eMplexCRM」を中心とした事業へと方針を転換。2003年には、CRMのインテグレーションを数多く手がける株式会社イーシステムから資本提供を受け、さらに社名も現在のものへと変更したという。

 今回の提携により、CRMシステムに格納された顧客情報や、SFAの営業情報をノートPCやPDAと同期し、オフラインの状態でも情報の閲覧が可能になる。Intellisyncの機能により、クレードルを用いる方法のほかに、PHSや無線LANを用いて遠隔地からも同期が可能だ。同氏は「技術的な側面はIntellisyncに任せることで、CRMそのものの開発に注力できる」とした。

 従来のeMplexでは、Webブラウザを情報の入力・閲覧用インターフェイスとしていた。Intellisync for eMplexでのクライアント側インターフェイスについては現段階では未定で、「今後開発の中で検討していく」とした。同氏は「SFAの活用では、データの入力が一番の問題になる」とし、「PDAは携帯電話と違い管理できる項目も多く、画面も大きいため入力もやりやすい。今回の提携により移動中や空き時間に情報を入力できる点が大きなメリットになる」とした。なお製品はベータリリースを経て5月には製品版として出荷したい考えとのこと。


eMplexCRMを構成する5つの製品
 eMplexCRMの製品ラインアップは、eMplexEM(Eマーケティング)、eMplexSFA(セールスフォースオートメーション)、eMplexEC(Eコマース)、eMplexCS(コールセンター) の4つからなっており、購買や顧客対応、営業などの履歴は、すべてデータベースで一元管理される。

 例えば、営業が登録されたすべての顧客先を回ることは不可能だ。これまではそうした顧客情報を役に立てる手段はなかったが、Web・メールマーケティングとの連携で、フォローできない顧客に対しても「緩やかな形での関係を維持していく」形での営業活動を行えるため、商機をとらえる有効な手段となる。またECでは、商品を購入した直後ではなく、1週間で使用感に関するアンケートを自動送付もできるなど、システム側が自動的にきめ細かいユーザーへの対応を実現するという。

 さらにデータが一元管理されることのメリットとして、「コールセンターへのクレームを把握せずに、営業が顧客先で問題のある対応を繰り返してしまうといった、過去の履歴を把握できないことで起きるケースも防げる」とした。

 こうしたCRMのラインアップについては「エンプレックスでは、CRMであればすべての顧客接点を網羅するべきと考えている。しかし国内にはそうしたCRM製品は存在していない。もしくはインターフェイスが統一されていない」とした。eMplexEIPは、大規模環境でも運用できるグループウェア機能と、これらCRMの情報を利用するための統一的なWebインターフェイスを提供している。「グループウェアは企業内の情報共有をするものだが、eMplexEIPは基本的に顧客情報を共有する部分が主体となる」という。また同社製品は、運用者自身が属性フィールドも自由に追加、変更できるなど、カスタマイズ性が高いことも特徴の一つだ。

 CRM製品を使うことで、「必要なヒアリング項目、予算決定上のキーマンへの提案などの営業手法を網羅でき、スコア化して確認できるため、論理的に売り上げが向上できる」とした同氏だが、海外ベンダーのCRM製品などでは、「機能は網羅していても、社員全員が使えるような使い勝手とは言い難く、顧客分析はできても実際のアクションに結びつけられないことが多い」とした。さらに“営業”そのものの仕事の進め方にも、海外と国内では大きな違いがあるとの見方を示した。

 「海外では上司の決めたやり方に沿って営業活動が進められるが、国内では担当者自身が知恵を絞った提案型営業を行う場合が多い」ことがそれだ。営業活動の効率化では「海外型の営業手法で、会議時間を短縮して顧客先の訪問数を増やすことよりも、いかに実際の受注を増やし、売り上げ向上させるかが大事」とし、この点は国産パッケージであるeMplexCRMの強みでもあると語った。

 同社では現在、電通ドットコム株式会社からも増資を受け、効果指標からTVや雑誌、吊り広告といったマスマーケティングの予算配分を適正に行える支援システムの開発も進めている。同氏は「マーケティングを行ううえで、CRMとは互いに補完しあう関係になる」と語った。



URL
  エンプレックス株式会社
  http://www.emplex.jp/
  インテリシンク株式会社
  http://www.intellisync.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2004/12/08 10:13

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