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ミラクル・リナックス、x86-64対応版を発表

ミッションクリティカルに対応したサポートメニューも拡充

ミラクル・リナックス株式会社 代表取締役社長 佐藤武氏

日韓中の「Asianux」では同一性が保証されるため、ソフトウェアの認定が一度で済むメリットもある
 ミラクル・リナックス株式会社は、EM64T/AMD64対応のLinux OS「MIRACLE LINUX V3.0 - Asianux Inside for x86-64」を2005年2月28日より出荷する。価格は63,000円。あわせてサポートサービスメニューも拡充し、障害対策を追加した「エンタープライズ・サポート」を1月1日から、インシデント発生時のみに提供する「1ショットサポート」と、「24時間対応サポート」についても4月1日から提供する。

 ミラクル・リナックス株式会社 代表取締役社長の佐藤武氏はMIRACLE LINUXの特徴として、「エンタープライズ利用での安定性、信頼性、性能面と、オラクル向けの最適化がひとつのポイント」とし、x86-64対応版では「既存システムからのスケールアップとUNIXマイグレーション、業種では金融、製造、官公庁をターゲットとしていく」と語った。

 また「Linux OSはカーネルはほとんど同じなため、ディストリビュータの差はサポートサービスに出る」とし、「これまでLinuxはインターネットエッジで多く利用されていたが、よりハイエンドなミッションクリティカル領域での活用が増えているため、サポートサービスでも高いレベルの対応が要求される」との見方を示し、「ミッションクリティカルであればあるほど、我々の価値が出てくる」と自身を見せた。

 また日韓中が連携した取り組みであるAsianuxでは、MIRACLE LINUXと中国Red Flag Linux、韓国HAANSOFT LINUXとの同一性が保証されており、「ISVによるソフトウェア認定は、1回ですべてをカバーできるのが大きなメリット」とした同氏は「ISV市場を勝ち取ることは大切と考えている」と述べた。さらに今後は「x86-64対応版の開発が終わり次第、Asianux 2.0の開発を開始する」と語った。


データベースを例にした64ビット環境の利点
 ミラクル・リナックス株式会社 コアテクノロジー部部長 伊東達雄氏は、大規模システムを構築する上で、「32ビット環境における4GBの仮想メモリ空間が足かせになっている」とした。同氏はデータベースシステムを例に「64ビット環境では、テーブルデータのバッファキャッシュとして物理メモリをフルに活用できる」とし、Oracle 9iを利用した場合には最大40%の性能向上になるとのベンチマークを紹介した。またアプリケーションサーバーでも「Javaのスレッドに対する仮想メモリ空間の制約がなくなるため、パラメータを調整すれば、単位時間当たりのセッション数を増やすこともできる」とメリットを挙げた。

 そして「OSを入れ替えるだけで、コストは変わらずスケールアップできる」とその利点を強調した。

 さらにx86-64環境のメリットとして、IA32アプリケーションがそのまま動く点を上げた。これはRed Hatのx86-64環境ではサポートはされない一方で、MIRACLE LINUX V3.0 for x86-64では動作が保証されている。Red Hatとの比較では、シフトJISへの対応、外字対応など国内の要件に対する機能や、WindowsからのマイグレーションをにらんだActive Directoryの代替としてのOpenLDAP連携機能、中国官公庁のシステム要件としてのGB18030への対応なども優位点として挙げた。

 さらにMIRACLE LINUXは、ファイルシステムとして「大規模環境ではファイルシステムの管理テーブルが破綻する場合のある」ext3だけでなく、より信頼性の高いXFS、ReserFSにも対応している。さらにLinux Kernel Clash Dump(LKCD)、Linux Kernel Status Trace(LKST)、diskdump、netdumpといった障害対応ツール、iSCSIへの対応、Red Flagがノウハウを持つKDEを拡張したデスクトップ環境などにも強みがあるとした。


ミラクル・リナックス株式会社 プロフェッショナル・サービス部 部長 小田切耕司氏

Linuxの導入で懸念の大きいサポート面が強化された
 ミラクル・リナックス株式会社 プロフェッショナル・サービス部 部長 小田切耕司氏は、サポート部門の売り上げは年率65%以上で成長しているとの現状を紹介した。そして今回のサポートサービスメニューの拡充にあわせ、サービスの提供期間も従来の6年から7年に延長するとし、「製品ライセンスとサポートを分けて、あらゆるユーザーに最適なサポートを提供する」との同社のサポートポリシーを述べた。これにより、「例えば製品を購入当初はサポートを受け、その後の安定稼動の時期には障害時の1ショットサポートに切り替えることもできる」としたほか、製品を導入してから2年後にサポート加入するといった柔軟な対応も可能とした。

 ミラクル・リナックスではこれまで、自動アップデートツール「mlupdate」のライセンスと年間バージョンアップ権からなる「アップデート・サポート」(31,500円)、設定や運用、障害対応の問い合わせを無制限に行える「プロダクト・サポート」(157,500円)を提供していたが、今回のメニュー拡充により、ダンプ解析や障害時の独自パッチ提供などを含むミッションクリティカル環境向けの「エンタープライズ・サポート」(630,000円)を追加提供する。また事前申し込みにより時間外や休日のサポートを提供する「24時間サポート」も追加オプションとして新たに提供する。

 このほかプロダクトサポートをインシデント発生時にのみ1ショットで提供する「インシデントサポート」(52,500円)に加え、エンタープライズサポートに含まれるダンプ解析も1ショットで提供(525,000円)も行う。



URL
  ミラクル・リナックス株式会社
  http://www.miraclelinux.com/
  プレスリリース(EM64T/AMD64対応版)
  http://www.miraclelinux.com/pressroom/details/2004/1216_1.html
  プレスリリース(サポートサービスの強化)
  http://www.miraclelinux.com/pressroom/details/2004/1216_2.html

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( 岩崎 宰守 )
2004/12/16 16:06

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