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日本IBMのソフトウェア事業 WebSphere事業部長、山下晶夫氏
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日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は3月25日、同社製メインフレーム向けミドルウェアの新版を出荷開始すると発表した。今回提供が開始されるのは、「CICS Transaction Server for z/OS V.3.1」(CICS TS V3.1)と「IBM WebSphere Application Server for z/OS, V6.0.1」(以下、WAS for z/OS, V6.0.1)の両製品で、ともにアプリケーションサーバーソフトになる。
日本IBMのソフトウェア事業 WebSphere事業部長、山下晶夫氏によれば、「フロントエンドのビジネスロジックの部分は、変化が激しいが、バックエンドのトランザクションの部分は不変。そこを速く堅牢に処理する能力はメインフレームが優れている」という。そこで、ホストアプリケーションの機能をサービスとしてくくり、必要なものを状況に応じて切り出せるようしておけば、フロント部分を組み替えても、ホストの優れた能力を自在に活用できるようになる。そのため、今回の両製品には「メインフレーム上でサービス指向アークテクチャ(SOA)を実現する機能を持たせた」(山下氏)。
2製品のうちCICS TS V3.1は、30年以上の歴史を持つTP(Transaction Processing)モニタソフト。COBOL、ASM、C/C++などのプログラミング言語をサポートしており、今回はこれらで開発されたアプリケーションをWSDL(Webサービス記述言語)に出力できるツールを新たに備えた。これまではアプリケーションをWebサービス化するためには、ユーザー自身がWSDLの生成を行う必要があったため、コストと開発費用を削減できるという。またSSL 3.0やTLS 1.0に対応し、より安全な暗号通信をサポートしたほか、システム管理コンポーネントのユーザビリティ向上、ワークロード処理能力の強化などが行われている。
一方のWAS for z/OS, V6.0.1では、ITシステムを相互接続させるための「SIバス機能」に対応した。これは、Webサービスを提供するための、いわば「水道管」にあたり、CICS TS V3.1のWebサービス機能を組み合わせることで、メインフレーム上においてもSOAに基づくシステム構築ができるようになる。また今バージョンより、z/OS版としてははじめて、分散環境向けのWebSphere Application Serverとコードが共通化されたことにより、品質の向上をいっそう図ることができるという。
なおメインフレームというと、「使用ユーザーは減少傾向」というイメージを持っている人が多いと思うが、山下氏は「現在ではホストの再利用に目が向けられ始めている。日本でも減少傾向が反転し、増え続けている状況」と述べ、まだまだ消え去るものではないという点を強調。「これからも日本IBMでは継続して有効活用を訴えていく」ことを力強く述べた。
今回発表の新版の価格は、CICS TS V3.1が月額83万6000円(税別)から、WAS for z/OS, V6.0.1が一括払い料金147万2000円(同)から。
■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
プレスリリース
http://www-6.ibm.com/jp/press/20050325001.html
( 石井 一志 )
2005/03/25 19:00
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