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NECのマーケティング推進本部長、塩川正二氏
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日本電気株式会社(以下、NEC)は12月20日、情報システムへの「ITIL(IT Infrastructure Library)」適用を支援するソリューション「ITILビジネススィート」を提供開始した。
ITILとは、IT運用における実際の知識・ノウハウを集約したベストプラクティスのフレームワークで、もともとは英国の政府機関が作成したもの。欧米では業界のデファクトスタンダードとして扱われ、これをもとに規格化した「BS15000(英国規格)」も存在するほか、2005年にはBS15000のISO(国際標準規格)化も予定されている。
一方、国内の企業のITシステムに目を向けて見ると、NECのマーケティング推進本部長、塩川正二氏が「IT予算の約7割がメンテナンス費用。ここにメスを入れないと企業の競争力を保てない」と述べたように、いかに品質を落とさずに運用費用を軽減するか、ということが企業の重要な課題となっている。その観点から見ると、ITILではガイドラインに沿ってITプロセスを設計・構築することで、高品質のプロセスを低コストで実現できるため、国内でも注目が集まってきているのが現状だ。
こうした流れの中、NECではITILを適用するためのプロセスを、1)運用診断/コンサルティング、2)運用プロセス設計、3)運用システム構築、4)システム運用業務、の4領域に分類してサービスを提供する。まず1)では、アセスメントシートの活用による「ITIL診断サービス」をはじめ、その結果を踏まえて改善目標を設定し、必要な施策の実施を支援する「ITIL導入コンサルティングサービス」を提供する。
また2)では、ユーザーごとの環境に適したITILベースの運用プロセス設計を行い、短期間でのITIL適用を支援する。3)では、統合運用管理ミドルウェア「WebSAM Service Desk」を統合監視ソフト「WebSAM MCOperations」と連携させ、インシデント管理や問題管理の効率的な運用環境を構築するサービスを行う。さらに4)では、ITILに準拠したサポートサービス、アウトソーシングサービスを提供し、導入/運用の負荷を軽減したいというユーザーからのニーズに応えるとのこと。
NECではこうしたサービスを提供する一方、各種研修サービスもあわせて提供する。すでに、ITILで規定された7分野のうち、日本語化されている「サービスサポート」「サービスデリバリ」の2分野ではサービスを行っているが、残り5分野に関しても順次サービスを開始するほか、BS15000や、ISO化された際の認証取得を支援するコンサルティングサービスもあわせて提供する。
これらの提供にあたってNECは、マーケティング部門を中心としたITIL推進チームを設置し支援を行うとともに、現在450名ほどのITIL有資格者を、本年度末までに650名に増員するなど、積極的に展開。今後1年間で300ユーザーへの提供を見込んでいる。
なお、NECでは自社の営業支援システム「BEAT」や、現在提供しているHAサービス、PP(プログラムプロダクト)サポートサービスなどの内部プロセスにITILを適用しており、今後もその適用を強化していく考えを持っている。ITIL関連のサービスでは明確な差別化ポイントを打ち出すのは難しいが、「社内運用をはじめ、さまざまなところでノウハウを得られた。たとえば、運用に際してお客様側でチェックしなくてはいけない項目は、1000ほどピックアップできている」と塩川氏が述べたように、NECではノウハウ自体を他社との差別化要因にしていく意向だ。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
プレスリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0412/2002.html
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・ NEC、ITサービスの運用レベルを向上するITIL導入支援サービス(2004/07/09)
( 石井 一志 )
2004/12/20 19:11
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