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米Apple Computer ワールドワイド デベロッパーリレーションズ担当副社長 ロン・オカモト氏
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近年、米Apple Computerおよびアップルコンピュータは、エンタープライズ向けの市場に積極的に進出している。ハードウェアサーバー「Xserve G5」、ストレージ「Xserve RAID」をはじめとして、エンタープライズ向けの製品群を次々と市場に投入しているほか、2005年上半期中には、次期サーバーOSとして「Mac OS X Server 10.4 Tiger(Tiger Server)」のリリースが予定されている。また、オラクルがMac OS X対応版のデータベースをリリースするなど、他のベンダーとの協業も進めている。
今回は米Apple Computer ワールドワイド デベロッパーリレーションズ担当副社長であるロン・オカモト氏にお会いする機会をえたため、Appleの今後のエンタープライズ戦略についてお話を伺うことにした。
「ここ数年、エンタープライズ分野のお客様からMacintosh、特にMac OSを使いたいという声をよく聞く」と語るオカモト氏は、Macromedia、Adobeを経てAppleに入社した人物であり、代表的なMacintoshのデベロッパー企業2社での経験から、Appleのコアビジネスをよく知っている。そのため、Appleのエンタープライズ戦略に関しても、「これまで我々のコアビジネスであるDTP、音楽、ビデオ、研究といった分野から、エンタープライズに貢献できないかと考えている。あえて金融、製造といった分野にはフォーカスしない」と述べ、これまでのコアビジネスからエンタープライズ分野に進出することによって、新たな市場を開拓することになると期待している。
エンタープライズ分野進出に向けての最大の難関は、「エンタープライズとAppleというイメージが結びつかない」ことにあるとオカモト氏は語る。そのため、ほかの企業との協業を積極的に進めていくことになるという。オラクルといったパートナー企業との窓口となっているのもオカモト氏であり、「オラクルだけではなく、ほかのベンダーとも話をしている」ことを明らかにした。その中には、これまでAppleとの関係が深いベンダーが多いが、まったく新しい分野の企業もあるという。
新たな分野に進出するAppleの優位性についてオカモト氏に尋ねたところ、「一番の優位性はMac OS X。高性能なだけでなくシンプルでわかりやすいこのOSは、コンシューマに対してだけでなく、IT管理をシンプルにするという意味でも有利といえる。実際に体験した開発者は、Mac OS Xが好きになる」という答えが返ってきた。さらに「Mac OS Xのユーザーは、開発者向けのツールセットを無料で利用することができる。また、Appleはオープンソースコミュニティにも貢献しているので、独自に新たなツールを作るだけではなく、多くのオープンなツールを利用することもできる」と語り、開発プラットフォームとしてのMac OS Xの優位性をアピールした。さらにオカモト氏は、「AppleはOSだけではなく、サーバーやストレージといったハードウェアも1社で提供できるという優位性も持っている」と述べた。
Appleは、6月にサンフランシスコで「Apple Worldwide Developers Conference 2005(WWDC 2005)」を開催する。名前の通りデベロッパー向けの大規模なカンファレンスであり、120以上のセッションが予定されている。「WWDC 2005に是非きてほしい。実際にMac OS Xなどを体験し、多くのAppleの技術者と交流していただきたい」と、オカモト氏は力強く語った。
■ URL
米Apple Computer
http://www.apple.com/
WWDC 2005
http://developer.apple.com/ja/wwdc/index.html?banner
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