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EMC、Documentum新版を国内発表、仮想化とソリューション提供を強化へ


米EMC Corporation主席副社長 マーク・ルイス氏

EMCのILM戦略。Documentum製品は「すべてのアプリケーション向けILM」に位置づけられる
 米EMC Corporation主席副社長で同社ソフトウェアグループ総責任者のマーク・ルイス氏は、4月18日に国内で発表された「EMC Documentum 5.3」よりソフトウェアのソリューション展開を加速し、今後仮想化を軸とした製品において自社・他社製品と組み合わせたソリューションでの提供を強化していく方針を示した。なお、米EMCは米Documentumを2003年12月に買収しているが、日本では統合が完了していないため、EMC Documentum 5.3は国内では日本ドキュメンタムの製品として提供される。

 EMCではデータを価値に応じて最適なストレージに格納するILM(Information Lifecycle Management)において、(1)データを配置するストレージ環境と管理の自動化による「階層型インフラストラクチャ」の構築、(2)メールをはじめとした特定アプリケーションにおいてポリシーに準じたデータ配置や価値の変動による移行を自動で行う「特定アプリケーション向けILM」の実現、そして(3)すべてのアプリケーションでのデータ配置や移行を自動化する「すべてのアプリケーション向けILM」の3段階に分けて提供する戦略をとっている。

 データ別にいうと、(1)はデータベースに格納された構造化データ、(2)はメールなど非構造型ながらほとんどの企業で共通的に扱われているデータ、(3)企業や部署ごとに異なるデータの効率的な管理を実現しようというものだ。ルイス氏によると、同社の顧客の多くはすでに(1)のステップは完了しており、(2)(3)の段階に着手しているという。

 同社ではそれぞれ段階別に管理アプリケーションを提供しているが、今回発表されたEMC Documentum 5.3は(3)に該当する製品で、仮想化技術により企業内のストレージプラットフォームを統合化し、その上で動作するすべてのアプリケーションでILMを実現するというもの。つまり、OSとアプリケーションの間に一元化したプラットフォームを設け、その上で動作するアプリケーションで作成されたデータを自動的に最適なストレージに保存するILM環境を構築する。


3つのサービスを一元化して提供するEMCのプラットフォーム
 このプラットフォーム上では、すべてのデータに対し種別や作成日、利用率などのインテリジェンスを付加し、最適なストレージへの配置や検索などの有効活用を支援する「コンテンツサービス」、承認やデータ共有などのワークフローに最適化しビジネスプロセスの自動化を実現する「プロセスサービス」、コンプライアンスに対応するデータ保存・アーカイブなどを行う「リポジトリサービス」の3つのサービスを一元的に提供する。

 EMC Documentum 5.3は、こうしたプラットフォームを構築する製品だが、ルイス氏はソフトウェア単体ではなく、ハードウェアなどと組み合わせたソリューションとして提供していく方針を示した。また、同社のソフトウェア製品全体でも今後統合化を図り、製品単品ではなくソリューションとしての提供に重点を置くという。その結果、「ソフトウェアの数(ラインアップ)としては減少していく」とのことだ。

 またルイス氏は、今後の予定として「既存のアプリケーションに影響を与えずに導入できる」というネットワークストレージ仮想化ソフトウェア「EMC Storage Router(コードネーム)」を、今年の第2四半期中に提供開始する方針を明らかにした。このStorage Routerは、さまざまなOSやストレージアレイが混在するヘテロジニアスな環境に対応するほか、APIを公開することでさまざまなSANスイッチで利用できることが特徴で、同社では他社のハードウェアなどと組み合わせた形での展開も予定しているという。

 ルイス氏は、ストレージの有効活用手段としてユーティリティ化を挙げた上で、その実現には仮想化技術の具現化し、ソフトウェアとハードウェアを切り離さなくてはならないとした。その上で、「(Storage Routerは)ネットワークストレージの在り方を変えていく布石になる」と述べた。



URL
  日本ドキュメンタム株式会社
  http://www.documentum.co.jp/
  EMCジャパン株式会社
  http://www.emc2.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.documentum.co.jp/news/jpnews/pr2005/q1/jp_050418.htm


( 朝夷 剛士 )
2005/04/18 19:57

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