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SSAグローバル、RFIDに対応した物流センター管理システムの最新版


 日本SSAグローバル株式会社(以下、SSAグローバル)は、RFID機能を実装した物流センター管理システム(WMS)「SSA Warehouse Management 4000 v3.9日本語版(WMS)」を1月末より出荷する。


日本SSAグローバル株式会社 代表取締役社長 細井洋一氏
 WM4000は、米SSA Globalが2003年に買収した米EXE Technologiesの「EXceed Fullfill 4000」の後継製品で、国内シェアトップのWMS。2004年8月にSSAグローバルの代表取締役社長に就任した細井洋一氏は、「物流革命の波が日本にも押し寄せてきており、ワールドワイドでもNo.1シェアのWMSには興味があった」という。

 米SSA Globalは、主にプロセス系に強いERPパッケージである「SSA BPCS」を提供している。同様に2003年に買収したオランダBaanのERP製品については、「組み立て系に強いのが特徴」と述べ、これらの買収により「生産管理から販売管理まで、さらに工場から倉庫、顧客までをエンドトゥエンドでカバーできる」とした。そして「ERPを拡張するWMSをはじめとするトランスポーテーションにフォーカスしたストラテジックソリューション本部を設置し、SAPができない、うまくいっていない部分から攻めていく」と今後の戦略を披露した。

 新バージョンとなるv3.9では、RFIDに標準で対応する点が特徴で、SSA BPCSとの連携機能も備えている。今後はロジスティックス分野の専門性をもつ企業との協業や、日本のメーカーや倉庫業者といった現場からの要望を開発にフィードバックすることで、「ERPからCRMなどすべての分野をワンストップで提供できるベンダーを目指していく」とした。


SA Warehouse Managementの国内シェア SSAグローバルの製品ラインアップ

SSAグローバル プロフェッショナルサービス本部 コンサルティングマネジャー 中川聡夫氏

RFIDを用いたケース/パレット単位の入荷処理機能を標準で備える

出荷時のASN生成、RFIDラベル出力も行える
 SSAグローバル プロフェッショナルサービス本部 コンサルティングマネジャーの中川聡夫氏によれば、実際に物流管理を行う場合には、商品が倉庫へ入荷する際に、ケース、パレットごとにRFIDタグがつけられる。これをRFIDリーダーで読み取り、サーバー側で事前に受け取っているASM(入荷予定明細)と突きあわせる手順となる。このときの処理はケース/パレット単位となるため、1行のASN明細に対して1000行ものデータが出てしまい、内容も詳細すぎて使い勝手が問題になる場合が多いという。

 このためWM4000には、パレット単位での合算表示機能や、入荷時にチェックした重量ベースの管理機能が備えられている。さらに返品処理を行った際に、倉庫内の棚やエリアを含めた代替品のASNを自動的に生成する機能も備え、小規模倉庫や無線ハンディ端末の使えない冷凍倉庫などで、紙ベースで在庫補充を行える機能も新たに追加されている。

 RFID機能については、在庫を引き当ててラベル出力し、パッキングのときにケース単位でRFIDを貼り付け、さらに入荷予定のデータを出荷先に送るといった一連の機能が標準パッケージに備えられており、Wal-Martが取引先企業の上位100社と行ったRFIDの実証実験で求められる要件にはすべて対応している。

 また「在庫管理ではデータを照会した際に、すぐに返答がないと次の作業に移れない」ため、出荷済みとなった必要のないデータをパージすることで、データベーステーブルの肥大化による処理性能悪化を防いている。また全件入荷処理機能のロジックをすべてサーバー側に移すことで、パフォーマンスを向上している。ERPとの連携では、SSA BPCSの会計処理とのインターフェイスとなるWM Adapterにより「ERP側では全体の会計処理更新を行いつつ、WMSではこれに基づいて在庫管理が可能」になる。

 このほかアメリカの食品関連法律である新農業法と衛生安全保障バイオテロリズム法にも対応している。新農業法は原産国ラベル法と呼ばれ、入荷時の原産国検査が義務付けられるもの。またバイオテロリズム法は、生産者、種類、入荷日といった基本的なデータだけでなく、梱包形態、配送業者、運転手名といった入荷/出荷におけるトレーサビリティデータを記録することが求められるもの。例えば事件・事故の際には、警察当局の要求に基づいてこのデータを提出する義務が発生することになる。

 バーコードへの対応についても、12桁のUPCコード、EAN-8、EAN-13コードに対応するバーコードの標準規格である2005 Sunrise、これに14桁のGTINコードを加えたデータの入出力処理と、0を空白で埋めた右詰めコードのフォーマット変換、商品コードとの紐付けにも対応する。

 稼働環境はWindows、IBM AIX、HP-UX、Solarisで、Oracle、DB2、SQL Serverといったデータベースも必要になる。同氏は「競合製品のフレームワークスはWindowsのみ対応なので、スケーラビリティの点で有利」とした。



URL
  日本SSAグローバル株式会社
  http://www.ssaglobal.co.jp/

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( 岩崎 宰守 )
2005/01/26 15:00

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